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呪厄令嬢は幸運王子の【お守り】です!〜外堀陥没で溺愛ルートのできあがり〜  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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試練の終わり

 

「はぁ……」


 空が暗い。

 いつの間にか二日目の夜になっている。

 フォルテに教わったところによると、この塔の時間は現実と同じなのだそうだ。

 一日中歩き詰めで、まだ三分の一程度と言われると早くも心が折れそう。

 ううん、イングリスト様を助けるんだもん。

 このくらいでへこたれていられない。


『眠れる時にしっかりと眠っておくこと。怪我は治したけれど、失った体力や蓄積した疲労は睡眠でしか回復できないからね!』

「そこまで言うのなら手加減してくれてもいいのでは……!」

『明日からも厳しくいくよ〜!』

「う、ううう」


 そう言われて大人しく寝て——翌朝。


『ナジェララが朝ご飯を作ってくれたよ』

「え! わ、わあ! 美味しそう……! ナジェララ様、ありがとうございます!」

『ゆっくり食べて、今日一日頑張ろうね!』

「は、はい!」


 少しだけ心が折れかけていたけれど、ナジェララ様の朝ご飯が美味しくて元気が出た。

 私は一人ではない、って勇気つけられている。

 それに、フォルテの授業は必要な知識だと思う。

 もちろんお城に戻ったら、復習して確認する必要はあるけれど。

 淑女然として階段を登り続けるのは、このワンピース姿だとごまかしが利かない。

 二日目も初日と同じように淑女の階段登りと、貴族院の派閥関係を教わった。

 三日目は『一日ゆっくり休みたまえ!』とフォルテに乗せてもらい、座り方の訓練。

 空中移動するフォルテが椅子の代わりとなり、私は優雅に淑女らしく座って降りて、また座るというのを丸一日やらされた。

 これが存外本当に大変でちょっぴり泣いたのは内緒。

 そして、四日目。


『そろそろてっぺんに着くね!』

「本当につらい試練ですね……」


 私はなんか普通よりもつらかったような気がするけれど、本来は一人で受けるものだもの。

 つらかった分、ナジェララ様の手作り料理やフォルテの授業で人と話す機会が多いから孤独ではなかった。

 呪いの効果もフォルテがいるおかげでだいぶマイルドになって、落っこちそうになることもなかったし。


「!」


 そうして、ついに私とフォルテは塔の最上階の扉にたどり着いた。

 短いようで長く、長いようで短かった。

 さあ、急ごう。

 早くイングリスト様の呪いを解かなければ!


「失礼します……」


 扉をノックして、開く。

 入り口と同じく花畑が広がり、草花の香り。

 優しい匂いがする。

 思わず深呼吸して目を瞑ってしまうと、フォルテから『ほらほら、先へ進んで』と催促されてしまう。

 そ、そうでした。


「まあ! 珍しいこと! 女の子が試練を受けにくるなんて!」

「あ」


 花畑の中心に、美しい女の人が浮かんでいた。

 ピンクゴールドの髪と、緑色の瞳。

 真っ白なドレスとヴェールに髪を包まれた、優しい微笑みを浮かべたこの方が——女神フリーデ様?


「あ、は、初めまして! 私はエーテル・フローティアと申します……!」

「よろしくてよ、よろしくてよ。わたくしは女神フリーデ。よくぞ試練を乗り越えて、ここまで来ましたね。あなたに祝福を授けましょう」

「あ! ち、違うのです! 私がほしいのは祝福ではなく、呪いを解くための解呪の玉なのです! 女神フリーデ様、どうぞ私に解呪の玉を授けてください」

「まあ? 解呪の玉を?」


 跪き、手を合わせてお願いすると、女神様は私を覗き込むようにジッと見て「確かに呪われているようね?」と告げる。

 そうして近くまで来られると——


「では、直接呪いを解いてあげるわ」

「え!? いえ、呪いを解く相手は私ではありません!」

「ええ? どういうことなのかしら?」


 まさか!

 私の呪いを解かれては、イングリスト様を助けられない!

 慌てて否定すると、不可解、とばかりの顔をされる。

 でもそれもその通りだろう。

 きちんと説明した方がよさそうだ。


「あ、あの、私は今、この国の王太子であるイングリスト様の婚約者となっております。理由はこの呪いの力で、イングリスト様の強すぎる祝福——『幸運』の力を相殺しているからです。しかし、この度イングリスト様は魔女ナジェララ様の『眠の呪い』により目覚めなくなってしまいました。私はその呪いを解くために、試練を受けて解呪の玉を望むのです。どうぞ私に解呪の玉をお授けください」


 多分上手にまとめて説明できたと思う。

 けれど、待てども待てども返事がこない。

 恐る恐る片目だけ開けて、女神様の様子を窺ってみる。


「っ」


 無表情。

 あまりにも恐ろしい表情で見下ろしていて、思わず両目を開けて見上げてしまった。

 先ほどまでの慈愛に満ちた微笑みはなく、冷たい目で私を見ている。

 頭の中にナジェララ様の言葉がまた、よぎった。

 ——女神フリーデはイングリスト様を……。

 いえ、そんな、まさか……。


「失礼いたす! 女神フリーデ様! ここに我が義妹が来ていないだろうか!」

「へあ!?」


 私の嫌な予感を、大声で殴り飛ばした何者かが突如扉を開いて入ってきた。

 大剣を背にかけ、入ってきたのは——ローズレッグ様!?


「おお! 我が義妹エーテル嬢! 無事であったか!」

「ローズレッグ様!? な、なぜこちらに!?」

「弟が『眠の呪い』にかけられて城に戻り、婚約者の君がその呪いを解くために女神塔の試練に挑んだと聞けば追うのは当然だろう! この試練は死ぬこともあるのだぞ!」



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