悪役令嬢攻略難易度高すぎます!!
女生徒が近くに来てしまっていたので、近くの建物の陰に隠れた私の近くの建物の空いている窓から話し声が聞こえてきた。その声はいつも聞いている、クリスのものだった。
「シアリカはリーナに辛く当たっているとの噂が入っている。それと共にリーナを虐めているシアリカの友人の女生徒の事も、婚約破棄に使えそうだな。シアリカは一切関係が無い事案だが、これもリーナと婚約するためだ。身分が高いからと婚約をしたが、俺はシアリカには元々興味もない。俺が好きなのはリーナだ。」
その言葉に驚き、何も考えられなかった。なんで。ゲームやこの世界のクリスはこんな、人を道具に使うようなことなどはしない。ああ。もう私の知っているクリスはいない。いるのは人を道具に使う奴だ。
シアリカは何もしていないのに。むしろ、私がいじめに苦しんでいるのを助けてくれていた。それを、知っているのに.......。
シアリカは大切な友人だ。私の恋心は砕けた。私の友人を傷つけるのは誰だろうと許さない。
「うーん。」
私は眠い目をこすりながら起床した。気分ははっきりいって最悪だった。昨日、あんなことを聞いたあとではあまり気分は上がらない。
「クリスがまさか.......。」
未だ信じられない事実にもショックを受けていた。
制服に着替えた私はいつも通り、教室に向かうための廊下へ向かう。
教室に入ると、丁度聞き覚えのある、今では不快にしかならない声が響いた。
「生徒の皆さん。」
嫌に響くその声にその声を聞くのが嫌になった。
「聞いてください。今ここにいるリーナは同じくここにいるシアリカとその取り巻きに嫌がらせを繰り返しされてきました。」
ざわめく生徒の声とシアリカと私を見る視線を感じる。
「や、やめてください。そんなの嘘です.......。」
シアリカの小さな声が聞こえてきた。
「だって、そんな.......。」
シアリカはどうにか否定しようとするが、クリスは周りの人からの信頼も厚く、どちらの言葉を信じるかは一目瞭然だった。
「噂もあったもんな。」
「可哀想に。」
「許せないわ。」
というシアリカを罵倒する声や何もされていない私を可哀想にと、慰めてくる人がいた。
私は何もされていない。やめてほしい。そんなことさえ言えない自分が嫌になる。そんな時、一際凛とした大きな声が響いた。
「私は親友を傷つけることなんて致しません。」
「そこに証拠はあるのか!」
「何故私が虐めていると思ったのですか。それにクリス様は私がリーナと仲良くしているのを見ていましたよね。」
「っつ.......。だとしても、俺はシアリカとの婚約を破棄させてもらう!そして、リーナと婚約をする!」
このままでは、シアリカを救えないかもしれない。
伝えなきゃ。気持ちを.......。
「私は、親友を傷つける、道具みたいに使う奴なんて、好きじゃない!」
言えた.......。私が何だか、スッキリしていると、
私の言葉に驚いた他の生徒が再度ざわめきを起こした。
「クリス様って.......。」
と、言うようなクリスを悪くいう意見が多くなっていた。
そして、クリスは居ずらくなったのか、教室から出ていってしまった。
「大丈夫?シアリカ」
「親友.......。」
シアリカに質問してみると、シアリカが何か呟いたようだった。
「え?どうしたの?」
「親友って!私が認めたわけじゃないから!」
ん??意味がわからず、首を傾げていると、シアリカがクリスとは反対の方向に走って行ってしまった.......。
悪役令嬢。攻略難易度高すぎます!