第7話 圧倒的な力の差
今回遅くなってしまいすいません。最近リアルが忙しくて……。という話はどうでもいいですね。では第7話をご覧下さい。
ここは住宅街である。火もほとんど消え、この町の惨状は分かる。建物も爆発によって崩壊していたり、炎によって黒焦げになっていたりとボロボロで家や道があった場所は見る影も無くなっている。そこで戦うのは2人。調節者と白髪男は話をしている・・・
「世界の真実を見た人間?」
首を傾げて白髪男の言ったことを考えている調節者。その考えが出る前に白髪男が話し始めた。
「俺は世界を旅している旅人だ。長い…長い時間をかけて世界を見た。そしてある日この世界の真実に気づいたんだ。俺は特殊な人間でな。生まれた時から能力が2個あるんだよ。【空間を支配する能力】と【全てを理解する能力】の二つ。だからお前の能力も把握してる。」
「!?」
調節者は目を見開いた。
「はは、分かりやすいな」
調節者を見ながら微笑を浮かべている。だが調節者はそんなことを気にしている場合ではなかった。
「(能力が2つ?そんなことあるのか?原則として能力は1人1つ。固有能力は家系関係だから例外扱いだが、素の能力を2つって意味わかんなすぎるだろ。)」
こんな化け物がいるのかと頭の中では絶望という2文字が浮かび上がる。
「(だがこの任務を与えてくださったのは怪莉様。命の恩人から与えられた任務。必ずや成功しなければならない!!)」
調節者は心の中でそう叫ぶと頭の中に意味の分からない言葉が流れ込んできた。その意味の分からない言葉が頭に流れ込み終わった後頭の中に能力の通称が出てきた。【調節操作】の“操作”の部分にモヤがかかりそのモヤが晴れた後その通称が変わった。
【調節支配】 に変わっていたが【力を調節する能力】という能力名は変わっていない。
「(なんなんだ?身体から力が溢れている。今頭に流れ込んできた能力の通称。【操作】から【支配】に変わったのか?これならこの男に勝てるのか?)」
調節者は心の中で考え、その白髪男の方をみた。そして呟いた。
「【重力調節 中 】」
調節者が前に手を出し下に下ろした瞬間、白髪男は見えない力。重力で押しつぶされてしまった。
「・・・」
白髪男は起き上がろうとするが重力がかかっているからか起き上がることはできない。
「めんどくせぇ」
白髪男はさっきよりも力を入れ起き上がろうとする。その白髪男にのしかかっている重力がどれぐらいかは分からないが相当強い重力をその身に受けているのだろう。
「【重力調節 強 】」
調節者がそう呟き前に出している手に力を加え再度振り下ろすとさっきの倍以上の重力が身体にのしかかる。起き上がろうとした身体もまた地面に倒れ伏した。段々と調節者はこちらに近づいてくる。
「形勢逆転だな。【ベクトル調節】」
そう言った瞬間、調節者は前に出している手を自分の方に引き戻しながら握り締める。すると白髪男にかかっていた重力は消え、起き上がろうとした瞬間の白髪男が調節者の方へ飛んでいった。
「コイツ、能力が━━」
体勢を崩し、ポツリと呟く白髪男。調節者は持っている刀で白髪男の腹を切ろうとするが白髪男はその体勢ながらも回避をし腹を若干だが掠めただけで重症にはならなかった。だがさっきまで一方的にやられていたのが今は逆に一方的にやっている方である。調節者がさっき言った通り形勢逆転だ。
白髪男は心の中で思わず愚痴った。
「(なんでこの場で“覚醒”すんだよ。しかも能力の理解度も中々高いからめっちゃ面倒いし。)」
心の中でため息をつきまた心の中で考える。
「(流石に薬のせいで能力が5割封じられてるのはキツイな。相手はフルで能力を使えてしかも“覚醒”済み。こっちは半分しか使えない。流石に無理か……。はー……薬飲むか)」
調節者との距離が近いため能力を使用し距離を離した。その後に自分のポケットからそっと何かのケースを取り出す。中には6つの薬を入れられる場所がありそこには6つ中5つ薬があった。3個3個で仕切られており2個と3個で分けている。その3個の方の1個を取り出し口に含んだ。白髪男は身体から能力制限の重りが外れ、半分の力しか使えなかった【空間を支配する能力】は今この時本領を発揮する。
調節者は何か嫌な予感がした。別に目の前にいる白髪男の気力量が変化した訳でも無い、殺気が増した訳でもない。でもその嫌な予感はすぐに当たった。目の前にいる白髪男に対して【ベクトル調節】が出来なくなってしまった。そして何か呟いた声が聞こえた。「【能力発動】」と。だが何も起きなかった為一切気にせず考える。
「(なんで?!急に)」
「はー、やっぱり能力の制限が解けると軽いわ。まあその軽いは気持ち的にだけど。」
「何故……ベクトル調節…が出来なく……」
「ああそれはな、俺の空間支配によって自分の周りにある空間を支配し、他人が干渉出来ないようにしたからだ。」
「━━━は?」
「だから俺とその周りはお前の能力では干渉できないんだ。」
━━━ふざけんなよ。と調節者は言いたくなったがそれを堪えて自分に対して【ベクトル調節】を行った。相手には干渉できないが自分には出来るという考えである。自身のベクトルを調節するということは自分の出す速度を調節出来るということなのだ。
だから調節者は自身の限界までの速度に調節し刀を構える。その構えは居合をする時の構えで自身の最高速度を誇る技
【居合・海千一刀】。そしてその技を白髪男に向けて一閃。速度は音速の5倍以上の速度でこれはもはや人間の限界を超えた速度である。だがその音速を超えた攻撃は無駄になった。だって調節者の身体は上半身と下半身が泣き別れとなったのだから。上半身と下半身の途切れたとこからは血がとめどなく溢れている。
「がァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
とんでもない痛みが身体に走ったのか声にならない声で叫ぶ。
それを見るのは光を無くした目を持つ白髪男だった。白髪男の放った技の名は【空間断絶】。その技は【空間支配】の能力を使い、気力を帯びた手刀によって空間を切断するとその空間に歪みが発生し、気力を帯びた手刀の攻撃が歪みによって気力が増加し、圧縮されそれが刃状に飛ぶ技である。その技の威力はとんでもなく、鉄すらも容易に切れてしまう。そうなれば人の身体なんて簡単に切断されるだろう。その現状が今の調節者の状態である。まあこれが《現実》の話だったら……だが。
今までのことは《現実》では無い。といえば語弊になる。白髪男が口に薬を含んだ所までは現実だ。だがそれ以降は現実では無い。そう白髪が薬を含んだ時点で調節者は白髪男の支柱に嵌っていたのだ。
そして現実に戻る。そこには白髪男と気絶して倒れている調節者の姿があった。
「2つ目の能力……ifを使うと流石に疲れるな。」
首をボキッ、ボキッと鳴らしながら気絶した調節者を見る。
「情報が真実か嘘かそれを見分ける力がないと君がいる裏社会はやっていけないよ。」
その一言を言った。そのことはおそらく調節者に言っているのだろう。
「こいつは多分すぐに目覚めると思うしなー。うーんこいつの気力吸収しとくか能力が使えないレベルまで。」
そう言って調節者に手をかざす。調節者から出ている淡い水色のようなものが白髪男の手に集まりやがて吸収した。
「良し、これで問題な━━━」
そう言いかけた時、ドス黒いエネルギーがこの場所に充満した。
「ッ!何だこのドス黒いエネルギー。人の憎しみや、怒り、悲しみと言った負のエネルギーが具現化した物……。それができるのは【闇墮人】だけだろうな。………なるほど……ずっと…動かなかった運命の歯車が回り始めてしまったか……。」
少し悲しそうな表情になりつつそのエネルギーを感じる場所に瞬間移動しようとするが負のエネルギーが邪魔しているのか瞬間移動が使えなく、目標に向けて走ることになった。
場所は戻り現在のドクターの研究所へ
そして調節者は目の前にいる3人に自分の身に起きた出来事を語った。
「気絶状態から戻った後、身体が言う事聞かなかったからしょうがなくラーサだけ回収して帰ってきた。」
思い出したくもないという顔をする調節者。なんで自分が気絶していたのか起きた直後は理解が出来なかった。起きた直後の疑問はそれだけではなく、白髪男に自分の胴体を切断され死んだと思ったが起きると胴体は切断されていなかったり、気絶している場所も白髪男が薬を含んだ時点の所だった。それを起きた後に考えるとある1つの考察が立てられた。薬を含んだ直後、白髪男は「【能力発動】」と言っていた。その時にはもう既に幻にかかっていたのだろうと調節者は考えていた。
「なるほど……それは流石に強いな。君の能力が覚醒したという点もびっくりだがその覚醒した能力でも勝てない圧倒的な力。そして幻だと思えないほどの幻術精度。何より厄介なのが【全てを理解する能力】という隠し事も通用しない能力。これは……お手上げだね。僕でも勝てないかもしれない。」
苦笑しながら答えるドクター。だがいつもより目が真剣になっていることは周りにいる捕食者や鎮魂奏者、調節者の3人も理解出来ていた。
そしてドクターが言ったことを捕食者が補足を入れる。
「幻術を見させる能力があると考えるとそいつの能力は3つと言うことになりますね。空間系最上級クラスの【空間支配】、幻だと思えないほどの幻術精度を誇る能力。そして【全てを理解する能力】と言っためっちゃくちゃ厄介な能力を3つモデレータ所持している点からも最重要警戒人物としていいんじゃないでしょうか。」
「うん、リストにそう記述しておいて。」
「分かりました。」
捕食者とドクターの会話が終わると鎮魂奏者がポツリポツリと呟いた。
「今現地にいるのは、干夜様と怪莉様のお2人がいるんですよね?もしその白髪男と遭遇した場合どうするのでしょうかね?」
その答えはドクターが行った。
「怪莉は知らんが干夜は必ず戦闘せずに帰ってくるだろう。戦う理由もないしな。あと称号Sを干夜って呼んだら切れるから呼ばない方がいいよ。」
「りょ…了解です。」
と2人の会話は終了しこの研究所で深いため息を4人がつくのだった
。
今回の第7話は作者としては戦闘描写がまあまあでかけてよかったかなーと思います。といつもの本文の若干感想を終わりまして、恒例の解説コーナーをしたいと思います。今回の単語は本文にも出てきた能力の覚醒についてです。
能力の覚醒とは?
能力の覚醒とは人の思いの力によって起きる現象で人によって覚醒条件は異なります。激しい憎しみだったり守ると言った強い意志だったりそういうもので能力は覚醒という現象が起きます。なんで覚醒というものが存在しているのかそれはなんでなんでしょうね?そこは頑張って考察してみてください。
今回の話も見てくださって本当にありがとうございます。気に入ってくださった方はまた見てください。