第3話 絶望へのカウントダウン
さっきまでの生徒達の声は一切聞こえず、約20人の生徒達が気絶しているところに1人、フードを被った男が目の前の生徒1人に手をかざし突っ立っている。その男がいる場所は校庭の真ん中らへん、少し右側にある機械の所にいる。この校庭の周りは道路があり、3mぐらいのネットフェンスが道路と校庭の境界線にあたる。そのネットフェンスからは中がよく見える仕組みになっている。だが今の時間帯ほとんど車は通らない。
「さっさと情報集めてアジトに帰らないと、警察や軍に俺の姿がバレるのは面倒臭い・・・」
そう呟きつつフードを被った男はまた1人また1人と手をかざしていく。
「面倒臭いから一気にやるか、時間がかかるが……【高速情報干渉】」
そう呟くと手の光がさっきよりも強くなりその薄い青色に輝いている光が腕を伝って頭まで行くと生徒全員と教師の情報を一気に脳に流れ込んできた。そしてフードを被った男は笑いだした、校庭に響く、少し低い声でそしてその笑いは収まると独り言のように呟き始めた。
「まさか、本当にいるとは………ずっと探していた“核”こんなところに……“器”も入れば完璧だったんだがな……まあ核を手に入れれば世界崩創プロジェクトも進んでいくことだろう……だがまだまだやることはあるな、だが計画の柱となる部分は見つける事出来た………後はこの街を・・・」
そう呟いていた時、ゴソッと音が聞こえ一瞬で振り返ると1人の教師が起き上がろうとしていた。
「(何?何故俺の干渉を受けてこんなにも早く目を覚ます?!何故・・・そうか!こいつの固有能力は【夢を食べる能力】だ!後は核を持っていけばいいだけだったのに……チッ!!)」
フードを被った男は内心激しく激昂したが、怒りを抑え収穫はあったと、ズボンのポケットから変な球体状の物を取り出しそれを地面に叩きつけると高い音が辺りに響き渡る。そしてフードを被った男はまるで瞬間移動をしたかのように一瞬でこの場から消え去った・・・
「・・・ん?………はっ?!」
目が覚めた1組の教師夢圭はすぐに身体を起こし辺りを見渡すと生徒達や1人の教師が全員気絶しているという、異様な光景を見た。
近くにいた、2組の教師竜二を起こすと、竜二もこの光景には信じられないと驚いていた。
「どうしてこんな……」
「そんなこと言っている場合じゃない!早く生徒達を起こすぞ!!」
「ですがこれは・・・」
「はい、多分ですがこれは事件です………。」
夢圭がそう言うとこの場を不穏な空気が支配するが気を取り直して教師達は生徒達を起こしていった。
1時間経過………
校庭にはパトカーと軍用車両1台ずつ止まっていた。
軍用車両の名前は【ライク】という車両で軍が保有する車両の中で1番使われているものでありパトカーと類似している。ランプは無く、車両の色は迷彩柄である。
パトカーと違う点は少し車両のデカさが違い、ごついぐらいである。
校庭には3年1、2組の生徒達と1、2組の担任、警察、軍人など多くの人々が集まっていた。関係のない1、2年生達は親が迎えに来るようにしそれに対応する教師とこの場に何があったのかを説明するための1、2組の教師2人とで分かれている。
「え〜聞きますが一体何があったのでしょうか?」
警官がそのようなことを言うと、1組と2組の教師が説明をしだす。
「保体の授業を1時間目と2時間目にやっていたのですが、今日はちょうど模擬戦授業だったことで、1組と2組が合同で授業をしていたんです、1回目の模擬戦が終わると2回目に入ろうとした時、私の意識は途絶えました。」
1組の担任である夢圭がそう言うと自分の先生の雰囲気が若干違うなーと1組の生徒達は思うがそんなことを考えている暇がないと思い出し、思考を切り替える。
「なるほど……生徒達もそうですか?」
そう警官が尋ねると生徒達は頷く。
「他に何か知っている方は」
警官がそう言うと手を上げた者がいた……翔である。
翔はあの男の事を思い出す。校庭右奥の歩道にいた、あの男の事を
「えーと服はフード付きのコートを着ていました。スボンは分かりませんでしたけど性別は男だと思います。体格は結構細かったです。身長は175cm以上はあったと思います。あとフードには何か印?みたいなのがありました。」
「?!そのフードにはどんな印があった?!」
叫ぶように聞いた警官、そしてその話を聞いていた軍人3名と他の警官6名が目を見開きながら動揺していた。
「覚えていません………本当にごめんなさい。」
頭を下げる翔に
━━━頭なんて下げなくていい、逆に良くここまで姿を覚えていたもんだ
っと近くにいた軍人や警官から褒められると翔は少し照れていた。
「なんでここまで覚えていたんだい?普通はパニックになると思うが・・・」
「それは父の教えで非常事態があった時はまず周りを見て冷静に行動することって言っていたのでそれ実行しただけです。」
「(どんな父親だよ……)」
それを聞いた警官は心の中で苦笑していた。そしてその教えを守ることができるこの子もすごいなと思うのだった。
「まあお父さんは元軍人なのでそうなってもしょうがないと思います。」
警官は驚いたあと苦笑していたことが表情にでていたことを反省し、次はもっと気をつけようそう思ったのだった。
反省した後その警官は気になることがあったそれはその翔の名前プレートに神木という名前があること。生徒達がいる場所に戻ろうとする翔を引き止め疑問を言った。
「お父さんの名前はなんなんだい?」
「えっお父さんの名前ですか?お父さんの名前は神木 業ですけどそんな有名軍人じゃないと思いますよ。」
「「「?!?!?!?!?!?!」」」
翔と話していた警官を抜いて警官6人、軍人3人で話していたが翔がそういった瞬間目を見開き驚いていた。教師2人は━━━まあそうなるよなというような顔で、生徒達はなんのことかよく分かっていない様子である。
「元軍のアルタークラスの神木 業さん?!軍人の同僚と結婚して軍を辞めたって聞いたけど……」
「確かその奥さんの名前は神代 冥華さんだったはずだ。」
「おいおい、元プラチナクラス序列一位、第13部隊の隊長だぞ!あの軍の中で最も未知数って言われてる謎の部隊の隊長ってことになる」
そしてその軍人3人の話が聞こえたことにより周りの生徒達は
「「「えっ?!?!?!」」」
と生徒達は叫ぶのだった。それはそうである軍のエリートクラス プラチナクラス。軍の最高クラス アルタークラスという単語が出てくるのだから驚くに決まっているだろう。2人の生徒を除いて。
心と弥里一切驚きもしなかった何故か、それは知っていたから。初めて知った時は驚いたが友人の親である、もう慣れるのも分かるだろうしかも心と弥里は翔の親と模擬戦をしたことがある。山の中にある大きな公園で行った。
翔の家族、心の家族、弥里の家族の3家族でピクニックをした時に、である。小学6年くらいだ。結果は誰でもわかる通りボコボコにされている。能力の使用の禁止と怪我はさせないことを条件だったのだが怪我以前に触れもしないのだ勝てるわけが無い、結果時間制限の5分がすぎて心は業に弥里は冥華に負けている。それを覚えていない訳もなく2人は驚いていなかった。本人は鈍感なので全然気づいていないが………
しばらくがやがや続いていたがその時翔はある疑問があった、
「(お母さん……神木 冥華だよな?名前でもあの軍人の人神代 冥華って言わなかった?名前が違うような……)」
ずっと━━━うーん?っと小さい声で言っていたため流石に気づいた隣にいる警官が「どうしたの?」と聞いてきた
「お母さんの名前がおかしいんですよ、皆さんが言っていることが本当ならお母さんとお父さんは軍のすごい人だと言うことになります。そしたらお母さんの名前と皆さんが言っている名前が違うんですよ。」
真剣に言う翔を見て警官は笑い始める。
「それはそうだよ、君のお母さんとお父さんは結婚したんだからお父さんの苗字がお母さんの苗字につくからね。だからみんなさんが言っている神代さんと神木さんは結婚したから変わったんだよ。」
はっとなり顔があかくなる。
「(俺、頭悪いなー)」
そう心の中でつぶやくのだった
そんな会話が終わった後、3年の生徒たちも必要な情報は聞けたので帰ってもらった。翔の親の神木 業と神木 冥華が来たことによってまたざわついたがそれはまあ分かるだろう、警察も軍人3人も頭をペコペコと下げていたのはまた別のお話。
全生徒達が帰ると校庭には警察7人と軍人3人がいた。話の話題はさっき翔からでていた、“フードの印”について話あっていた。
「印……それって」
1人の警官が絶望している顔で呟くとそれを切り捨てるかのように軍人が言う
「今軍でも危険組織に指定されている組織、狂乱師団が関与している可能性があるってことか………。」
何かしらの印それは近年、軍でも危険視されている狂乱師団の組織の物に酷似しており世界管理機関WCEでも相当危険視されていているような組織である。
「その事はあのー神木 業さん達にも言ったのか?」
「うん言っといたというか聞いてきたよこれはどういうことかって」
その時は全員緊張でガチガチだったためあまり覚えてはいないが………
ということは置いといて。
「それで?」
「軍の総隊長に報告しとくってさ」
「あっ、世界の各軍隊の総隊長にも最強と認められてる軍人に電話って………凄すぎて言葉でねーんだけど」
「あの人だけこの国のアルタークラスの中で飛び抜けて強いんでしょ?」
「全員強すぎるからもう訳わかんないけどな」
そう言うと今まで会話していた警官7人と自分を含まない軍人2人も頷く。だが今は関係ないので話を事件の事に戻すことになった。
「何故この生徒達や教師は気絶だけだったのか」
違う軍人が疑問を言うともう1人の軍人が自分の考えを述べた。
「何かを調べていた……もしくは何かを見つけようとしていたのかもしれない、だが指紋もないも無いからな、もし本当に狂乱師団だった場合は流石と言うべきなのかもしれないな。」
そう言ったあとその軍人はため息をつく。その軍人と警察の会話を聞いていたリーダー的な役割をしている警官が各意見がで終わった後に告げる
「とりあえずこの事件は何かが起こる前触れかもしれない、このことは各本部にって軍はもう報告されてるんだったなじゃあこっちだけか」
そう言うとその警官はスマホを取り出し報告するのだった。
そして本格的に調べるために本部から派遣された軍人12名と警官20名合計32人が調査する。軍の研究組織が作った能力使用痕跡捜索機器という1週間前までに使われた能力がどうゆう系統の能力か分かる機械を使うというとても大掛かりな再調査が2日後に行われることとなった……………
場所:???
周りには円柱状のガラスが沢山ありそれには薄い赤色の水と色々な人間が服の無いまま入っている男と女両方とも。その円形状のガラスは見ると20以上はある。そしてその円形状のガラスの下の機械部分に沢山の太いコードのようなものが繋がっている。その繋がっているコードはどこに行っているのかそれは分からない。その気味の悪い空間にいるのはフードを被った男だった。
名前:***
称号:S
能力:干渉を操る能力
「うーわ相変わらず気持ち悪い部屋だなドクターの部屋は」
気味悪がっている男の後ろに現れる。背が169cmぐらいで白衣を着ている、髪が長くボサボサな女が後ろにいた。
「おや?君がいるのは珍しい、任務から帰って来たところかな?」
ニコニコしながら聞いてくるその女にうざいと感じつつ、
━━━ああ
と返事をする男。
名前:**** ***
称号:R
能力:物質を改造し、未知を作る能力
「核の場所はわかったかな?」
そう聞いてくる、女に
━━━見つかった
とフードを被った男が答えると少し目を見開き驚く。
「ほへーあんなに見つかんなかったのにいたんだ、で回収は出来てないないんだね。」
「ああ、しくじったんだ。干渉して眠らせたやつが起きたんだよ。」
「えっ?!君がしくじった事なかったのに、そいつそんなに強かったのかい?」
白衣を着て眼鏡を付けている女が叫ぶように言いながら瞬時にフードを被った男の顔の近くまで行くとフードを被った男は、近い女を「━━━顔、近いわ!」と言い無理やり押す。そのドクターと言われている女はつまらなそうにしているがそれを無視してフードを被った男が話し始める。
「教師が【夢を食べる能力】っていうもん持ってたからな俺の干渉での気絶は相性悪かった。しかもその能力は固有能力で常時発動型能力でもあるっていうな、」
フード被った男がつまらなそうに語ると対照的にドクターと言われる女性は目を輝かせている。
「なんと!!固有能力の常時発動型能力だって?!それは是非とも実験して見たいね、キシシシシシ」
「……その笑い方にはもう慣れてるがやめた方がいいんじゃないか?おかしな人だぞ、はたから見たら」
━━━━そうなのかねー?と本当に疑問そうにしているドクターと呼ばれる女性。その反応からいつもやっていることは見てとれるのだった。
話を終えると出ていこうとするフードを被った男、すると一際目立つ物があった。金色に光っていて神々しく、だが少し禍々しいようなそんな矛盾している球体が目の前の円柱状のガラスの中にあった。その中に入っているやつは知っている。元称号Aである。任務の失敗の責任により暗殺命令が出され中層部のコードネーム:捕食者によって始末されたやつである。
「あれ?こいつ捕食者に殺されたんだろなんでここにいるんだ?あとこの黄金の球体なんだ?」
独り言を言っていると常人じゃ捉えられないスピードでドクターが走ってきた。
「良くぞ気づいた!!!!これは捕食者が持ってきた称号Aの死体だよ、このカプセルの中に入れて外傷を回復させた状態が今の姿という訳さ、でこの黄金の球体は簡単に言えば称号Aの能力の結晶?かな」
フードを被った男は早口気味に言っていたことが気になっていたが最後ら辺の言葉でそんなことどうでも良くなった。
「は?能力の結晶ってどういうことだよ」
訳が分からないようでなかば興奮気味にドクターに問う。
「捕食者が持ってきた時、私がちょうどいなかったらしくてね食らったAの死体をこのカプセルに入れたらしい、死体をそのまま放置して見つかったら面倒だしね、でこれがあると気づいてなんなんだ?と思い研究したら能力の結晶であることが分かったんだよ。」
「まじか、じゃあこれを体内に入れれば、その能力を獲得できるのか?」
ドクターの話を聞いて自分の考えを言うとドクターは鼻で笑う。
「無理に決まっているだろう、体内に入れた瞬間、身体が能力に耐えきれず暴走もしくは爆散どっちかだね」
「(まあだよな)」
そんなことが出来るのであればそれはもはやチートであるとフードを被った男は心の中で考える。
「あとこの能力の結晶が取れた理由もちゃんとあって能力は死んだ瞬間その能力を所持していた人間の能力は消滅するんだよ、だが捕食者は殺す時に食らった、だから能力は消滅せずに存在していた、でこのカプセルに入れたことで死んだのに体内にあった能力は体内から弾き出され結果このような状態になっているんだね、あとオマケにもうひとつこれが能力の結晶ってわかった理由はこのカプセルに繋がっている機械のおかげだね。それで情報が僕の主端末に来るってわけさ。」
「良く能力について知ってるな」
「まあ前の職業がね………」
そして会話が終わろうとした時ドクターが話し始める。
「明日の計画はもう決まってるのかい干夜?………あっ」
やっちゃったという感じのドクターに少し呆れ気味に言う。
「はー今日は言わないなーと思ったのに、最後の最後で言うのな、それで呼ぶなって俺は称号Sで呼べ組織名で呼ぶな。で話を戻すが計画は決まってる下層部から3名、中層部から3名、上層部から2名だメンバーも決まってるが面倒だから言わんぞ」
干夜と呼ばれる男は早く副団長に報告をしたい様子だった為ドクターはあるものを投げた。
「それはテレポートの改良版だよスマホみたいな形で扱いやすくした。機能は画面上にでてくる所にどこへテレポートするか選択して下の決定を押すとそこへテレポートするよ。」
「へーありがとな、じゃあ」
そう言って歩いて行くとドクターも自分の研究室に帰って行く時に呟き始める。
「能力は人に複数持たせるのは可能だけど、その力が味方か敵かそんなのは分からないから怖いんだ、無理やり与えても結局暴走して終わりだよ、だからオススメしない、だって僕でも“1回しか能力複数持ちを作ることは成功していない”のだから・・・まあ2つ目の能力を無理やり与えられて獲得するのではなく純粋に獲得する者もいるがね。確率的に言えばほぼ0だよ。しかも2つ目の能力を上手く扱えなかったら意味はないからね。まあ例外もあって元々持っている者もいるがそれは“異例”だからね。まあ能力が2つあるからと言っても究極の1には勝てないしね〜。」
ドクターは干夜の後ろ姿を見ながら呟き、止めていた足を動かす。そして研究室の扉が自動で開き、中に入っていった。
どうも山下 海です。
今回の第3話は、結構色々な設定が出てきましたが、物語中で解説していないものがありますので今後も後書きに少しずつ書いていきます。今回の後書きでは2つ解説します少しですが………。世界管理機関、通称WCEについてとプラチナクラスやアルタークラスといった国:アルターの軍のクラス制度についても話します。
まず一つ目は世界管理機関WCEについてですね。WCEは主に世界の害となる者(犯罪組織や犯罪者)などを徹底的に排除したり、世界の問題を解決するために各国々と動いたりする機関です。権力は各国々の大統領や総理大臣と同じもしくはそれ以上の権力を持っています。まあこれ以上はネタバレになってしまうので言えません。もっと話数が増えたら解説しますのでよろしくお願いいたします。
次に国:アルターのクラス制度についてお話します。アルターには個人階級と総合階級があり総合階級がクラス制度です。クラスには5つ種類があります。ブロンズクラス、シルバークラス、ゴールドクラス、プラチナクラス、アルタークラスという順番です。これ以上は言えません。次はもっと詳しく話すと思いますのでそこで見ていただいて欲しいです。
今回第3話を見ていただいて本当にありがとうございました。