第2話 不穏な気配
どうも作者の山下 海です。
まず最初に投稿が遅くなり大変申し訳ございませんでした。
少しリアルが忙しく全然投稿することが出来ませんでした、これからもっと投稿を早くできるようにしたいと思っております。
※物語中に最初から()があるかもしれませんがそれは登場人物の心の中を表しているものです。
2021年4月28日
「やばい!待ち合わせの場所急がないと!」
カバンを背負いながら猛ダッシュで集合場所まで急ぐ。集合場所は走って7分ぐらいで着くがそれは半人者が走って、である。距離にして約3kmで、人間が走って11分ぐらいはかかる。それが7分ぐらいで着くのだから半人者はそれだけ人間より身体能力が高いことがよく分かる。
あまり大きくない住宅街を全力疾走で走っていると集合場所まで着いた。その集合場所は学校の近くであり約200mも行けば学校に着く距離である。
「ふー疲れたーあっ心と弥里だ」
集合場所で待っていたら制服を着てカバンを背負っている男と女がこちらに歩み寄ってきた。
「おはよ」
「「おはよう」」
それぞれ、挨拶を交わしたあと、3人で学校に向かって歩いていく。
この2人は小さい頃からの幼馴染でよく遊んでいた仲である。
名前は焔 心と夕覇 弥里、翔と同じぐらいの身長で成績優秀、能力持ちでイケメンと美少女というとてもハイスペックな2人である。
心に関しては固有能力というものを持っている。固有能力というものはその家系が代々受け継いでいる力のことで、心の場合固有能力【炎を操る能力】で心自身が持っている能力【温度を操る能力】と相性が良い。弥里自身が持っている能力も結構強く【氷を扱う能力】である。
「(俺では割にあっていないのでは?とはめっちゃ思うんだよなー。特に成績優秀って言うのが羨ましい……とかは思っていない……思って……ない……と信じたい。)」
心の中でポツリポツリと呟く翔であった。
その歩道にそって3人は歩いて行くと車道から車の風を切る音が聞こえる。
翔が心と弥里の方を見ると話し始める。
「今日ってさー6時間までだっけ?」
翔がそう聞くと心が口を開く。
「うんそうだよ、あと知ってるだろうけど1、2時間目は保体だってさ」
心がそのようなことを言うと弥里が嫌そうな顔をする。
「ああ保体と書いて能力制御授業の、あの保体ね」
嫌味のようなことを小さい声でぶつくさ言う弥里。
人間と半人者、能力者とでは行く学校が違う。
人間は人間だけで、半人者と能力者は一緒にその学校に入る。
学校だけを分けているのではなく、働いている所なども分けられている。学校や働いているところを分けている理由はちゃんとある。
その理由としては人間と能力者、半人者とではそもそもの身体能力が違う。
能力者、半人者からしたら当たり前のことでも人間からしたら普通ではない。そのような価値観の違いなどで、色々な問題が発生する事を危惧した国が能力者、半人者と人間を分けるようにすることを義務付けたのだ。
分けたことにより人間と能力者、半人者での問題は少なくなった。だが世界人口の約5割とされる能力者の中に世界人口の約1割とされる半人者を入れたことで新たな問題が発生してしまうことは国も予想していなかった・・・
能力を制御するためにある保体にも色々な理由が存在している。
理由としては安全性の確保である。全然能力を制御出来ない場合事件などが起きてしまう為、小、中学校では能力の制御をする時間として保体を設けている。
それは国の教育委員会によって決められており、もし能力を小、中で制御できない場合、能制院という所に入れられる。
そこで能力を制御出来るようになったら卒業出来るようになっている。国では━━━━能力を制御できなかった場合ずっと能制院入れるのは酷すぎるのでは?
という声が多くあり20歳になると軍が保有している連合区という所で仕事をすることで飲食住をすることが出来るようにしその区域から出れないもののその区域内であれば最低限の自由は許されるよう変更があった。
そしてその連合区でも能力を制御する訓練のような時間がありそこでようやく能力を制御出来たらその連合区から出れるという仕組みになっている。
「まあ能力の制御はしょうがないと思うよ逆に能力を上手く制御出来なくて暴走させるよりは小、中学校で制御出来るようにした方が俺はいいと思うけど」
心は弥里が言ったことに多少同情しつつ正論を言う。
「俺には縁がない話だけどね」
虚ろの目で心と弥里の話を聞いていた、翔がボソッと呟いた。
「べ、別に嫌味という訳で言った訳じゃないんだよ」
「そ、そうよ!心の言う通りよ!」
オドオドしながら翔に言う、心と弥里であるが理由はそれだけじゃない。心と弥里は知っているのだ、小学校で翔に何があったかを。
「そんなに気を使うとは思わなかったわ、なんかすまん」
とぼとぼ歩きながら、心と弥里にそんな言葉をかける
「当たり前だろ、昔のお前は………」
そう言いかけると
「それ以上は言われないでくれよ、あの頃はあまり思い出したくないんだ」
心の言葉を遮るように翔は呟く、顔は少し微笑みながら言っているがいつものような本当の微笑みじゃない、自分で無理やり作っている引きつった笑みにしか見えないと心と弥里を思う。
「この話をやめようかなんか暗くなるしね、雰囲気」
「「うん」」
そして違う話をしながら学校へ歩いていく。
午前7時15分 雅狩中学校到着
この国、アルターは12の区がある。
ここの地域は2区に属しており2区の区名は雅狩である。
他にも1~12区にもそれぞれ区名があり
1区 観凱
2区 雅狩
3区 柿宮
4区 アストレア
5区 エンカイ
6区 ミカイル
7区 ウ・ガイナ
8区 ウ・メナス
9区 ウ・タイカ
10区 花道苑
11区 浄志麻
12区 大江
などなど色々な区名で呼ばれる。アルターというこの国は他の国の様々な文化を少し取り込んでいる為アルター内にある区でも文化が違ったりする。
2区であるこの区はのどかな田舎とされていて大して人は来ない区域である。そのためこの学校はあまり全校生徒は多くなく、全校生徒の人数は70人で、翔、心、弥里がいる3年1組は学級人数11人である。
「良し学校着いたなー」
そんな声を翔が出しつつ3人は校門を通り自分達のクラスである3年1組の靴箱に靴を入れシューズに履き替え3年校舎の方へ雑談をしながら歩いていく。
ガラガラと教室の扉が開くと中にいた制服を来た男女がこちらを見た。
━━━━おはよぉー
と3人が声をかけると中にいた数人が
━━━━おはよぉー
と挨拶を返す。
荷物を起き教科書類を自分の机の中に入れ、宿題を提出し周りにいる友達に3人はそれぞれ話しかけに行く。
この学校は特殊で、1年生~3年生までずっと同じクラスである。翔は最初、周りから冷たい目で見られていた。だが段々とクラスの皆から冷たい目で見られることは無くなった。冷たい目で見られるのはこの学校の中で半人者が翔1人だけということが関係していると思うが……まぁそんな話はほっといていいだろう。
このクラスは、3年間一緒にいるだけあって男女分け隔てなく接することが出来る。仲もよくクラス内でのケンカはあまりない、というか先生がいじめなどは絶対に許さない先生だからということも理由の一つである。
そして時間が過ぎていき
午前7時45分
ガラガラと教室のドアが開き先生らしい人が入ってくる。
「はーい席に着けー」
名前は夢圭 莎貴也男性で髪型はケミストルマッシュ顔はイケメン、体型も痩せている。性格は自分に厳しく人に優しく、時に厳しくを体現しているような性格であり生徒からの信頼は厚く、いい先生である
教師である夢圭が教卓の前まで行くとある所をじっと見つめる。
「おい翔、席に着けと言ってるだろ」
少し顔を顰めて翔に言う。
「あっ、はい」
翔はやばいと感じさっと席に着く。クスクスと周りが笑っているのはいつもの光景である。
席を立った眼鏡をかけている女の子がスタスタと先生の教卓の前まで行き教卓の横に付いている朝の会、帰りの会表を取って教室を見渡す。
「起立、姿勢、礼」
「「「おはようございます」」」
教室に響く大きな声で挨拶をする。
「おはようございます」
夢圭が挨拶を返したあと、生徒たちは座る。
日直の眼鏡を付けた女子、春雨 凛巳が前で今日の目標などを言ったあと教師である夢圭の話になった。日直である凛巳が席に着くと夢見が話し始める。
「え〜今日は1、2時間目に保体があります。着替えを済ませて校庭に8時に集合すること。」
と言うと日直である凛巳の方を見る。
「起立、姿勢、礼」
「「「ありがとうございました」」」
生徒たちがそう言うと夢圭はドアを開け出ていく。
朝の会が終わると女子が全員でていき、隣の2組の男子が入ってくる。
「翔、早く着替えるぞ」
「へーい」
翔と心は着替えを取りに廊下へ行く。するとある疑問に翔は気づいた。
「(あれ?俺のバッグがないな)」
翔が疑問に思っていたら2組のヤンキー 鐘有 利人が翔のバックを持っていた。
「そのバッグってこれのことだろ?」
ニヤニヤしながらみせてくる利人、翔は若干イラッとしたがそれを表に出すことは無い。
「バッグ見つけてくれてありがとうね」
そう言って利人の持っている自分のバックを貰おうとすると、利人はそれを渡そうとしない。
「えっなんで渡さないの?」
「逆に渡す訳ねぇだろ馬鹿かお前」
━━━━えっ?なんで渡してくれないの?俺のバックだよ?
そう言いたい気持ちをぐっと堪えて厄介事になったと頭を抱える。
「いいかてめぇみてぇなやつがなんで心さんの隣にいやがんだよ!」
「(なんで心のことを心さんって読んでんだっけこの人・・・あっそうだ!心が1年生の頃この……利人っていう人が保体の時間に心と模擬戦をやった結果利人が心にボコボコにされた。だから利人は心に対してさん付けをしてるということがあったなそう言えば……。だからと言って心の隣にいるだけキレられるって理不尽じゃない???)」
疑問が絶えない翔である。
保体の時間では制御授業と模擬戦授業あとテスト授業がある。
制御授業はほとんどの時間でやっている、能力を制御するための授業の事
模擬戦授業は1ヶ月に1回だけあるもので生徒同士で勝負し、その戦いで能力をちゃんと扱いきれているかを見る為の定期テストのようなもの
テスト授業は学期末にあるテストのことであり能力を制御出来ているかを見る為、その生徒一人一人に渡される能力制御書にどれだけ制御出来たか軍人直々にその表に点数として表したもの。学期末に貰う成績表での保体の評価項目に直結する授業である。
「俺の友達なんだ、虐めるのはやめてくれないか。」
心が利人に対して睨みつけながらそう言う。
「こんな弱そうな半人者が心さんの友達ってそれはないでしょう」
翔の事を鼻で笑うようにする利人に心が笑い出す。
「ははははは、じゃあ丁度今日ある模擬戦授業で翔と戦ってみたら?言っとくけど翔は強いよ半人者だけど。」
挑発的な笑みをする心に感化された利人は翔を見る。
「今日の授業、模擬戦でお前をぶっ倒す。絶対にてめぇより俺が強いことを証明してやるよそして今度こそ俺は貴方勝つ!!」
心に指を指し話が終わったあと利人は持っていた翔のバッグを返し3年1組に入り体操服に着替え始める。
「(ヤンキーなのにしっかりしてる所はしっかりしてんの面白いな。服もちゃんと正してるし心に対しては敬語だし……口と行動を考えたらいい人そうなのにな〜・・・じゃね〜!!)」
翔が現実逃避をしている最中はっと思い出し心の中叫んだ。
「勝手に決めんなよな・・・」
「ん?なんか言った?」
「何も・・・」
と翔が言いつつ心と一緒に3年1組で体操服に着替える。
心と翔が着替えていると心が話かけてきた。
「お前一人称が僕になったり俺になったりしてないか?昔から思ってたんだが」
昔から思っていた疑問をぶつける心
「えっそうなの?」
「はぁ?自覚症状ないのかよ?!」
「うん」
少々呆れられる翔である。
「翔、自分の一人称はどっちなの?」
「俺です」
「じゃあずっと俺にしてくれないか?お前が急に僕に変わるとすげぇびっくりするし何より気持ち悪いって感じちゃうんだよ。
本当に嫌そうに言う心に翔は心の気持ちを理解した。
「まあ気をつけるよ」
そんな返事をする翔であったが自分でも疑問になっていた。
「(なんで俺、僕って言う時あるんだろうな〜自分でも分からないんだよなー)」
そんな疑問を抱きつつ、会話と着替えが終わり帽子を被って校庭まで急いで言った。
午前8時
校庭は校舎の3倍以上はある広さでその校庭にはスペクトルスタンドのような形をしたパネル状の機械が校庭の右側に縦列で2個設置されている。
まあ今日の保体では1つしか使わないが・・・
その機械の名は能力制御訓練装置とそのままの意味の名前が付いている。
その機械がある場所に3年1組の担任夢圭と3年2組の担任をしている讃岐 竜二という先生が3年1組と2組の生徒達の前にいる。1組の保体部の部長が号令をかける
「姿勢、礼」
「「「お願いします」」」
2クラスが同時に挨拶をする。
すると1組の担任夢圭が生徒全員に挨拶をした。
「はい、お願いします、今日は1ヶ月に1回の模擬戦授業です。最新の注意をはらうがくれぐれも怪我には気をつけるように、ルールはもうやっているから分かると思うが一様言っておく、簡単にだけどな、首元にはこのセンサーライトを付けてもらう、このセンサーライトが光ったらその者が負けとなる」
このセンサーライトは高い耐久性があり色々な衝撃にも耐えることが出来る、何故、耐久性が必要なのか、理由は能力の力にも耐えるためである。訓練用に使うためには生半可な耐久性では意味がない、だからこそ耐久性を上げることになった。このセンサーライトに当たると光るような仕組みになっている。
「模擬戦をやる相手を決める時間を1分とるお互い実力が同じぐらいの人の方がいいだろう、 もう決めていいぞ」
1組と2組の生徒が誰とするか決めるためにがやがやと話している。
だが2組のヤンチー、利人が立つと1組の男子の方へ向かっていく翔の目の前で止まり強引に翔の腕を取り上に上げた。
「夢圭先生、今日はこいつとやります。」
2組から驚きとともにクスクスと笑い声が聞こえて来た。まるで弱者を馬鹿にするようなそんな声で。笑っていない人もいるがだいだいの人は影で笑っていた。
━━━━なんであんなやつと?
とか
━━━━あの半人者が可哀想
とか色々な声が翔の耳に届く。翔は別にそんなイラッともしていなかった、こんなこともう慣れてしまっていたから。
1組の女の子1人が心配するかのように翔に近づく。
名前は花園 楓今年4月、3年1組に転校してきた。良く翔と話すことが多い。
「本当に大丈夫なんですか?翔さん」
「分かんないけどまあ一様鍛えてるから身体は頑丈な方だと思う。」
「(えっ鍛えてるんですか?)」
という楓の心の中の疑問は闇の中に消えていった。1組の生徒たちからは何も心配の声などは上がらなかった。
そして翔を笑った生徒は夢圭からこっぴどく怒られていた。
ついに翔と利人が勝負する時間になった。
2人は能力制御訓練装置の内側の方に入り、1組の担任夢圭がパネルを操作するとその能力制御訓練装置の指定された範囲、半径25㎥のドーム状の綺麗なバリアフィールドが出来ていた。外側から見れば半透明のバリアのようなものがドームのように覆われており強度は銃を打たれても傷がつかない、代わりに能力制御訓練装置を壊されるとすぐにバリアは消えてしまう仕組みである。
中に入った2人は見つめ合うその戦う時を待って。
先生達にバレないように2組の大半の生徒達は静かに笑っているが1組に笑っている者などいなかった。
1組の生徒達は知っている、翔がどれほど強いかを、そして2組の生徒達は知らないのだ、翔がどれだけ強いかをその半人者が弱いという偏見はこの戦いで消えることになるとは2組の生徒たちは知る由もない。
夢圭のカウントダウンが始まる。
「3……2……1……始め!」
翔と利人は同時に地を力いっぱいに蹴る、
そして拳と拳がぶつかり合い、ドンッ!!っと拳と拳がぶつかり合った激しい音が辺りに響き渡る、利人は翔に少々押され気味である。翔は表情を変えないで、利人は悔しそうにしてしょうがないと後ろに引く。
「ちっ鍛えてるっていうのは伊達じゃないみたいだな身体能力は俺以上かよ。」
(心さんが言った通りちゃんと強えぇ、しかもなんだ……あの構え)
自分の疑問を翔に嫌々ながらも聞いた。
「てめぇなんだその構えは」
「流挙って言う構えだよ、お父さんから教えて貰ったんだー他にも、攻挙って言う構えがあるよ、お父さんが言うにこの2つ構えは体術での基本の構えだって言ってた。」
「(まあ別にこんな事ぐらいは教えても問題はないと思うけど)」
心の中では少し心配している様子の翔であるが、聞いた本人である利人は疑問が絶えなかった、
「(は?流挙?攻挙?なんのこと言ってんだ?あと自分の父親から教えてもらったっててめぇの父親、何者なんだよ!?)」
そんなことを心の中で大声で鳴り散らすようにして言っていた・・・
一方この模擬戦を見て嬉しそうにしている1組担任の夢圭。目を見開きながら戦闘を見ている2組担任の讃岐。1組は悠々と、2組は驚きを隠せない様子だった。何故ならクラス1番の力持ちがあんなひ弱そうな身体をしてる奴に力で負けたのだ、利人は今、能力を使っていないがそんな結果になるとは2組全員誰も考えてもなかったのだ。
戦闘は翔と利人の殴り合いが続いていた、翔は利人に対してダメージをあまり与えることが出来なかった、が利人からの攻撃のダメージはない、綺麗に攻撃を受け流している感じである。殴られる時の衝撃を受け流し自分に対してのダメージは無くす。
これが流挙の構え、全てを受け流す流挙の所以である。
対して利人はと言うと自分の反射神経により翔の攻撃をスレスレで避けている利人は、埒が明かないと思ったのか地面の砂を手で掴みながら言った。
「【物質変化】」
利人そう言うと掴んだ砂が60cmぐらい棒になった、これが利人の能力、【物質を変化させる能力】の力である。
翔は少し考えるとまたさっきと同じようにダッシュで利人に近づき左拳で殴りかかる、すると利人は持っている砂の棒を振るい、利人の持っていた棒と翔の拳がぶつかり合う。
「イッタ!!」
苦痛の表情になる翔。それもそのはず利人が作った砂の棒には質量があるつまり圧縮されているのだ、だからとても硬く、崩れにくいのである、しかもそれが材料さえあれば何個でもできる、面倒臭い事この上ない。だがこれは利人が自分の能力の制御がしっかりしているからでありただ砂の棒を作っただけだと砂の棒にはなるが握っただけで崩れたりしてしまう為利人の能力制御はとても洗練されているのである。
ちゃんと武器としての性能もあるため、素手VS棒では相性が悪い。
「(奪えば・・・ダメだなまた作られて終わりだ………嫌でもその奪った棒を武器として使えるんじゃ?作られないよう一瞬で間合いを詰めれば棒の長いリーチを活かしてセンサーライトに当てられるんじゃ・・・)」
そう作戦を考えすぐに、翔は利人の棒を奪う為に急激に接近する、利人は即座に反応し棒を振るおうとした時、翔はその棒を掴み強引に奪い取った。そしてその棒で利人の首元に付いているセンサーライトに向かって振るおうとするとその棒はサッと砂へと変わってしまった。
「!?」
翔は少し動揺したことによって大きな隙が生まれ利人による回し蹴りをもろに受け吹き飛ばされバリアに直撃する。
「ぐっ…いい作戦だと思ったんだけどな」
苦しそうにしながらバリアに背中を付け悔しがるようにそう言った。
「いい作戦だったんじゃねーか?……まあ物質を変化させるんだから棒の状態から砂の状態になるってことも考えた方が良かったな。」
利人がそう言っていると翔は気絶したかように目を閉じてしまった。
利人は歩を進める。自分の勝ちを確信しながら翔の前まで行き首元にあるセンサーライトに触れようとする。
「あのさー俺いつ負けって言ったけ?」
さっきまで目をつぶっていた翔がはっと目を開き告げる。
翔は利人を殴ろうとバリアに背中を付け腰を下ろしながら利人の腹を目指して拳を前に出す、まるでボクシングのジャブのようなスピードで、利人はそれにすら反応し後ろに引く。
「まじか今のも当たんないか、」
顔を顰めながら面白くなさそうに言う翔。
「てめぇ騙したのか?」
「騙してねぇよ!気絶しかけてたけどそっから息吹き返しただけだわ!」
翔は自分を睨らんでいる利人に少々焦りながらも説明をする、さっきまで激しい戦闘をやっていたとは思えない空気感である。
「ふー良し第2ラウンド始めますかね、こっからは本気で攻めるぞ」
翔の一言によりその場の雰囲気は一変する。そして翔が構えるとさっきの流挙とはまた違う構えになっていた。
攻撃に特化した構え、攻挙の構えになった翔を利人は気が付き警戒を強める。翔は大きな深呼吸をした後集中し拳に半透明な膜のようなものが出来た。その膜は薄くすぐに割れてしまいそうだが翔は問題ないとばかりに地を力いっぱいに蹴り高速で移動し距離を詰める、利人は棒でその拳を受け止めようと大振りで攻撃を加える、だが翔にはそれが遅く見えた、よく見るとさっきと構えが変わっていたのだ。地を力いっぱいに蹴ると同時に翔の構えは変化していたそれは流挙でもなく攻挙でもない構え、流挙と攻挙が合わさったかのような構えになっていた。
利人はそれに気づかずそのまま棒を振るうと翔の左腕で簡単に弾かれ利人は大きく体勢を崩す。翔は膜のおかげなのか手に一切の傷はなくそのまま利人の攻撃を弾き、すかさず後ろに回り込み利人の首元に全体重を入れた重い一撃を入れた、センサーライトがついたことによって翔と利人の長かったような短い戦闘は終わりを迎えた。
その時間わずか3分・・・
1組では完全にお祝いムードである。クラス全員で大喜びしておりなんなら先生ですら喜んでいる。
対して2組は絶句していた。
━━━━嘘だろ、クラスの最強があんなやつに?!
━━━━あれ絶対能力使ってるでしょ?!
などなど様々な声が聞こえてくる
「・・・負け方が俺と一緒だな、うまく翔にはめられた感じだな。翔は最初 相手の能力を見ようとする相手が面倒臭い事をして能力を使わせるようにした後その能力に対して対策を立ててから倒すっていうのがあいつの戦法だからな〜……だから利人は能力を使う時をもっと考えれば勝てたかもしれないな〜。まあ俺もそれで1回負けたんだけどな・・・まあ負けたの1回だけだし……。」
ずっと真剣にその戦闘を見ていた心はその戦闘が終わると利人の敗因をあげた後翔に負けた日を考え少し不機嫌になり負け惜しみを呟くのだった。
「ゴホッ……ゴホッ!・・・まじか…負けちまった」
地べたに座り込みながらそう呟く利人。
「なぁてめぇに聞きたいことがあるんだけどよ、なんでお前は1、2年の時はいなかったんだ?」
利人が戦う前からずっと思っていた疑問、学年は変わらないのだから模擬戦授業とテスト授業で見なかったのはおかしいのであると利人はかんがえていた。
「俺はずっと前の担任の先生から保体は参加するなって言われてたんだ、まあ先生って言っても2年生の時までの先生だけどね」
翔が発言したことに利人は驚きを隠せないようだった。
「ずっと俺は保体の授業に参加したことなんてなかったよ、だけど夢圭先生が━━━お前も授業受けないとダメだろ!って言ったから保体の授業に参加することになった。今までは見てただけなんだけどね。」
少し微笑みながらそして静かなトーンで言った翔を見た利人はそっぽを向きさっさとこのバリアフィールドから出ようとスタスタと歩いていった。
「酷でぇ扱いは変わんねーだな、なんかショックだわ……」
肩をガックシとおとしながら利人について行く翔だった。
模擬戦1回戦目が終わり次に行こうと1組の担任の夢圭がパネルを操作しようと歩いていくと急に倒れてしまった。
教師が気絶したことによって周りの生徒は混乱に陥ることになった。
女子は悲鳴を上げ、男子は何が起きているのかよくわかっていない様子である。
「どうしました大丈夫ですか?!」
その異変にいち早く気づいたら2組の担任竜二が夢圭の近くに行った瞬間2組能力担任竜二も倒れてしまった。生徒達もどんどんと気絶していき逃げようと走っていく生徒たちも結局気絶してしまった。
「なんだ?これ………」
目の前で起きていることに恐怖を覚えると共になんでこうなっているかを心は考えていただが急に目の前はフェードアウトしやがて意識は闇の中へと消えていった・・・
周りの生徒達がどんどんと倒れていくのを見ていた、利人と翔。
「(一体、一体何が今起こっているんだ?!)」
疑問が自分心の中でループしていたが、周りを見ると校庭の右奥から左奥にある道路の右側の歩道に人影が微かに見えた、そいつは身体が、がっしりしているため男だとすぐに気づけた。その男が不自然なのは見て取れる。この光景を見て平然としており明らかにおかしい。フードを被っておりそのフードには謎の印?があった。顔は見えないがあまり身長は高くないと思っている時そのフードを被っている男と目があったような……気がした。すると翔の意識もまた闇の中へと消えていくのだった。
「やっと終わったか、案外めんどくさいもんなんだな〜」
校庭にいた生徒達と教師が全て気絶した後フェンス越しでこの光景を見ていたフードを被った男がそのフェンスを軽々と飛び越えて校庭内に入った。3mぐらいあるフェンスを軽々と………
「組織の任務でこの街に来たが、さーているかねーここに計画の“核”が・・・」
そしてその男は校庭で気絶している生徒1人1人に手をかざしていき
「【情報の干渉】」
右手から謎の薄い青色の光を放ちながらそう言った・・・