第10話 事件の傷
《》は自己紹介のようなものです。
「どういうことですか?!」
「どういうことだァ?!」
楓と利人は同時に叫んだ
「・・・」
病室の中に入ってきた軍人2人を見て、はあ〜と深いため息をついた悠斗。
「隊長と俺の顔が似てるん━━━・・・」
「まあ変装しているから気づかないだろうね。」
悠斗の発言を遮るように軍人が言う。
悠斗は言った軍人を睨むが気づいていない。もう1人の方はそれに気がついたのかめちゃくちゃに焦っている。だがさっき言った軍人は止まらない。
「この人は、世界最強の軍人と言われている。神代 慎也総隊長だ!!」
食い気味に、興奮気味に言う軍人。もう1人の軍人は慎也と慎也の正体を言った軍人を交互に見る。相当焦っている様子である。楓と利人は呆然となり、慎也ははーと深いため息をつく。
「え?、ちょ、どういうことですか?!」
「訳わかんねぇーんだが?」
慎也に問い詰めるように楓と利人は聞く。
「・・・分かった。本当のことを言うよ」
と半ば諦め気味に言うのだった。
《神代 慎也。世界最強の軍人にして、世界バトルシップの8年連続チャンピオンであり、殿堂入りを果たした者である。
国、アルターの軍事防衛機関(軍)の総隊長をしており、二つ名は[世界から認められた最強]である。》
「あの事件が起きた際居たのは本当にたまたまで、久しぶりの休みが出来たため、知り合いに会うために雅狩町を訪れたんだ。その知り合いというのが翔の父と母である神木 業と神木 冥華だ。その時に事件が発生した。」
と慎也から聞いた利人はずっと疑問だったことが晴れた。あの事件の時、心に刀で切りつけてきた者を止めたのが今思えば慎也だったと考えれば納得出来る。只者じゃないことは分かっていたが予想以上に凄い人であったため驚くことしか出来ない利人である。それを知らない楓であったが直感的にこの人は只者じゃないと思っていたが世界最強と聞き苦笑いしか出なかった。
「「(人生って何が起きるか分からないな……)」」
と利人と楓はしみじみと思った。
「黙っていたのは許してくれ。こっちも一様軍の頂点、立場上姿を変えてる状態はバレたくないんだ。まああのバカ達が口滑らしたせいで言い訳もできなくなったがな。」
「「すみません」」
慎也の目が怖いのかガタガタと震えている。
「そこで眠っている翔と心には言っていいがそれ以外の人には言わないように頼む。」
「分かりました。」
楓が了承して、利人も無言で頷く。
すると、病床からゴソゴソと音がした。全員そちらを振り向くと翔と心が眠りから覚めた。
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突然広がる視界。さっきまでの暗い所じゃない明るい場所だ。そして俺の重たい瞼を開くと、そこは見た事のない所だった。
「はっ!」
俺が跳ね起きるとそこは病室だった。そして目の前には利人さんと楓と海斗さんと……軍人の人?が居た。人多くない?というのが自分の中の感想である。そしてさっきのアレは、夢だったと確信も出来た。だが最後に名前を言ったアイツ、確かルシアだっけな。アイツは一体なんなんだ?そう思っていると楓の声が聞こえる。
「翔さん!」
満面の笑みでこちらを見る楓は可愛いの一言で十分だった。
「よぉ、起きたか?」
「まあな。いい目覚めでは無いけど。」
自分から見て奥の病床には心と利人さんが話をしてる。心は無言でこちらを向く微笑んだので俺も微笑んだのだった。
そしてここからは後日談だ。まず、海斗さんがあの最強の軍人である、神代 慎也であったことを知った。俺と心はめちゃくちゃびっくりしたが楓と利人は先に聞いていたようで驚いた様子はなかった。次に病室に居た2人の軍人さんからの報告だ。まずこの事件を元凶は犯罪組織【狂乱師団】であったことを知った。目的などは謎であるが町の人や家族の命を奪った奴らである、その報告を聞いていた時は怒りでどうにかなりそうだったが今怒ってもどうにもならないため自分の怒りを頑張って押えた。そして時間は午後になり俺たち4人は慎也さんに1番心配されていた心の検診を受けることになった。結果はボロボロの状態であり全員が壊れかけ、良くこれで耐えられていると医者に言われてしまった。あれだけの惨劇があっただけに自分達が思っている以上に心は疲労していた。心の検診の後、結果を報告しに慎也さんのところに行くと「お前らは精神的に疲れているんだろ?だったらこれから2日間は絶対に休んどけ。」と言われ俺たちはこの日すぐに休むことになった。
そして2日が経ち、今精神もだいぶ落ち着いてきた状態になっている。そして慎也さんの情報だと今日は事情聴取の日なのだとか。場所は病院から離れ、警察署で行うらしい。警察署に行くために慎也さんが車を出してくれた。まあその車が軍用車だからか全然落ち着くことは出来なかったというのは内緒である。そして事情聴取が始まった。その事情聴取の場には軍人や警察の方々が多くいたため緊張したが、事件の時どういうことがあったか、包み隠さず全部言った。そして俺たち4人の事情聴取は終わった。
今回の事件はテロ事件とされており、死者は万を超えている。この事件は世界に報道され、世界を震撼させた。この事件は後々、雅狩町爆発テロ事件とされ有名になった。
事情聴取が終わり、残るのは身元の引き取りだけとなった。楓は親戚の人が身元引き取り人となり、後日来るそうだ。心は父親の方のじいちゃんばあちゃんに引き取られるらしい。利人さんは誰もいない。悲しいことに早期に母と父が死に頼りにしていたおばも死に、引き取ってくれる人がいない。でもそれは俺も一緒である。俺のお父さんとお母さんはおばもおじもいないのである。だから俺の身元引き取り人もいないのだ。
俺と利人さんはこのまま児童養護施設に入れられるかもしれない。そう思うと少し悲しかった。本当にもうお父さんやお母さんがいない現実を叩きつけられ俺の心は憂鬱になったまま次の日を迎えた。
今回の解説コーナーはあります。
今回、解説するのは世界バトルシップというものについてです。
世界バトルシップとは:まずバトルシップの説明をします。バトルシップとは普通の人間で行うスポーツのようなものだと思っていいです。ルールは能力や格闘術などで相手を気絶させることが勝利条件です。能力者のだけや半人者だけの大会もあります。そしてそのバトルシップの最高峰それが世界バトルシップです。
ということで今回の解説は終わります。では〜