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イリアーゼの投げた枕はイリアーゼの狙い通り相手の顔面に当たった。


「う、ぐっ…!」


相手の姿はやはり外にいた男たちと似たような姿だった。

イリアーゼは男が手で顔を押さえて下を向いたと同時に窓から外に出る。イリアーゼのいた部屋は2階で幸い窓の外は屋根があったため下に落ちる事はなかった。


「待ちやがれ!!」


男が回復したのだろうイリアーゼを追って窓から出てこようとしたところをイリアーゼは外開きだった窓を思い切り閉めた。

急に閉まった窓に驚き後ろに下がった男を尻目にイリアーゼは屋根を移動する。一番上まで来てイリアーゼは辺りを見渡す。


(あの人たちはなんなの?、ミリヤは無事なの!?)


屋根の上から施設の外の入り口にいる柄の悪い男たちは5人、その近くには縄で縛られている人が3人

イリアーゼからは離れていて顔は確認できないが捕まっている人は服装からしてこの宿泊施設の従業員のようだ。


「おい、逃げんじゃねえよ!」


イリアーゼを追って男が来たのでイリアーゼは距離をとる。だが屋根の上で逃げる場所は限られているのですぐに追い詰められた。


対面する男は柄が悪く手には縄と手入れが出来ていない剣を持ってイリアーゼを威嚇する。


「は、もう逃げ場はないぜ?大人しくこっちにこい!!」


「…あなたたちは、なんの目的でこちらに?」


「あ?んなのどうでもいいだろ!?…早くこい!まだ探さなきゃいけねえ女がいんだよ!」


「探さなきゃいけない女?」


イリアーゼが問いかけると苛立ったように進んできた男が急に思い付いたと言わんばかりに話しかけてきた。


「あ?あーちょうどいい、お前貴族の女が来てるの知ってるか?お前と同い年くらいの」


(貴族の女、私の事だろうか? )


「お前はここの村人だろ?知ってるなら話せ!」


(なんで私が村人だと…ああ、そうか私がこの服装だから…それなら)


朝に着替えた服装のお陰で私が探している貴族の女だと気づかれていないようだ。


「…知らないです。」


「はあ?いたのに知らないなんてありえないだろ!?」


「私が来たのは一時間程前です。…私は頼まれて部屋の掃除をしていました。」


(このまま村人の振りをしてやり過ごそう。私は女だし直ぐに殺されることはないはず。運が良ければミリヤと会えるかも)


「なんだ役に立たねえな、なら手こずらせんなよ」


男は近寄ってくるとイリアーゼを強く縄で拘束した。


「痛…」


「うるせーな!とっととこい!たっく、とんだ無駄足じゃねえか!」


イリアーゼは繋がっている縄を引っ張られながらイリアーゼが元いた部屋に連れ戻される。


「おい、いたか?」


部屋に戻るとイリアーゼを拘束している男の仲間がいた。


「捕まえたのはこの娘一人だ。貴族の女は見てねえ」


「くそっ!どこにいきやがった!」


「なあ、本当にここなのか?女はこいつ一人しかいないぜ?」


男たちの言葉にイリアーゼは驚いて声が出そうになったがなんとか堪えた。


(女が、私一人?そんなわけない。ミリヤは?見つかってないなら無事なの?)


そう思うと少し安心した。ミリヤが見つかっていないならいつか助けが来るかもしれない。


「おい!女こい!」


話し合っていた男たちが話終えたのかイリアーゼを別の場所に移動させるために縄を勢いよく引っ張る。

そのせいでイリアーゼはよろめいてしまい倒れこんだ。


「っ、…いた」


(縄で縛られてて上手く立てないのに)


「いちいち転んでるんじゃねえよ」


イリアーゼを縄で拘束している男がイリアーゼを立たせようとしたが動作を止めて床に横たわるイリアーゼの身体を舐めるように見てきた。


(なんなの?気持ち悪い)


「ふーん、この辺の娘にしたら体つきは良いな」


その発言にもう一人の男がイリアーゼの髪をつかんで顔を覗きこんできた。


「そうだな顔は…駄目だ傷がある。」


「…っ」


髪を掴まれた頭皮の痛みにイリアーゼは顔を歪める。


「顔に傷?おい、それって探してる女の特徴と一致してるじゃねえか!」


「だがよ、追放されたとはいえ貴族の女が顔に傷なんて残しておくか?しかも母親は元王女で魔力がその辺の奴より多いんだ顔に傷なんてあったら自分で治すだろ?」


「そういやそうだな。俺に捕まる前に魔法も使わなかったし」


男に髪を離されてイリアーゼはバランスが取れずそのまま床に頭が落ちる。


「うっ…」


床にぶつかった痛みに耐えているイリアーゼの顎を掴んで男がニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべる。


「お前残念だったな、貴族の女だったらもしかしたら助かったかもしれねーのに平民の村娘のお前はこのまま売られるんだぜ?」


「顔に傷はあるが、その体なら稼げんだろ?なんなら今オレらがお前が売れるか調べてやるよ」


「…っ、や!」


縄で縛られた身体で抵抗しようとするもろくな抵抗は出来ない。イリアーゼは朝寝起きしたベットの上に落とされると後ろと前から男たちに挟まれた。

男たちの手がイリアーゼの身体に服越しに触れる。触られた場所は服越しなのに気持ち悪くて鳥肌がたち、涙が目から溢れてきた。


「いや、…やめっ!」


必死に縛られながらも服を脱がされないように抵抗するイリアーゼのその姿は男たちを煽るだけだった。


「なんだお前こんな身体しながら初めてかあ?」


「ヤったら商品価値は下がるが元々傷もんだ。後で痛い目にあわないで済むんだオレらに感謝しろよ?」


「ははっ、違いねえな!」


散々なことを言われながら身体をまさぐられる。目の前の男がイリアーゼの片足を上げた時には限界だった。


「っ、嫌だって、言ってるでしょう!!」


叫びながら目の前の男の股間に勢いよく上げた足を当て、その反動で後ろにいる男の顔に頭突きを食らわせる。


「ぐ!…うっ!!」

「ぶっ!ぐが…!」


正直賭けで繰り出した頭突きは運良く後ろにいる男の鼻に当たったようだ。男たちが怯んだその隙に身体を捻り唯一自由な足で部屋を出る。


「待ちやがれ!」


男たちの声に振り向くことなく廊下を走る。


(どこに行けばいいの?入り口はあの男たちの仲間がいたし…ミリヤ、ミリヤは無事なの!?)


走り続けると途中にあった部屋のドアから手が出てきてイリアーゼが声をだす前に部屋の中へと引っ張られた。

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