第三十四話 変身【挿絵有り】
ご無沙汰して、すいませんでした。
立花 耀市です。
この三十四話には、挿絵が有ります。読者の方のイメージと、違ってしまうかも知れません。
表示、非表示を選べる様ですので。
イラストは、みてみんから、輝です。
輝は、僕のイラストを描く時のペンネームで、文章と絵を自分で描いています。
ソーサリースフィア世界と地球を行き来するのは、大魔法〈異世界転移〉。
これを使えるものは神々、天使長の中にもほとんどいない。
その他。例外は、航路を入力した従神の力を借りる事と、何処にでも存在出来る少女アーカーシャ。
記憶乙女。彼女は、全てを記憶すると言う。
その記憶を地球側で空達が、ソーサリースフィア側でクラトスが、定期的に確認していたが。
全てを見た訳ではない。
大まかな、時間と場所、または人物を指定しないと、どこを検索して見せたら良いか分からないらしい。
空と、天使長達は情報交換した。
「今でも神々麾下の天使軍が、魔王軍と戦っています。総数が多いのと、魔剣覇王タナトスが、まだ魔王軍に残っている筈なので、楽観出来ません」
戦力図を、クリムが魔法で出現させる。
魔王ナリーン麾下に降ったガンマール魔導王だったガノも所在が分からない。
「月の女神アスタルテ様は、メティス様を思って、毎日泣いています」
そう言ってシャルロットは、空の許嫁達の話を聞いて。
「アスタルテ様も空様の、許嫁に迎えて上げて下さい。好きですよね? あんな可憐な女神様。恋しているのに、可哀想ですよ」
「メティス様の御父君、妖精神ユリシス様が、妖精界にかなりのガンマール人を保護して下さっています」
と、ソフィア。
聖従神ブリジット、雷従神レウコテア、炎従神レーヴァテインは、万能型の天使クリムの魔法を強化。異世界転移し、ここに来た事も告げる。
「地球への航路は、クラトス神が入れ直したのだろうね」
「はい。でも、ブリジットの魔力も大きく使ってしまったので、再び転移出来るのは大分先になります。でも、空様なら?」
「うん。君達の中で、異世界転移が使えるのはクリムだけ?」
「はい。空様。ソーサリースフィアに帰還して頂けますか?」
天使達が見つめる。
「この地球は。機械神に索敵、攻撃を受ける可能性がある。僕が、地球と月を、この原始銀河に移動させた様に、そのまま、ソーサリースフィア世界へ持って行く?」
思考が巡る。
メティスだった頃の力は、まだ回復しきっていないが、空、ケルベロスちゃん、秋一、蛍、守護天使長達。
そして、ファウナの実力は、巫女として彼女が歩んだ長い年月で、人でありながら守護天使長級。
かなりの戦力だ。
魔王軍は、魔剣覇王以外の大魔王を失っていると言う。
問題は、機械神。どれ程レベルを上げているか。
「機械神が地球を見つけるかも分かりません。私たち3人に、空様、ケルベロスちゃんが帰還される迄の守護を、どうか務めさせて下さい」
「うん。ありがとう」
空の返事に、天使達は頷き、微笑みあった。
空からは、彼が人々に自衛手段を与える為に創った、オンラインRPGゲームの形を取っているゲーム版ソーサリースフィアの話をした。
サーバーと、データベースに、異空間に在る従神機械化兵、冥従神ハーデスのコアを利用している。
アーカーシャの記憶と連携するそれは、魔王軍や魔物との戦闘を、ゲーム内でする事が出来る。
与えられた武器、防具、アイテムは、実は現実世界でも使える本物の宝物、神器、魔導具。
プレイヤーには、能力がフィードバックされ、超人的に、魂、肉体が鍛えられる。
地球は、軍事力を持つ国家が在る。
近代兵器の力は、ソーサリースフィア世界でも充分脅威を持つ物。
だけど、魔力、神威を持つ者。神技、スキルを持つ者は、個人でその国家と戦える者がいるのだ。
プレイヤー達の現状のレベル、職業、武具を聞いて、天使達は感心。
「「私達も鍛えて下さい。空様」」
夕方になり、帰宅した甲斐 秋一に、天使を引き合わせると。
秋一は微笑み。
「空の知り合いは、皆んな可愛いね」
そう言われて、悪い気はしない。
「フィアンセ増えないよね?」
クリム、シャルロット、ソフィア、エヴェリン、ラウラは甲斐夫妻を見て。
舌を巻いた。
「亜神、剣聖・・・・・・。貴神、迦具夜ですか?」
神々は、神威と言われる力を帯びている。
それぞれ、力に差は有るのだが。その強弱で、ランク付けが有る。
「・・・・・・SSR級なんじゃないの? アスタルテ様より強い?」
「うん。特に、父さんは今の僕より強いよ♪」
シャルロットに答えた空。
「僕もびっくりだよ」
「私達の出る幕は無いですか?」
シャルロットが眉を下げて、聞くと。
首を横に振る空。
「ううん。心強いよ。来てくれてありがとう」
シャルロットが頬を染め、元気に応えた。
「はい♪」
ほのぼのと、笑顔が広がって。
その日から、天使は甲斐家の客間に揃って泊まる事になった。
◆
ゴールデンウィーク明け、甲斐家に担任の家庭訪問が有った。
池田 悠先生は、4年生の時からの担任で、まだ20代の女性の先生だ。
甲斐 蛍が空と、迎え入れる。
「先生。ようこそ、いらっしゃいました」
「え?」
「?」
「「先生?」」
「空君、お姉さんがいたの? 初めまして。私、空君の担任の池田 悠と言います。お母様か、お父様はご在宅かな?」
「主人は、外せない仕事で、すいません。留守にしてます。悠先生? 私です。空の母の甲斐 蛍です」
「え?」
池田先生は、記憶力が良い。確かに甲斐 蛍にそっくりに見えた。
でも。
(若過ぎるわ?! 10代の女の子じゃないの?!)
記憶の蛍は、若くて可愛らしいと評判の母親だったが。
(更に若返った!?)
「あ、ええ? 本当に蛍さんですか? ご親戚の方では?」
「はい♪ 先生、お久しぶりです。どうぞ、お上がり下さい」
「???」
池田先生は、リビングに通され、出されたお茶とお菓子を恐縮しながら、口を付ける。
「学校での空君は、とても真面目で、良い子で、クラスでもお友達が多くて、人気なんです。藤林さんの事はご存知ですか?」
「はい♪ 空の大切な娘(の1人)です♪ 空と仲良しさんです」
「ご存知でしたか。とても初々しい可愛らしいカップルさんなので。ご両親も公認なら、良かったです」
「はい♪」
空の学校での様子を話し、家庭での様子と、進路の話をした。
「進路は、空君の成績なら受験してどこでも入れます。希望校は、お有りですか?」
でも、頭の中は蛍の若さの秘訣で一杯だ。
「・・・・・・あの、蛍さん。失礼とは思ったのですが、どうしても気になってしまうんです。以前からお美しい方でしたが、お若くなられた様な?」
様子を見ていた空は、
(やっぱりあれじゃあ、不味いよな。記憶を書き換えるしか無いだろうか?)
蛍は、何て答えるだろう。
「良い化粧水を見つけたんです♪」
「「!?」」
「母さん?!」
ガタッ
池田先生が、身を乗り出し。蛍の手を握る。
「是非、蛍さん! 私にもその化粧水、教えて!」
「はい♪」
幸せそうな顔をする池田先生に。
「私も、頂き物なので、少しお譲りしますね。試してみて下さい」
そう言って、蛍は洗面所に向かった。
ワクワクする池田先生の前に座って、空は何が起きても大丈夫な様に心を強く持つ。
暫くして、蛍が、化粧水と思われるボトルを持って現れた。
「どうぞ。池田先生」
「ありがとうございます!」
池田先生は、良いんですか? とは言えなかった。是非、欲しいのだ。
(あれは、一体?)
「!」
ボトルから、本当に力を感じる。
(貴神、迦具夜の能力かな?)
◆
訪問が終わり、午後。
空の部屋に遊びに来ていたのは、藤林姉妹と、クリム、シャルロット、ソフィア、エヴェリン、ラウラ。
7人の可憐な美少女達と、可愛らしい少年空。
ケルベロスちゃんと、ファウナは今日はまだ来ない。
真白は空の一挙手一投足を熱い目で見つめ。
桜は、小さなエヴェリン、ラウラの頭を撫でて、お菓子を口に運んであげて目を細め。
天使達は、ポテトチップを美味しそうに摘んで。ジュースを飲む。
そんな中、部屋の主は突然。
「お知らせしたい事が。前世の半分程に迄、神威が戻りました」
告げた。
(創世神の1柱、メティス様の半分の力!)
真白は前世のメティスをアーカーシャの見せた記憶でしか知らないから、あまりピンと来なかったが、他の皆には意味が伝わった。
「ここまで来ると、後はこれが出来ます」
天に向けて右手人差し指と中指を揃えて立てる動きをした。
すると、奇跡が起きる。
神聖な光が彼の身体を覆い、瞬間、小学6年生の空が突然大人の姿になる。
ちょっと季節外れな格好。キャスケット帽に、オイルドコート、中にはタートルネック。
チノパンは薄い茶系。黄土色?
藤林姉妹、天使達は、目を大きく見開く。
「「「・・・・・・!?」」」
「・・・・・・」
「「空君・・・・・・?」」
「「「空様」」」
(変身した?!)
「はい。空です。戦闘に向けて、ちょっと身体を20歳位の姿にしてみました」
「か、かっこいい」
「う、うん。かっこいい、お兄さんになっちゃった」
姉妹が言うと、人妻のクリムを除く女の子達が、頬を赤く染め興奮している。
「ーーっ」
「凄い! 凄い〜!」
蛍さんに良く似ていた可愛い容姿から、一転。スラリと身長が伸び、温和な風貌ながら、キリっとした眼差しの男性。どこか秋一さんの面影も。
「成長すると、こうなるんだ! そのコーデ、初めてここに来た時の、私の私服に似てる〜。凄い、良いね! 良いね?! 桜ちゃん!」
「うん! うん!」
「僕、真白さんのファッション好きなんです♪」
「前世のメティス様にも劣らない。素敵です! 私も、空様の恋人にして欲しいなぁ〜。アスタルテ様にも見せてあげたい」
シャルロット・スィーが言い、ツインテールが揺れる程、首を縦に振る。
新たなる女の子の気配。
そこで桜は固まってしまった。
桜が黙考。
(かっこいい。空君とは・・・・・・多くの女の子と一緒だけど、私達2人の関係も恋人だよ。でも、それは小学生の空君と、私だからで?)
彼女の顔に、緊張が宿る。
「私は小学生の女の子。まだ6年生」
「「うん?」」
「空君とは、子供同士だから学校でも公認のカップルだったのに」
青ざめる。
「大人の空君に、子供の私!? 周りからは、どう見ても」
「!」
真白も気付く。
空だけが成長して。
釣り合いが取れるのは、ケルベロスちゃんと、気があるなら、ここにいる天使長達くらいではないか。
顎に右手人差し指を添えて考えた。
中学生の真白。小学生の桜。ケルベロスちゃんより歳上なのに、見た目桜以上に小学生のファウナ。
皆んな外見は子供。
ケルベロスちゃんは、高校生くらいに見えなくも無い。
20歳と言えば、大学生くらい。
大学生と高校生のカップルならあり得る気がするが。
大学生と、中学生、小学生のカップルって?
犯罪な気がするのだが。
(ううん! 私はそれでも良い! 空君が好きなんだから! 歳の差なんて関係無い!)
真白はそう思う。
(それに、世の中、年の差婚なんて珍しく無いらしい)
甲斐家は父、秋一は20歳に。母、蛍は18歳に。空が20歳になって。
(みんな神様なんだ。凄い事になってる)
「空君は、小学生の元の姿には戻れるんだよね?」
真白の質問。
女性達の視線に、空の目が泳ぐ。
「「〜〜〜〜〜〜!?」」
青ざめる姉妹。
「すいません! 大丈夫です。戻れます。僕は、大人の姿になれる様、力を取り戻したから。小学生の姿より、この方が強いんですが。駄目ですか?」
子供に頭を下げる大人の姿。
それに返答する桜。
「わ、私も大人に、ううん、ケルベロスちゃん位になれる? 今すぐ!」
「私も!」
と、真白。
困ってしまう。
(冥界神の力は、この姿の時は、最盛期に迫る程取り戻せた。人の成長を戻したり進めたりする事は出来なくは無い。でも)
桜には、僅かな表情の動きで分かった。
「出来るんだね?」
「ご両親、親戚、学友、知人に、いきなり成長したお2人を見せる訳には」
「ちゃんと、説明するから! それに、空君なら、私の成長をまた元に戻せるよね?! 私は、空君とお似合いの恋人同士が良いんです! 空君が大人になるなら、私もして下さい」
「桜ちゃん。ちょっと待って? 空君は、女の子だったら、小学生と中学生と高校生と大人、どんな娘が好み?」
「え」
「お姉ちゃん?」
「大人になったら、空君の好みのタイプじゃ無くなっちゃうかも知れないんだよ? 聞いておいた方が良いよ!」
「「!?」」
(面白くなって来た)
ソフィアは、ポテトチップを食べながら見つめる。
クリムは、状況にハラハラしている。
シャルロットは、成長した空の姿に見惚れている。
「空君は子供の方が好き?」
「僕は・・・・・・」
「ケルベロスちゃんも、真白さん、桜さん、ファウナも愛してます」
皆、空に注視する。
「身体は成長したけど、現世の僕は子供で。だから、共に成長して行きたいです」
そう言うと、空は再び天に右手人差し指と中指を揃えて立てた。
光が身体を包む。彼は小学6年生の可愛らしい男の子に戻った。
「良いの? 空君?」
「大人の階段は、これから一緒に登って行きましょう」
「大人の階段って、何かエッチな響きですね♪」
シャルロットが茶々を入れ、皆んなが顔を赤らめる。言ったシャルロット迄、その言葉の効果に赤くなる。
空は、ドキドキしながら。
「そう言う意味では?!」
この場にいるのは、クリム以外は、童貞と処女ばかりだった。
視線が、クリムに集まる。クリムは、ライオスを想いニッコリ微笑んだ。
(甲斐 空の大人への変身は、こんな感じです。靴とリュックは、室内なので、作中は着用していませんが。イメージで履かせてみました)




