表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/41

第三十一話 従神VS

 地球で甲斐 空が、父母を入れた8人組パーティーを作った頃。


 異世界ソーサリースフィアでは、決戦が起ころうとしていた。


 各地を転戦し、魔王軍と戦っていたアストレア王国騎士アドニスは、神のクエストを受けた。


 聖剣を授けられ、戦場に急ぐアドニス。


 魔王軍の侵攻で、魔導王国ガンマールと、大陸最大の大国パラミス王国は滅亡している。


 魔族と死者の軍勢。


(これ以上の被害は)


 正義を国の方針とするアストレアと、エルフの国ミセリコルデの連合軍が、女大臣パルム・ドゥーイーと、エルフ王アムン・レークスとで、国と人類の存亡をかけた大編成を行う。


 神託により、魔王軍との決戦に臨むのだ。


 東から西へ。陸路ガンマールを目指した。


 2方面からの侵攻。天使も魔軍との交戦を始める。こちらは、旧パラミス領に進む。


 聖従神ブリジット、炎従神レーヴァテイン、雷従神レウコテア。この、20メートル級。洗練された甲冑をまとう、騎士の様な機械化巨兵が3機。破邪の力を振るう。


 軍同士の最初のぶつかりは、地形をえぐった。


 先制。


 聖従神ブリジットが両腕を天に向けると、空気が澄んだ。


「天国光〈パラディソスフォース〉」


 クリムの声が呼んだ、高出力の浄化の光が視界を白で埋め尽くす。一瞬で、地形ごと魔軍の先鋒5千人強をちりに変えた。


 抵抗した魔軍の将がいる。黒く巨大なコウモリの様な羽に、人の身体、頭にはいびつな2本角。黒髪の妖艶な女性。


 大魔王に次ぐ魔王級だ。大きなダメージを負いながら、呪文を唱えている。


「回復魔法を唱えてます?」


 炎従神レーヴァテインのソフィアが続く。左右のそれぞれのてのひらを相手に向ける。


「神炎〈アリシアフレイム〉!」


 そこから、赫く透き通り、煌めく大神炎を放射。業火が爆発し震動。魔王級を包む。


(それを耐える?)


 地面はマグマの様に沸騰灼熱して。女は、大火傷で苦鳴の声を上げのたうつ。


「まさか、魔王竜?」


「ええ。魔人の姿だけど、正体は竜ですね。」


 クリム、ソフィアが語る。


「先制出来たのは良かったよ。アスモデウスの騎竜だね」


 雷従神レウコテアのシャルロットが言い。


「星雷〈アステールローア〉!」


 轟雷の嵐が狂う。


 その中で、女は従神にも匹敵する巨大な黒い竜の全貌を現す。


「やっぱりだよ」


 そのシャルロットの声も、痙攣けいれんし、弱々しく鳴く魔王竜の声も掻き消して。


 従神達が止めを刺す。


 一気にこの一帯の魔軍を蹴散らして行く。


 天使軍の被害はまだ軽微。神に匹敵する戦力。従神が止まらない。



 ◆


 同時刻。神々の主神クラトスは、月の女神アスタルテの助力を得て、エルフ乙女ディアナと隠密行動をしている。


 そこは。


 月白の聖月アスタルテと、禍々しい力を秘めた暗い燻銀いぶしぎん色の魔月〈魔王銀〉。巨大な2つの月が、触れ合う程近付いている。


 聖月が大きく軌道を変え、移動したのだ。


 それは、誰にも気付かれず行われた。


 クラトス、ディアナと、女神アスタルテ、白い髪を持つ月天使の少女達が、魔王銀に上陸。


 城から迎撃に出たのは、背中に黒い翼、頭上に黒い光輪を持つ魔天使軍。


 かつての神姫の配下が堕天した姿だ。


 高速で、呪文を唱える男性と女性の声。


 魔法の完成。


 巨大な魔月全体に、それを覆う大結界を張るのはクラトスと、白銀の髪と、蒼く透き通る瞳の美少女。月の女神アスタルテだ。


 魔月の禍々しい気配が消えた。目に見えない結界。


 ディアナが、瞳を輝かせ、その一挙手一投足を記憶に焼き付ける。彼女の、エルフの魔力を感知する目にも、魔王銀は僅かな気配しか感じられない。


(感知と魔力を遮断した。これが師匠と月の女神様の魔法)


「娘を、神姫ジークリンデを救う!」



 ◆


 曇天の下。旧パラミス王国に広がる大平野で、大魔王、機械神と天使長が対峙した。


 機械神は、機械の駆動する音を立てクリスタルの目で見つめる。


 怒り狂った様に振われたアスモデウスの魔王剣デスシャウラで、天使軍に大被害が出た。炎従神の奥義に匹敵する爆炎。


 悪魔王バフォメットの大鎌が、2人、4枚羽の有能な指揮官級の少女天使、その首を次々に刎ねる。


 首と身体を、黒い炎が包み、その中から魔女として復活する。


 笑うバフォメット。山羊の頭に角、人の胴体4本の腕、黒い毛むくじゃらの巨躯。


おのれ!」


 従神の怒りの攻撃は、魔王軍の内数千を消滅させる。この地に残ったのは、共に約5万の魔王軍、天使軍。


 交戦しながら急速に離脱して行く両軍。


 大魔王と従神が戦えば、巻き込まれてしまう。


 天使達は、怯まない。仲間が討たれても、傷付いても力を合わせ戦った。


 5人ずつ集団をくんで、大きな破邪の星形、五芒星の魔法陣を空に描き、聖光を放つ。


 その集団が、複数集まり一点に集中砲火すれば、大魔王は無理だが、魔王級とも戦える。


 ジークリンデが殺され、メティスが討たれ、ケルベロスちゃんと異世界へ消えて。


 天使の怒りは、そのやり場をここに得た。



 ◆


 軍が遠く離れた。


 隙を探り合う大魔王と従神、ライオスもクリムを守る為にここにいる。


(大魔王タナトスがいない)


 双方中々動かない。


 その時。


 魔天使王ナリーンは、何かに気付き。天を見上げ。


 天使長達は頷いた。


 ブリジットのクリム。レーヴァテインの赤髪ロング少女ソフィア。レウコテアの白髪ツインテール少女シャルロット。


 少女天使長達は、悪魔王バフォメットを狙って集中攻撃を開始した。


 大魔王は、神に匹敵する脅威。


 だけど、この3人の天使長も、従神に乗れば個々で、最上位のSSR級の神に匹敵する。


 3対1なら。


 アスモデウスは、拮抗した実力者ライオスに阻まれ、バフォメットに加勢する事が出来ない。


 ライオスの、クラトスから与えられたその剣は、アスモデウスのダマスカスソードと火花を散らし戦えている。


 ナリーンは沈黙。タナトスは姿を見せなかった。


「何故、手を貸さないナリーン!? 神姫ジークリンデがどうなっても・・・・・・!」


 そこ迄言って、異変に気付く。


 魔月〈魔王銀〉とのアクセスが消えている。


「亜神殿!」


 アスモデウスの訴え。


 機械神は、まだ事態が分からない。魔天使王ナリーンと、その腰の剣を不思議そうに見つめた。真意が分からない。


(大魔王達の加勢に入って・・・・・・後ろからナリーンに斬られる事も有り得るのか? 何故?)


 大鎌を振るい、従神に対する。バフォメットは、山羊の頭で吠える。


 先程首を刎ねられ、魔女として復活した2天使が加わり、バフォメットと共に攻撃して来る。


 だが、神聖結界が聖従神ブリジットにより増幅されている。


 魔弾は爆音と粉塵を立てるだけで、全て掻き消えた。


 神速の余り、雷鳴と、白い軌跡を残し移動するシャルロットの雷従神レウコテアがカウンターアタック。


 雷を纏い2魔女に触れ、無力化した。


 背後からの悪魔王の鎌と、レウコテアが振り向きざま右手で放った雷が激しく撃ち合う。


「あなたは許されない。今度こそ滅却します!」


 クリムが宣言。


「はい!」


「うん!」


 雷従神レウコテアが押し勝つ。態勢を崩した隙を3つの奥義が。


 聖従神ブリジットの魔を祓う神光。


「天国光〈パラディソスフォース〉!」


 それは収斂された光閃となってあらわれた。


 炎従神レーヴァテインの浄化の炎も。


「神炎〈アリシアフレイム〉!」


 輝く赫い業火が、魔王を包む。


 続けて、雷従神レウコテアが、魔女にされた2人の天使を内部へと保護しつつ。破壊の神雷を。


「星雷〈アステールローア〉!」


 大魔王を中心に、轟雷が荒れ狂う。


 3種類の奥義の同時炸裂。


「「「神技〈セオスティモリア〉!」」」


 力が乗算された。白、赤、青。光が眩く色を変え。悪魔王バフォメットがゾッと怖気を刻む断末魔を上げ、何も残さず消えた。


 死後、冥界にも天国にも行く事は無い。肉体、魂、存在を消却した。


 その攻撃をライオスは、回避しながら神札と剣で結界を張り耐えた。巻き込まれてはいない。


 仲間の死に様に、アスモデウスは寒気を覚える。


 悪魔は、より力が有るものに付き従う。


 その力を見て、離脱に走る。


 それを。


 背中からライオスが斬った。


 大魔王をあっさりと。


 魔天使ナリーンが笑い出す。


「殺してくれた。悪魔共を」


 天使長達に、


「もう、戦う意味は無い」


 と伝えた。


 機械神も笑う。


「どういう事か分からないが・・・・・・ならば」


 攻撃態勢に入った。機械の駆動する音。次から次と、身体から神槍を生み出し、それが物凄い勢いでその場にいた全員に襲い掛かる。


 ナリーンにもだ。


 冥界神メティスを殺した神槍の攻撃。神の防御結界すら貫く。


 でも、対処法は検証済み。


「「「キュクロスシールド」」」


 天使長達は、クラトスが新たに教えた防御結界を張る。円形の光の盾が無数にあらわれて神槍を弾く。


「! 我が槍を」


 ライオスが、機械神に向かい。


神聖爪アギオクティノス!」


 剣が光輝き、目にも留まらない速度の大技を放った。その攻撃は、3連。斬り裂く衝撃波。大斬撃となる。


 袈裟がけ、横薙ぎ、唐竹割りに前方向の全ての槍が吹き飛ぶ。機械神の巨大障壁とぶつかり、防御を()()する。


 障壁が貫通される前に、空に飛んだ機械神デウス・エクス・マキナ。


「凄いね!」


 その隙を狙う。雷従神レウコテアの神雷攻撃。


「シャルロット。速いな・・・・・・」


 神槍が飛び来て、追撃を遮る。


 そんな中、ナリーンはその攻撃を意に介さず機械神の槍を黙々と叩き斬る。その手にした妖しい魔剣で。


 羽ばたき、悠々近付くナリーンに機械神が間を取る。


(ナリーンの力は・・・・・・どれ程。あの剣は)


 神槍の攻撃が激しくなる。複雑な軌道。全方位から伸びてくる。


 一時的に光の円盾結界が破れる。回避運動。迎撃。


 ライオスとブリジットが互いの背中を守る。


 ナリーンは無数の槍を躱す。斬る。弾く。それを、姿を止めず、高速で。


 雷従神レウコテアも攻撃を、高速移動で回避出来る。


 神雷も放つが、魔力の大障壁に阻まれる。


 聖従神ブリジットは、盾を構える。


 炎従神レーヴァテインは、爆炎で槍を吹き飛ばし。


 機械神の攻撃が途切れない。


(クリムは、ライオスを庇いながらでは危ないかも知れない)


「彼女達には恩義が有る・・・・・・恐らく、あの方は」


 魔天使王ナリーン。


 その身体が、2対の角を持つ黒い光の巨人のオーラに包まれる。全長20メートル級。


 それは。


「「「魔従神ルシファー!」」」


「・・・・・・不滅球〈アサナトスフィア〉」


 黒い球体がルシファーから、生まれ、機械神の全ての神槍攻撃を飲み込んで無効化した。


「!」


 更に3つの球体が顕て飛翔。機械神を、その障壁ごと飲み込もうと。


 機械神のクリスタルの目が、妖しい輝きを放つ。


 クリムが叫ぶ。


「ナリーン! その従神は駄目なんです!」


「シークレットコマンド入力。緊急停止。攻撃無効。防御無効」


 機械音声が高速で唱える。


 魔従神ルシファーが動きを止め、機体にナリーンを繋ぎ止める。魔法の球体が消えた。


 咄嗟に拘束に抗うが、神槍がルシファーの胸、腹、四肢を貫通。中のナリーンは血を吐き、仰反る。


 天使長達の従神は、機械神の仕掛けたコマンドを解除済みだったが、魔従神ルシファーだけは。


「契約者書き換え・・・・・・」


 今にも事切れそうなナリーンを残して、魔従神が消えた。


(こんな事も出来たなんて。ケルベロスちゃんの時は、メティス様に隙を作る為にここまでしなかったのか。ナリーン・・・・・・!)


 かつての天使長仲間の無事を願うクリム。


「・・・・・・これでメティスを。ルシファー〈航路開示〉地球」


 魔従神からデータが、機械神に転送された。


「航路確認。地球か。フフ」


 面白がり、両手で印を組む。すると、7色の光が機械神を包む。


「異世界転移だよ!」


 シャルロットが雷従神レウコテアから叫ぶ。この中で、最も早いそのスピード。神雷を纏い突撃する。


 咄嗟で最大威力では無い。だけど。


((障壁が無い。今度は当たる))


 その前に、傷付きヒビだらけの魔従神が出現。黒い球体が顕て。


「ルシファー! 不滅球〈アサナトスフィア〉!?」


(飲み込まれ!?)


 絶望した瞬間。雷従神は、全力で後退した。


「?!」


(躱せた? どうして?)


「やるな・・・・・・シャルロット。見縊みくびっていたか」


 薄氷を踏む思いで戦う。


「タナトス・・・・・・こちらは任せる」


「?!」


 最後の4大魔王タナトスの名に、動揺が走った次の瞬間、機械神と七色光は消えた。


「! メティス様が・・・・・・このまま機械神を行かす訳には」


 天使長の思いは1つ。


「クリムさん。今度こそお救いしましょう」


「そう。アスタルテ様の為にもだよ」


 頷き。


 魔王軍は、未だ残っている。この地の帰趨きすうもまだ分からない。


(それでも!)


「・・・・・・貴方(ライオス)。ウルとエリスを頼みます」


「クリム」


 ライオスも頷いた。


 座標を確認。地球へ。機械神を追う。


 再び7色の光が現れ、それが消えた時。


 脱力し、立ち尽くす。


(俺を・・・・・・息子(ウル)と、エリスを残して行ってしまった)


 ライオスは気持ちを繋ぎ止めた。ゆっくりと、ナリーンに近付く。彼の傷は致命的なのではないか。


「ジークリンデ・・・・・・様」


 呟きが聞こえる。何か出来る事は。


 ナリーンは、達観した様に薄く微笑んでいた。


「ナリーン」


 傷を見るその目に。


「?!」


 ナリーンが手にする素晴らしい魔剣が、ライオスを誘っている。


 その視線に気付き、ナリーンが弱々しく。


めろっ、この剣・・・・・・は、魔・・・・・・なとす・・・・・・危険」


 そのまま意識を失った。


 剣の妖しい輝きに、ライオスは。

 慣れないバトルシーンを書いてみたのですが、どうだったでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ