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第十五話 フィードバック

 大人しく控えめだった少女、藤林 桜が、ここ最近、みるみる綺麗になって行く。


 クラス中で話題になりだした。


 密かに、甲斐 空の人気の様な盛り上がり。


 元々、綺麗で可愛らしい子だったが。


「桜ちゃん。好きな人いる?」


 クラスで、仲の良い結城ゆうき 由真ゆまが聞いてきた。ポニーテールで、元気いっぱいな女の子。


「え・・・うん」


 はぐらかそうかな? とも思ったけど、嘘は付かない事にした。


「やっぱり」


 由真は、桜の返事に頷き、


(空君だな。桜ちゃんと空君はお似合い)


 と、納得した。


 一時期、絵画展に出展した二人の絵の事もあって、クラス女子達は、水面下では桜を警戒していたのだが。


 二人とも良い子だったので、仲の妨害にまで至れなかった。


 本当に、最近の二人は仲が良い。よく二人で話していたり、一緒に下校するのを見かける。


 家族ぐるみの付き合いの事は、まだ両家族だけの秘密で、知る由はない。


 空君のハートは、桜ちゃんが射止めたか。と皆が確信した。


(私も、密かに空君ファンだけど、今の桜ちゃんには誰も勝てない)


 女子達は空君を。男子達は桜ちゃんを。高嶺たかねの花と、ただ見詰めているだけだった。


 桜の隠れファンも、実は結構いたのだ。


(遅いよね)


(恋する女の子だから? 最近の桜ちゃんは綺麗過ぎ。アイドルや女優より・・・・・・まるで、お姫様?)


 美男美女のカップル誕生。


「応援するね。桜ちゃんと空君、お似合いだもん」


「・・・ありがとう。由真ちゃん」


 由真の応援に、儚げに微笑み。見ていた男子達は、ますます桜への片想いを募らせた。



 ◆


「空君。今日、真白お姉ちゃん、弓道部の部活だから来られないんだ。私だけでも良い?」


「もちろん。一緒に帰ろう」


 空君と連れ立って、学校帰り甲斐家に行くのが、最近の日課。


 喫茶店のお手伝いは、良いから遊んでおいでと。パパ、ママ公認。


 魔法のゲーム【ソーサリースフィア】をやるのだ。


 ソーサリースフィアは、オンラインRPGゲームの形を取っている。


 今日、見せて貰ったが、サーバーと、データベースには、異空間に在る従神機械化兵の傑作、冥従神ハーデスのコアを利用していた。


 黒髪ロングの美少女、ケルベロスちゃんの愛機、冥従神。


 ハーデスには、コア部分に機械神デウス・エクス・マキナが仕掛けたエラーが有った。


 それは既に、空によってパーツ交換がされている。性能は、問題無い筈だ。


 藤林 桜と、阿刀羅 桜を名乗るケルベロスちゃんは、空の部屋で初めて会った。


 だけど、


「ケルベロスちゃん、初めまして・・・藤林 桜と言います」


「初めまして、ケルベロスです。ここ日本では、阿刀羅 桜と名乗ってるの」


「同じ桜ですね」


「ふふっ、そうね♪ 桜ちゃん・・・エイダの、記憶が有るんでしょう?」


「はい、私とエイダは一つです」


「良かった! エイダ!」


 二人は、微笑み合う。


「エイダと、代わりましょうか」


「今は、貴女と話したい」


 どんな会話を。


(私は、空君が好き。でも、ケルベロスちゃんも)


「貴女なら、良いの」


「?」


「桜ちゃん。私達は、恋敵。・・・・・・でも、私達はこの世界の住人では無い。人でも無い。貴女も、常識に縛られる事は無いんじゃない? ソーサリースフィアへの帰還。メティ・・・・・・空様は、私とも貴女とも、同時に結ばれたいって打ち明けてくれたの」


(わ〜。ハーレムだ〜。でも空君、私の事も、ちゃんとケルベロスちゃんに話してくれたんだ)


 赤く頬を染めつつ考える。


「貴女はどう?」


「・・・私も、空君と、ケルベロスちゃんと、ずっと一緒が良いです」


 二人は不敵に笑い合った。


 巫女ファウナとも、引き合わされた。同じ歳くらいに見える可愛らしい


 でも、この子は長い長い時、神々が地球を離れた後、アトランティス大陸のもう一つの冥界神殿を守っていた。


 人だが、長命種族。おそらく黄金時代の人族なのだろう。


「初めまして、メティス様の巫女ファウナです。この子は、パール」


「ニャ〜♪」


 黒猫が、自己主張する。


「初めまして、藤林 桜です。空君の巫女さん何ですね。よろしくお願いします。にゃ〜♪」


「はい♪ こちらこそ」


 初顔合わせは、和やかに終わった。甲斐 空、ケルベロスちゃん、ファウナ、藤林 桜。美形しかいない部屋で、黒猫パールは嬉しそう。この子も愛らしいお顔をしている。


 魔法技術。


 ゲーム上での操作が、実際の精神と、魔法力、肉体のリミットを上げるトレーニングになってしまうのが、ゲーム版ソーサリースフィア。


 桜は今、


 種族 竜人ドラゴニュート

 職業 ドラゴンマスター Lv.9


 空は、


 種族 現人神あらひとがみ

 職業 冥界神 Lv.23。


 眷属神ケルベロスちゃんと、巫女ファウナは、実はゲームで鍛えるまでも無い。強い。今回は、ギャラリーに徹した。


 それと、今日は、迷宮5階層で出会いが有った。


 士涼しりょうと言う名の少年。


 種族 人族

 性別 男

 職業 侍大将 Lv.11。


 と、詩歌しいかと言う名の少女。


 種族 人族

 性別 女

 職業 賢者 Lv.7。


「種族、現人神!? 職業、冥界神てゲームOPの神様!? それに、種族、竜人に、ドラゴンマスターって!? このゲーム、人族以外のプレイヤーもいるんだ!?」


 士涼が、ゲーム内で驚いている。キーボードで、コメントを打ち込んだのだ。


「僕は、冥界神 メティスの生まれ変わり、空です。よろしくね」


「私は、桜です。ドラゴンマスターです。よろしくお願いします」


 士涼の見た目は、中々カッコ良い少年だった。中学生くらい。


「ごめんね。うるさくて。私、詩歌しいか、賢者で、6才です」


 おさげの可愛らしい女の子。


「こほん。ごめん。驚いたから。士涼だ。侍大将。詩歌とは、兄妹で。こちらこそ、よろしく。一台のパソコンで、交代交代入力してるんだ」


「僕達も、一台のパソコンで交代交代です。」


「二人とも可愛いですね。僕っ娘可愛い♪」


「うん、うん」


 と、6才の詩歌ちゃん。と、士涼。


「僕、男の子だよ?」


「「えぇっ!?」」


「私は、女の子です」


 と、ゲーム内で会話しながら、空は、実際に桜に、


「侍大将も、賢者も、初期ボーナスの特典職です。侍に、千代童子(ちよどうじ)と言う銘刀を与えた侍大将。魔法使いに聖杖アヴィリオスを与えた賢者です」


「強そうだね」


「ポテンシャルは、全職業中、トップクラスです。特に賢者は」


「凄い。・・・仲間になってくれないかな?」


 空と桜が話していると、


「お二人は、どういった関係ですか?」


 詩歌に聞かれたので、


「「仲良しです♪」」


 と返事した。


 それから、しばらく一緒に行動しませんか?と言う事になった。


 ゲーム中、冥界迷宮の7階層に進み、巨大吸血コウモリ、ゴースト、ゴブリン等と遭遇。


 桜は、背中に竜翼が生え、巨大吸血コウモリと息を飲む速度での空中戦。迷宮7階層は、天井が高く、広い空間。


 敵の破壊音波攻撃を、何と弾き、爪で切り裂く。その威力から生んだ真空波で、次々とコウモリを倒す。


 空は、神剣でゴブリン達を切断。鮮やかな手並み。だが、まだまだ本来(前世)の力では無い。


 その剣を胸の前で、天に向け構え、浄化の広範囲魔法で、ゴーストを昇天させる。


 士涼は、踏込みですれ違い様にゴブリンを斬りまくる。斬撃、刺突。斬撃。


 ゴブリンが、ヨダレを垂れ流し、詩歌に群がって行く。詩歌が杖を横に振る。消去デリートの魔法。ゴブリンの群れが、一瞬で掻き消えた。


「桜ちゃん、空様、頑張れ〜! 士涼君、強い。詩歌ちゃん、中々の魔法ですね」


「ええ」


 ファウナとケルベロスちゃんは、楽しそうに応援していた。



 ◆


 オンラインRPGゲーム【ソーサリースフィア】。参加人数は、まだ20数人だが。


 ゲームでは、神弓兵 Lv.9になっている真白は、同じ時間、現実世界。


 弓道部の部活で、大変な事になっていた。


 射法八節、正面打起し法でも、斜面打起し法でも、的の中心を射抜き、一矢も外さなくなっていたのだ。


 指導する教師が、絶句し、部活の先輩、仲間達からも驚嘆の声。


 何かがおかしくなっていた。


「何これ?! 何これ?!」

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