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第一章 強制入部は回避不可?

 4月から晴れて高校生となった。


 俺の通う芝丘高校はそれなりの進学高で、新一年生の生徒は2学期までの間、部活動への参加、入部が義務付けられている。


 特に中学時代これといって部に所属していなかった俺は、入学早々のホームルームで部活動への入部が義務という事実を今更ながら担任教師から聞かされ、放課後の教室でチャンピオンリーグ入り口から波乗りして真っ暗闇に突っ込み、ひたすら壁にぶちあたる八方塞がり状態(○天堂Wi-Fiステーションへお越し下さい状態)で放心していた。


 そもそも中学時代になんの活動もせず、怠惰の一言で片付けられるジョブであり、クラスメイトからはもはやステージオブジェクトと認識されていたやつが部活動なんか今更出来るのかと問いたい。


 取り敢えず考えてみよう

 まず、運動部系はNGだ。 何故?理由は簡単

 ①めんどくさい

 ②上下関係? なにそれおいしいの?

 ③興味がない


 まぁこの際③は仕方ない、そもそも興味ある部活などない。②もまぁ部活なので目を瞑れば溜飲を下げる事ができるだろう。


 だが、①だけはどうにもならない

 もうこればっかりは譲れない、俺には汗水垂らして何かを成し遂げる程の目標もないのにコートの外周を走らさせられたり、青汁飲まされたり、バスケットコートの一番後ろからシュートを決める能力もテニスボールを真っ二つに割く腕力も○部コールも出来ないのでこれらの理由により運動部はまず却下である。


 次は文芸部か。

 あるあるだよな…訳も分からない理由で文芸部に入りそこでなんやかんやあり、なんやかんやな理由でなんやかんやに高校生活を充実させる幻想のような物語。


 夕焼けに染まる部室に、寡黙で清楚可憐な乙女と密室、そこにはカップに注がれたお茶が2つ、何を話すわけでもなく彼女と俺は読書に勤しみゆったりと時間だけが流れていく。 BGM by My Favorite Things (そうだ京都へ行こうで流れてるやつ)


 いやないな、ないわ。俺ぐらいになってくると逆にその雰囲気に耐えかねて、話を振るも特に面白くもなく、会話なんて広がらず向こうも微妙な顔でしっかりと一言(終止形)で死刑宣告だ。


 凄い…目で見るようにその光景が頭に浮かんでくる…

 なんでだろう…ついでに血の涙が出そうだ。


 まぁそんなこんなで茶道部(苦い〜) 吹奏楽部(辛い〜) 科学部(怖い〜) 美術部(ええ〜) 新聞部(いや〜)

 囲碁部(無理〜) その他にもひたすら、やばい〜すごい〜まじか〜はんぱないな〜きつい〜ほぇ〜ほぎゃ〜ふぇえ〜もう帰りゅ〜〜。


 と言った調子で一つずつ、理由が明確かつ、入部するべきか考慮する余地が1mmもない状況を作り上げることに成功したのであった。


 さて取り敢えず今日のところは帰るか…


 そんな調子で瞬く間に1ヶ月が過ぎていった。


「さて皆、この学校に入学して1ヶ月が経つがそろそろ所属する部活は決めたか?明後日までには全員提出だからな。えーっとあ、でもうちのクラスからまだ用紙提出してないのは中野だけだから早く出せよー。」


 朝礼の時間、担任がそう言い放ち、俺の名前が挙がった瞬間、クラスの人間が一斉にこちらを凝視していた。


 やばい…やばい…やばい…やばい。部活動のことなど完全に記憶から抹消していた…

 それに、なんだこの居た堪れない気持ちは、というか1ヶ月でうちのクラスの生徒は全員入る部活決めたの…なにそれ…。


 生き急ぎ過ぎですよ!肩の力抜いて頑張りましょう!

 と脳内で赤丸先生のコメントを付け加えながらも、視線の圧力に負け、恥ずかしさのあまり赤面した顔を隠しつつ、窓の外に視線を逃がすことしか出来ないでいた。


 放課後、どうにか授業の合間を縫って、いかに部活動への強制参加を回避するかを諸葛亮ばりの知略を巡らせ出した結論がこちら。


 ハハウエ様が先月にイモウトギミを出産し、仕事で家を空けている両親の代わりに面倒を見ないといけないので、本当に心苦しくて入学前からどこの部活に入るかウキウキワクワク楽しみに思案していたのですが、事情が事情だけあり残念でなりませんだ。


 そうと決まれば行動までは早く放課後、鞄を置いて俺は職員室へと向かった。担任の菅野先生の机まで行き、以上の理由を演技派トークで先生に考える隙も与えずに述べ、俺はその場を去った。


 勝った…負ける要素がない、完璧だ自分が恐ろしい…


 教室に戻り帰り支度をしながら勝利に酔いしれていると


 ーピンポーンパーンポーンー


 1年D組 中野君 。

 菅野先生がお呼びです、至急職員室まで。


「お前の妹さんは良く出来た子だなー。ん?なぁ?中野?」


「え?なんのことですか?」

 なんだかよく分からないが取り敢えず、とぼけてみることにした。


「いやいや大変なんだってなぁ。先月出来た妹さんの為にヘルパーさん雇って共働きだろ?

 いや、なーに。電話掛けたら妹さん出てな、ちょっとした世間話だよ。」


 やばい殺される………菅野先生の三白眼は眼鏡の上からでも分かるほど釣り上がっていた…


「ん?で?結局部活どうするんだ?」

 全然目が笑ってないです先生…


「嫌だなぁ先生ー、部活動の話ですよね?あれはちょっとした洒落ですよ。」


「そっかそっか!なら良かった、先生も安心だ。じゃあ今週迄に頼むな? な″?」

 こっわ、こっわ、その顔こっわ


 兎にも角にもこうして部活動への強制参加回避ルートは潰えた。


「はい…なるべく早く探して頑張ります…」


「中野…お前そんなに部活動入るの嫌なのか……」


 先生もあまりの俺の気持ちの沈み具合に見兼ねたのか励ますような声で言ってきた。


「中野よ…青春は謳歌した方がいいぞー、高校生なんか一回しかないんだから楽しまないと後悔するぞ。

 俺なんかーー」


 話が長くなりそうだったので俺が纏めると、菅野先生は高校時代は特に何もせず、帰宅部だった為か大学時代に人と話す事を忘れ、コミュニケーション能力が求められるので、サークルに入る事も諦めた青春時代を後悔しているらしい。


 お陰で現在、彼女は愚か学友も居らず独身街道まっしぐらな可哀想な人なのだ。


 俺は心の中で手を合わせご愁傷さまです!!

 まぁ後半は俺の想像だが…


 それにしても未知なる領域 -サークル-。なんて響きだ恐ろしい…


 その点先生は、一人こつこつと賢者になる為の勉強をしていたと思うと英断だったなと思うがな。


 そんな阿呆な事を考えていると先生が再び

「まぁこういった勧め方は良くないかもしれないが生物部なんてどうだ?」と聞いてきた。


「生物部…何故、生物部なんでしょうか?」


「あそこは現在部員数は1名しかいないし、来年には規定人数をクリアしなければ廃部になる予定だ。

 どうせお前のことだ結局、半年間居候して辞めるだろ?」


「あ、それはバレてるんすね…」


「まだ1ヶ月しか経ってないがな、お前の考えなんか手に取るように分かる。

 だからなんだ、教師として決して良い勧め方ではないがやり易いだろと思ってな。」


 俺は菅野先生がここまで自分の事を考えてくれているのが意外だった…


 さっきは失礼な想像してすみませんでした…


「分かりました…先生にもお勧めされた事ですし、帰りにちらっと部室の方見学してきます。

 今週中にはどのみち部活に入部しないといけないですし。」


「おぉ、そう言ってもらえるなら良かったよ中野、きっとお前でも上手くやれると思う。

 ちなみに部室は第2生物準備室だ。」


「わざわざありがとうございます。失礼しました。」


 俺はそう言って職員室を後にし生物準備室へと向かう事にした。

なろうにての小説投稿は今回が初めてになります。

未熟なので誤字等あると思いますが優しい目で見てもらえるとなーなんて思います笑


みなさんお待ちかねのヒロイン?は次回から登場予定です

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