7 帰宅
「つ、疲れた……」
バーリーは自分の部屋に戻ってくるなり荷物をデスクの上に置くと、そのままベッドに倒れ込んだ。
久しぶりに労働をしたようだった。
まあ実際には労働などではなく、講義を受けていたのと、そのあとの懇談会、みたいなものがあっただけだ。
講義を受けているときは、この世界のダンジョンなるものの仕組みを垣間見られているという点で興味があったのだが、懇談会となると……
懇談会となると、結局こいつらはみんなライバルなんけやから、ってことはつまり、ダンジョンの運営も自分だけがいいという状態では何にもならないということなんか。
なんかな……なんかそういうの俺嫌やねんな……
しかしいいこともあった。
一つは講師の女がめちゃめちゃエロい身体つきだったということである。
確かヤナとか言ったかな?
久しぶりに、まるで中学生のときのように全身に稲妻が走ったかと思った。
実際には走ってないけど。
あと教室?で講義の終わりに俺に話しかけてきた女である。
こいつがかなり優秀そうだった。
名前はソフィア。
年齢は27。
元の世界では大手企業で働いていたらしく、人間としてちゃんとしている。
講義内容もしっかりと自分なりにメモを取り、与えられた材料の中でできることを模索している感じが半端ない。
俺みたいなただのフリーターが元の世界から一人消えてもその影響は微々たるものだろうが、彼女のような人がいきなり消えてしまえば、会社にも損害がでるだろうし、また悲しむ人も大勢いるんだろう。
なので、バーリーは、ほかの多人種の方たちとの交流はそれなりにとどめることにして、とりあえず今は彼女とだけこれからも連絡の取り合うことを考え始めた。
いたずらに交流範囲を広げるのはいかがなものだろう。
自分に人を見る目があればいいが、相手は亜人種的な奴らやモンスター。
相手が攻撃的なスタンスをとってこなかったとしても、きっと気疲れの度合いがやばくなる。
そうなるのは今後のダンジョン運営のことを考えても得策ではない。
したがってとりあえず同じ世界からきたっぽいソフィアと仲良くなることにして、当分の間は彼女からの情報を信じることにしよう。
現実の世界ではきっとソフィアのような女には声をかけるのもためらう。
だが今は状況が違うのだ。
ソフィアもこちらがその旨を話すと、快くアドレスを交換してくれた。
「はあー、もう名探偵コナン読み終わったし、部屋に帰ってもすることないな……」
バーリーは何となく孤独を覚えた。
ここは異世界だが、元の世界と何が違うんや。
見た目の違う奴らもいっぱいおる。
いっぱいおるけど、だから何が違うんや?
まだもう少しダンジョン運営の研修は続くみたい。
確かに楽しそうではある。
なんつってもマスターやからな。だからみんなもやる気あるみたいやった。
でもそれでええんか?
ホンマにそういう感じでええんやろうか?
何か違和感あんねんけど……こういう時間も、たとえばソフィアみたいな真面目な奴やったら、今後の運営計画とか立ててんのやろうけど……
バーリーは薄暗い部屋の中、多少の疲労感を覚えつつ、いつの間にか静かに眠りに入った。




