5 宅配ピザ
バーリーはレビテの置いていった荷物の中身に興味を持った。この中には何が入っているんだろう。もしかして元の世界の物もたくさん入っているんじゃないだろうか。
固定電話をくれるくらいなんだし……
だが中身はどうやら大したことないようだった。食料や衣類などの生活必需品、替えの松明、それから分厚い電話帳みたいなものが入っている。
この電話帳を駆使していろいろ必要なものを揃えていけってわけなんかな?
バーリーは何となくこれから自分がここでしなければならないことを想像した。それはどうやらこのダンジョンをひとつの小売店などの店舗としてとらえ、なおかつ電話などで外部とのやりとりをし、これらをうまく運営していけ、というものではないだろうか。
この世界の世界観みたいなものがわからないのでなんともいえないが、多分そんなところだろう。
それってただの労働ちゃうんか……
バーリーは部屋の中を改めて眺めてみた。
どこかの洞窟の中にある謎の一室、ということで間違いなさそうだったが、部屋の中に揃っているものをチェックしてみる。
どう考えてもワンルームみたいな作りになっている。キッチンはないが、ユニットバスが部屋の一角に整備されてあり、ベッドなどの家具も揃っている。
ベランダはもちろんないが、部屋の広さは人が一人暮らすぶんには十分ある。
いってみればビジネスホテルみたいなもんか?
それともラブホテル?
バーリーは少し心に余裕が持てたような気がした。そうだ、ビジネスホテルで暮らすようなものだと思えばいいのだ。
しかしそうなると、今後の食料や着替えなどはどうすればいいのだろう。
あのレビテとかいう奴が毎回用意してくれるのか?
もしかしてそれもこの電話で発注か?
バーリーはすぐに電話帳をめくってみる。
あった。
クリーニング店と、あと出前をしてくれそうな店も多数ある。
やっぱりそういうことなんか?
じゃこのノリで一回なんか頼んでみよかな……
固定電話をデスクの上に設置し(ケーブルなどはデスクのすみにあった、これもマジでビジホっぽい)、適当なところに電話をかけてみる。
「お電話ありがとうございます。オセロピザ、クイーンパレス店でございます」
うわつながった。
これ普通の宅配ピザやん!
バーリーは感動した。やった、これで俺のここでの生活の道筋ができたっちゅうか、何かまだよくわからんけど、何となく未来見えたやろこれ。
しかしすぐに思いとどまる。
支払いどうすんねやこれ。
ってかここの住所とか全然わからんけど。
「あ、大丈夫ですよ。固定電話のアドレスがありますからお届け先はわかりますし、お支払はクレジットでよろしいですよね?」
「クレジットってクレジットカードですか?」
「はい、お持ちですよね……」
レビテからもらった物の中を探してみる。
あった!
ありました。ってかクレジットカードとかそんな大切なもんあるんやったら先言えやあの女!
電話を終え、再び静寂の中に舞い降りたバーリー。しかし彼の心の中はウキウキしていた。
ウキウキしていたというか、ちょっと安心し、これから何となくここでもやっていけるんじゃないかという希望を抱き始めていた。
思えば元の世界でもせいぜいフリーターやった。毎日寝起きするのはしょうもない狭い古いアパート。勤め先もコロコロコロコロかえて何にも手付かずやった。
ここは、見方を変えれば何でもそろってるやん。
ちょっとマジでモンスターとか出てきそうやからこわいけど、むしろこの世界の方が、俺にとっては将来があるんじゃないのか?
あー、はよピザこうへんかな。
もしピザの宅配来たら、今後のためにチラシもらっとこ。
意外と口頭だけやとピザの注文ってムズいねんで。
平和な奴である。




