4 固定電話
部屋のドアの激しくノックされる音で目が覚める。いつの間にか眠ってしまったのだ。今は何時なのだろうか。
相変わらずの薄暗い部屋。
たいまつも残りあとわずか。
この空間で目覚めることは、もはや夢ではないのだ。昨日もここで目が覚めたのだから。
バーリーはゆっくりとベッドから身をお越し、ドアの鍵を開けた。
ドアを激しくノックしていたのは、やはり昨日のレビテとかいう女らしかった。
彼女が今目の前にいる。
「どうしたんですか、何かあったんですか」バーリーが言う。
「とりあえずこれでも食べて。昨日から何も食べてないでしょ」
レビテに紙袋を胸に押し付けられる。どうやら中に食料が入っているようだ。
これは素直にありがたい。
っていうかこうやって差し入れしてくれるんやったら、昨日の時点でしてくれよ……
いや、もちろんもらえるだけでありがたいっす。
「それで? 昨日渡した資料読んどいてくれた?」
「あ、はい。一応ざっとですけど目を通しました」
通してない。
違うんす。
通すつもりやったんですけど、僕にはちょっと難しかったし、おもしろくなさそうやったし。
「じゃだいたいこれからあなたのやることはわかってもらえたと思うけど、どう?できそう?」
「できそう……です」
「あのさ」
「なんですか?」
「ホントに昨日資料読んだ?読んだよね?まさかまた漫画ばっかり読んでたとかじゃないよね」
読んでへん。
読んでへんけどこう何て言うんや……やる気?そう、やる気みたいなものは全然ないわ。
無理やりこんなとこ連れてこられてやっぱり納得できへんって。
バーリーがちらっとベッドの上にあった昨日の資料に目をやったときだった。
レビテが言った。
「なんかものすごく不満そうね」
「そんなことないですよ」
「じゃ最初に発注するモンスターのリストを見せてよ。もしそれでいけそうだったら今日は街まで連れていってあげるわ」
「え、街とかあるんですか」
「あるに決まってるでしょ。どこにだって街くらいあるわよ」
「あの……」
「なに?」
「モンスターの発注ってなんすか?」
バーリーは白状した。ここ以外に街があるとわかった以上、適当に話を会わせる必要はない。
元の世界に帰りたい。
早くこの街に行ってみたい。
するとレビテは言った。
「あなた本当にやる気がないのね」
「だってそんな急にこんな状況理解できませんって」
「あなたみたいに不真面目な人は初めてだわ」
「でももうがんばりますから。もうちょっとでコナン全巻読破しますし」
「やっぱり漫画なの!」
ここは漫画のせいにしとこう。
この方が不真面目さにも一貫性がでる。無秩序な不真面目さってもう悪魔だ。
ホントに漫画は読んでないけど。
バーリーは言った。「あと僕としては、やっぱり仕事は書類で覚えるより、見て聞いて覚えた方が早いし確実だと思うんですよね。レビテさんに直接っていうのはお忙しいだろうし無理だとして、誰か適当な方っていらっしゃいませんかね」
レビテは少し間を開けてから「そういうことなら、あなたの同期たちとの研修会があるから、まずそこに顔を出しなさい。じゃ明日も今日と同じ時間にくるから準備しといて。食料や必要なものは随時この電話を使って」
レビテはそう言うと、自分が持ってきていた荷物の中から固定電話?みたいなものをデスクの上に置いて部屋から出ていった。
何やこれ……ガチの固定電話ちゃうんか。
バーリーはそれを不思議そうに眺めた。そういえばこの世界の世界観はどうなってるんや。
これ完全に固定電話やんな。
っていうか今さらやけど本棚に名探偵コナンそろってるってどういうことやねん。
何かちょっと怖ない?




