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12 考える

レビテが部屋から去ったあと、バーリーは一人で考え続けた。


今そもそもこのダンジョンという仕組みは何のためにあるのか。

そもそも現代の世界からこの世界に召喚?されるというのはどういうことなのか。


今彼の頭の中では、与えられた命題である、ダンジョンの運営をどうするのか、ということではなく、それ以外の、もっと根本的なことに対して、それってそもそも、と問い掛ける作業で一杯になっていた。


だがそんなことはいくら考え続けてもわからないんじゃないのか。


いや、やがてわかるときがやってくるかもしれないが、今はただ自らの心を落ち着けるために考え続けているに過ぎない……バーリーは冷静にこのように考えることも怠らなかった。


結果彼は、1時間ほどデスクに向かってぼうっとしたあと、また宅配でピザを頼んでそれを食し、お腹が満たされたところで自然と訪れる眠気に身を任せてベッドで寝る、という行動をとった。


真面目に考えているのか、ただ怠けたいのかよくわからないやつである。


しかしバーリーは、その睡眠の最中なのか、それともふと目を醒ましたときだったか、自分の置かれている状況を、なるべく自分のできる範囲、とにかく現実的で、無理のない出来事でまとめてみる、整理してみることに成功した。


話は簡単なのである。


とどのつまり、地図がなくてもダンジョンの経営はしろ、ということなのだ。


そういえばレビテも言っていた。


モンスターが巣食っているなら、どうせそれは冒険者に駆逐される。逆に駆逐されなければ、あんたはゼロコストでめっちゃパフォーマンスの高いモンスターを手に入れたことになるから、経験値ウハウハやないか。


地下1000階以上だった場合――ほな普通に地下10階くらいの設定でがんばれや。別にそんな地下1000階以上あるからって、絶対にそれを全部使いこなさなあかん、みたいなルールないで。


今思えば、そりゃそうだよな……みたいなことも思う。ってかそれだったら、相談の電話をしたときに、そのまま電話口でアドバイスをくれたら良かったじゃないか。


もしかして俺が「おい、研修で聞いてた話とちゃうやんけ、お前らもっと他にも何か隠し事してんのちゃうやろな、なめとったらしばくぞ」みたいなことを言い出さんとしているとでも思ったのか。


俺が今の自分の立場に怒り狂っていると?

だから俺の様子をわざわざ自らの目で確かめるために会いに来たと?


まさか。

そんなことあるわけないやん。


でも……そういえばレビテの表情は印象的だった。一応俺は今彼女の目を部下であるはずだが、かなり他人行儀な印象を受けた。そしてもうこれ以上は何も聞かないでくれと。

ややこしい話を私から聞き出そうとするなと。


とにかく自分と距離を取りたがっている感じがしたのである。


バグ……不具合……突然変異?


ダンジョンに召喚された者の立場として、怒りを露にしていい状況?


あかん。

また頭の中がこんがらがってきた。とりあえず明日さらにモンスターの業者に電話して、低レベルモンスターをクレジットの限度額の20%くらい仕入れてみよう。

そしてその配置が終わったらすぐにダンジョンとしての開業届を出すんや。

これでこのダンジョンにも冒険者たちがついにやってくる。

この開業届、これはレビテに連絡すればすぐにすむ。何しろこのダンジョンは彼女たちの管轄内にあるということやねんから。


そや、細かいことにこだわってても仕方ない。ダンジョン内の装飾品とか、モンスターの系統とかな!


だってホンマに金のあるうちに何とか運営を基盤に乗せないと、こんな楽しい状況の考察する暇さえ確保できへんねで?食べ物も確保できなくなるし、明かりのないところで死ぬのを待つだけになってしまう。


まあホンマに何もかもうまくいかんな、ってなったら、俺やったら適当な装備だけ整えてあのドア蹴り破って外に出るけどな。

アホらし。

こっちも何か武器さえあれば、とりあえずあの最初のウサギっぽいやつやったら楽勝やろ。


ん?

あのドアを蹴り破って外に出る……?


バーリーはふとベッドでから身体を起こすと、誰かが触らなければいつまでもそこにたたずんでいそうな木製の薄っぺらいドアを凝視した。

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