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11 不信感

レビテにメルカトルムカデのことを相談した3日後、何の変化も見られなかったため改めてレビテが部屋へやってきた。


彼女にどんな解決策があるのかわからないが、とにかく今どのような状況に自分が陥っているのか説明していただかないとどうにもならない。


もしかすると「ごめんなさい、今回われわれがあなたをこの世界に召喚したのは間違いでした。元に戻しますんで全部なかったことにしてください」みたいな展開にならないだろうか。


いや、今さら元の世界に戻りたいって訳じゃないけど。

絶対バイトとか首になってるだろうし。

バイトの人たちに顔合わせたくないし。


レビテは部屋に入ってくるなり言った。「それでムカデの件だけどね、あなたはどう思う?」

「え、俺ですか?」


意外だ。

俺の意見なんてきいてどうするんだ。

原因は、ほかのモンスターが巣食っているか、ダンジョンが段違いに広いんだろう?


俺はどっちにしたって嫌やって。

どっちであっても受け入れがたい。


黙り混んでいるとレビテが続ける。「一応ね、こっちでもムカデ以外の方法で調べてみたんだよね」

「そうなんですか」

「うん、っていうか私があなたのダンジョンに入ってみた」


俺のダンジョンにあなたが?

いやん、何か恥ずかしっ。


「それでどうだったんです?」

「10階くらいまで何事もなく行けたよ。モンスターも出なかったし、広さも普通って感じ」

「ほかに変わったところは?」

するとレビテは首を横に振りながら「わからない、でもモンスターの巣食っている様子はなかったから、もしかしたらこのままホントに1000階以上続いてるのかなって思った」


いやもうあんたの感想はいいわ。

すまんがはよ結論くれ。

俺はどうしたらええんや。あんまり調子のってウダウダ喋られても腹立つだけやが?


「前例はないんですか」バーリーが切り出す。「今回の俺みたいなケースも当然これまであるんですよ?」

「私の管轄内ではないわね、でも組織としては過去にも同じようなことがあったって」

「どうしたらいいんですか?もしほかのモンスターが巣くっていたとしたら、僕も気が気じゃないですよ。いつ襲われるかわからないし」

「それは考えてみてバーリー」レビテが言う。「もしモンスターが巣くっていたとしても、このダンジョンにやってきた冒険者に退治してもらえばいいじゃない。もしくはモンスターがあなたのダンジョンに入ってきた冒険者たちを駆逐し続ければいい」

「それで経験値は入ってくるんですか?」

「それは問題ないわ。このダンジョン内で行われた戦闘によって生じた経験値があなたの稼ぎになるんだから。だから極端なことをいえば、冒険者同士を戦うように仕向けたっていいのよ」


冒険者同士で殺し会うダンジョン?


そんなことも研修では言ってなかったじゃないか。

まさかこちらとしても、前回の研修でダンジョンのすべてがわかったとは思っていないが、これはもしかするとこちらに公開されていない、こちらの知らない情報がまだまだレビテたちに比べて圧倒的にあるのかもしれない。


いや、考えろ。


彼女たちもまたダンジョンについてすべての情報を握っている存在ではないと仮定すべきじゃないのか。

そっちの方が正常だろう。

だって初歩の初歩、ムカデが帰ってこないだけでもこの頼りない反応なんだから。


バーリーは言った。「じゃ仮にモンスターが巣くってくれていたら、僕にとってはラッキーだってことだ」

「ああ、そうそう。そういう感じよ。モンスターを発注する手間が少し省けるってもんよ」

「なるほど、では地下1000階以上ある場合でも同様ってことですね」


バーリーがレビテの顔色を確認する。

そういえば彼女は……今日この部屋に来てからというもの、ずっとばつの悪い表情をしているような気がする。


レビテが言う。「そうね、やっぱり深いダンジョンはそれだけ珍しいし、いろんな運営方法にチャレンジできるチャンスよ。たとえば1000階あったとしても、絶対に1000階分にモンスターを配布しなけりゃいけないってわけじゃない。10階なら10階だと区切って、まずはその階数分だけうまく運営できるようになればいいのよ」

「じゃやっぱりこのパターンも僕にとってはラッキーってわけだ」


バーリーはすぐさま言った。

彼にはもはや、レビテが何か自分に隠し事をしているとしか思えなかった。

それが何なのか。

具体的にはよくわからないが、彼女の顔を見ていると、私の口からはこれ以上何も言えない、何かに気付いたとしても、それはあなたの方でうまく解釈して、とにかくダンジョンの経営だけはよろしくお願いします、最低限のサポートはしますんで、みたいなことを言いたげなような感じがする。


いやいや。

さすがにこれは俺の想像力が炸裂しすぎか。


「レビテさん」バーリーは彼女の目をしかと見つめながら「今日はお越しいただいてありがとうございました。あなたの口から説明いただけて少し安心しました。これからもダンジョン運営がんばりますね」

するとレビテは目を少し見開き、驚いたような仕草を見せ「そ、そう? こちらこそありがとう。じゃよろしくね。いろいろあると思うけどあんまり無理しないでね。のんびりやってれば見えてくることもあるから」

「大丈夫ですよ。また何かあったらすぐに連絡しますね」


あかんあかんあかんあかん。

あかんやん。

レビテもあんまり役に立たへんやん。絶対何か重要なことこっちに隠してるし。


やっぱり改めて考えてみてこの俺の置かれている状況ってなんやねん。

ダンジョン運営ってそもそも何のために、引いては誰のためにやってるもんなんや!

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