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1 目覚め

ある朝、目を覚ますとそこは全然知らない場所だった。


暗い、ジメジメとした部屋のような空間の中、明りといえば壁にかかっている松明。

ベッドの上で目覚めたのだが、もちろんこんなところに見覚えはない。

体は動く。


初めはまだ目が覚めていないんだろうと思った。

ここはまだ夢の中の続きなのだと。


しかしいつまでベッドの上で寝転がっていても、二度寝は始まらない。

あきらめてベッドから降りてみると、足の裏にじっとりとした感覚が伝わる。


ここは外なのか?

洞窟……の中とかか?


とりあえず裸足のままベッドを後にし、壁にかかっていた松明を手に取って周囲を照らしてみる。

部屋のようだった。

ベッドがあり、サイドテーブル、あとはデスクとイス……本棚?


なんやねんこれ、どういうことやねん


バーリー・コステロはベッドに腰を下ろして愕然とした。

とてもじゃないがこの現状をすぐには受け入れられなさそうにない。昨日まで普通に会社に行っていたのに一体これはどういうことなんだ。

まさか酔っぱらってこの空間に迷い込んだのか?

じゃあ連れてこられたとか?

いや誰にやねん。


部屋には木製のドアがあった。

ドアノブがついていて、それを回すと外に出られるんだろう。部屋の外に出てみると、そこにはまったく明りがなかった。要するに真っ暗だったってことだ。


松明を持っていて良かった。

だが次の瞬間だった。ふくらはぎに激痛が走る。


痛っ!


思わず後ろを振り返ってみると、そこには見たこともない生物が鋭い牙を見せつけながらこちらを睨みつけていた。しかしめっちゃ小さい。


ウサギくらいの大きさだろうか。

こいつが今俺のふくらはぎに噛みついたんか。


一瞬、こんだけ小さい奴やったら何とかなるか……とも思ったが、いかんせん今までまともに生物と戦ったことなどない。そんなまさか生き物なんて殺したことあるわけないじゃないっすか。せいぜい虫とか虫とか空中を漂っている蚊くらいっすよ。


バーリーは急に弱気になって一気にそのウサギっぽい生き物を飛び越えると、再び部屋の中に戻った。そしてすぐさまドアに鍵をかける。しばらくウサギっぽい奴はドアに対して何かしらのアタックを仕掛けていたようだったが、やがてその音も静まる。


なんやこれなんやこれなんやこれ。


バーリーは自らの混乱を収めることに失敗し続けていた。まず状況が理解できないし、いきなりふくらはぎを攻撃されて、その治癒方法もまったくない。そしてもう外に出ようと思っても、あんな狂暴なウサギさんが襲い掛かってくるから、そうするにはよっぽどのメリットがない限り不可能。


いやもうマジでここどこなん!

誰か助けてよ!


そしてどれくらい時間が経った頃だっただろうか、サイドテーブルの中に包帯があったので、それを攻撃されたふくらはぎにぐるぐる巻きにしてこれを応急処置とし、さらに本棚にあった名探偵コナンを適当に楽しんでいると、誰かが外からドアをノックする音が聞こえてきた。


「あのバーリーさん、いらっしゃるんでしょ? 私ここのエリアマネージャーをしております、レビテと申します」

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