8話 二人の少女
勢いで猪を切り殺したはいいが、これからどうしようか。
そんな事を考えていると後ろから助けた少女に声をかけられた。
「助けて下さりありがとうございます。貴方がきてくれなければ私もフィオラも死んでしまう所でした。」
「別に気にしなくても大丈夫だよ。たまたま見かけて助けただけだから」
少女がお礼をしてきたので返事をしつつ話をしているとふと何かを思い出したのか頭を下げて
「できればあともう一つだけお願いしてもよろしいでしょうか。」
まあ、今更仕事が一つや二つ増えたところでどうって事は無いしいいか。
「何だ?言ってみてくれ。出来そうならやるから。」
そういうと少女は口を開いた。
「フィオラを助けてください。」
余りにも予想外の提案に返事が出来ないでいると少女は慌てながらも話を続けた。
「図々しい事は分かっています。ですがどうかフィオラを助けてください。私にとっては大切な友達なんです。ですから…どうか…」
何を言い出すかと思っていた俺は彼女の予想だにしていなかった話につい失礼だと思っても笑ってしまった。
「なぜ笑われるのですが、私が何か失礼の事を言いましたか?」
俺が急に笑い始めるから勘違いをしたようで見当違いな事を考えているみたいだから理由を話した。
「ごめんな。人助けと言ったら怪我人を直すのも含まれてるいるはずなのに頼んでいるのを見てまじめだなと思ってついな。気分を害してしまったらごめんな。」
「じゃっじゃあ」
「あぁ別に頼まれなくてもやろうとは思ってたからいいよ。後、そこまで思いを話されたらさっき笑った謝罪も含めて彼女の治療に全力を尽くそう。」
「そっそんな。お願いしたのは私ですがそこまでなさらなくても…」
「確かにそうだけど人助けに理由はいらないと思うし、特に大切な友達を守って受けた怪我だったらなおの事直さないとな。」
俺の言葉を聞いて少女は一言「フィオラをお願いします。」とだけ言って頭を下げてきた。
そんな彼女のこと後ろで静かに付き添っていたノエルに任せてから後にしてフィオラと呼ばれていた騎士の所に向かった。
フィオラは全身至る所に傷があり特に背中が傷口からの血で真っ赤になっており確かにこのままだと命まで危なそうだ。
どうしようか悩んでいるとフィオラが俺に気が付いたらしく口を開いた。
「私は…もう…助から…ない…だか…ら…はや…く…でん…かを…」
その様子を見た少女は友達の痛々しい姿に涙を浮かべていた。
「辛いんだろ、喋るな。大丈夫だ。お前も彼女も責任を持って助けるから」
そういえば念のため直した後の事を考えて家に住ませる準備はしておくか
「ノエル、家に先に帰って二人が泊まれるようにしといて。」
「分かりました。先に帰ってますね。」
そう言って帰るノエルを見ているとふと思いついたことがあった。
「ノエル少しだけ待ってくれないか。」
「はい。分かりました。」
目の前のふぃおらも心配だがノエルを一人で返すのもそれもまた心配だ。
そんな事を考えているといいことを思いついた。
何らかの物を出してノエルの護衛に就ければ安全じゃないか。
思いついたら即行動とばかりに咄嗟に《スキル模倣》で探すと《魔獣召喚》と呼ばれる魔獣を呼び出せるスキルだがどうしてもリストの魔獣では俺の目的には会いそうにないのでどうしようかと思っていると《魔獣創造》と呼ばれるスキルを見つけた。
このスキルは実にシンプルで創造した魔獣を生み出すという物らしい。
俺は頭の中で考えていた物をスキルを使い生み出すしたが目の前には何もなかった。
だが《五感強化》には二つの反応が引っかかっていた。その二体に意識をつなげると頭の中に命令をという意思が向けられたのを感じた。この二体をこの世界にある全ての物や物事などを知れる《全知全能》で調べると【ステルスドローン】っていう隠れる事に特化した魔道機械と呼ばれるものらしい。確かにこれは気を抜いたら接近にも気づかないかもしれない。これなら安心だと二機にノエルに就きしたがって彼女を守れと指示しておいた。
心配性みたいだと思うかもしれないがこれぐらいはしないとな。
「もう大丈夫だから。先に行ってきてくれ。」
そういうとノエルは自分の傍に居る二機の『ステルスドローン』に気付いたのか俺に一礼して「では先に帰っていますね。」と言って家へと帰っていた。
さて、この後の事は一応落ち着いたため後はフィオラの怪我を直せばいいな。
2019/5/5 内容更新