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織田信長の行動記録  作者: 楠乃小玉
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多くの人たちが見ながら見ていなかったこと。

多くの民衆の常識や固定概念は何の裏打ちもない

テレビはマスコミの流布するイメージや小説の創作で読んだ内容であったりする。

たとえ、目の前に事実が並んでいても、多くの人はそれを見ようとはしない。

固定観念とは恐ろしいもので、司馬遼太郎を台紙とした小説のテンプレートをトレースするうち、

織田信長はすっかり権威の破壊者であり、過去を否定し、

新しいものを取り入れる人間だと現代人は考えるようになりました。


しかし、すでに明らかになっている事実から織田信長は、社会的権威をまったく認めなくなった

乱世、戦国時代を終わらせ、社会的権威を復活させようとしていた事がわかります。


当時、天皇はまったく価値がないものとされていました。


土岐 頼遠が上皇を犬呼ばわりして矢をいかけて処罰されましたが、

これは、北朝側がかつぎあげた上皇であったためであって、

南朝の天皇を赤松氏の家臣団が襲って三種の神器を奪った時は、

室町幕府から称賛されました。


戦国時代、天皇の権威は地に落ちていました。


その証拠に、武士たちは平気で官位である長門守や大和守などを勝手に名乗っていました。


そうした状況で織田信長は天皇の権威を取り戻そうとしました。


治安が維持された世の中を作るためには権威が必要だと考えたからです。

馬揃えをしたことを、現代の歴史考察家の人たちは

天皇に圧力をかけるためだと言う人もいますが、

そのような圧力をかけるまでもなく、すでに天皇は無力でした。

その無力の権威を、人々から尊敬されるものとするため、

織田信長は天皇の前での馬ぞろえを盛んにしたと考えるのが順当でしょう。


権威といえば、伊勢神宮の遷宮も織田信長が復活しました。


彼はすでに日本の国を掌握する力を手にしながら、

自らは官位を得ず、ひたすら天皇を尊びました。


 彼の行動を客観的に見れば、それが織田信長がとった行動です。


しかし、既存の小説によって頭を固定化された多くの日本人は、

織田信長は過去の権威を破壊しつくした破壊者だ。常に新しいものを

取り入れた革新的な人物だと考えています。


実際に彼がとった行動は歴史的にすでに周囲されており、

ほとんどの人が知っているにも関わらず、

「それには絶対にウラがあったにちがいない」

「あの織田信長が権威を尊重するわけがない」

と考え、曲解をします。

その「あの織田信長は」

という固定概念は実際の歴史に基づかない

小説から流布された一般常識であることを

考える人は少ないでしょう。


坂本龍馬のイメージも司馬遼太郎の小説から来たイメージであり、

実際に坂本龍馬があれだけ薩長に発言権を持ったのは、

背後に武器商人グラバーがおり、その背景にはイギリスがいたからこそ

幕府でさえ、坂本龍馬に一目おいたのです。

客観的に見たら、幕府にとって万国公法など何の価値もなく、

ひたすら、イギリスの軍事力が交渉のカードとなったことは

現在明らかになっている客観的事実を見れば誰にでもわかることです。


実際に目に見えている客観的事実、

それが見えていながら、社会的常識によって

意識が固定化されている。


しかも、その元となったものは、実際の資料の裏打ちもなにもない

ただの創作である。


そういう事は世の中にあふれています。


たとえば、大阪は経済政策で成功しているという流言が流布されていますが、

その根拠となっているグラフは、

全国のグラフのCIはすべての小売業を対象にしているにも関わらず、

大阪のフラフのCIは富裕層向け百貨店の売り上げだけを対象にしています。

当然、富裕層の購買力は消費税増税によって減退しないので、

全国と大阪のグラフを比較すると大阪のほうが消費が上がっているように見えます。

それは、実際の数値を確認すればわかることですし、

実際に確認すれば誰でもわかることです。


しかし、実際のCIを誰も確認しない。

誰もということはないですが、大阪府をたたえる人たちはだれも確認しようとしない。


このように人間というものは固定観念に支配され、

現実を確認しようとしないものです。


それが、実際に目の前に見えている既成事実であったとしても。

織田信長は古い世の中を破壊して新しい世の中を作ろうとしたというのは嘘。


古い世の中を破壊して、新しい世の中を作ろうと凡庸な大部分の人たちが考え、

戦国時代に既存勢力の所領を横領していた時代、

織田信長は社会的秩序を回復するために、あえて、権威主義を復活させようとした。

それこそが織田信長の革新性であった。


今まで積み上げられてきたものを破壊するだけなら猿にでもできる。

既成事実を積み上げ、それを改善していくことのほうがはるかに困難であり

正しい道なのだ。

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