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17 魔物領の死闘、決着


 バチバチと、両の手を包む黒雲が雷光を弾けさせ始めた。

 投擲されて宙を飛びながら、術を完成させる。

 属性は雷、この手に集いて我が敵を焼け、作用範囲は我が掌より伝えて敵の体内、効果は電撃。


 術を発動させる準備がすべて整ったその時、間近に迫った植物達の女王から我が身体に向かって蔓を伸ばす。

 避けられよう筈が無い。

 自分の意思で宙を飛んでいる訳では無いので、方向転換のしようは無く、何より今避ければ折角準備して来た魔術が無駄になる。


 ズブリと、蔓が我の身体に突き刺さる。

 其れでも勢い止まらぬこの身に、更に一本、二本と。


「あはははは、なぁに、アナタ? あぁ、ナニなにナニ? この血、美味しいいいい」

 蔓から吸い上げた我が血の味に歓喜の声を上げ、滴り落ちる血が惜しいとばかりに、蔓で貫いた我が身体を己が元へ運ぶ。

 成る程、我が血は植物の魔物にとっては美味いのか。

 グランワームを滋養としている魔物が歓喜するのだ。もしかしたら我は己の血の味に自信を持っても良いのかも知れない。

 だがやはり、


「貴様は知恵も知識も経験も足りぬな。植物の女王よ」

 完全に相手にトドメを刺す前に、食事に夢中になるなんて、生存の本能よりも欲が勝つのか。

 魔王がこの程度の攻撃で戦う力を失う筈が無い事位は、普通に生きていれば知ってただろうに。


 思えば此奴も哀れな存在だ。

 王に至れる可能性を持ちながら、考える機会に、知る機会に、教わる機会に、恵まれずに欲に勝てぬ愚者と化した。

 グランワーム等の背に生まれず、他の場所で一から成長していく未来があったなら、或いは優秀な女王になったかも知れない。

 滴る血を啜る女王の頭に左手を置き、最後の言葉を唱える。


『裁きの雷』

 正の力を溜めた右手から、負の力を溜めた左手に雷が飛び、そのまま植物の女王の身体に流れ込む。

 その雷は女王の身体を焼き、花びらを焼き、そしてグランワームの身体に伸びた根まで焼く。





「あ……、え、ナニ、いた、い?」

 焼け焦げた己の手を見詰め、茫然と呟く植物の女王。

 我は炭化した蔓を抜き、放り捨てる。


 思ったよりも痛かった。まさか植物の女王に雷を流したら、蔓を通して自分にもダメージが来るとは思わなかった。

 敵にのみと指定はしたが、もしかすれば直前に受けたダメージで術の制御が甘かったのかも知れない。

 根を刺されていたグランワームにも恐らくダメージは入っているだろうが、其処は彼の生命力を信じよう。


「そうだな。其れが痛みだ。初体験か? 女王よ。貴様は此れより死して滅びる」

 其れを教える事は残酷だったのかも知れない。

 しかし彼女は女王なのだ。無知なままに育ったとしても、無知なままに死なせるべきではないと、我は思った。


「エ、ナニ? いや、イヤよ。死ヌなんて、オカシイ。もっとタベタイノ」

 女王の言葉に、頷く。

 もっと食べたい、死ぬのは嫌だ。其れは当然の事である。

 けれども彼女は死ぬ。例え我が止めを刺さずとも、その命は尽きかけているのだから。


「そうだな。貴様は本来長く生きる種だろう。死ぬには早い。しかしな、女王よ。此度の敗戦の責は王たる貴様が負わねばならん」

 支配者たるグランワームを追い詰め、彼女は女王となった。

 しかし其れに不都合を感じた隣国の魔王が彼女を殺しに来て、そして彼女が負けたのだ。

 規模はどうあれ此れは戦争である。


「イヤ、嫌、だって、ダッテ、私が死んだラ、この子も死ンジャウ!」

 叫ぶ彼女の身体は少しずつ崩れて行く。

 最後の時は間近だった。


「否、その子は殺さん。敗戦の責は女王たる貴様の命のみで贖われる。貴様の子も、臣も、我が手に掛ける事は無い。……子に関しては我が保護もしよう。勝者たる我が確約する」

 我の言葉に彼女は目を見開き、……やがて理解したのか頷いた。

 もう本当に時間は無い。

 彼女は崩れ去り、そしてグランワームが目覚めるだろう。

 グランワームが目覚めたならば、怒れる彼は恐らく彼女の子を殺さんとする筈だ。


 我ながら子の保護は甘い判断だと思うけれど、しかし女王たる彼女が、敗戦を己が責と認識して死んだのならば、それ以上の追求は勝者たる我の誇りをも踏みにじる。

 故にグランワームが目覚める前に、サッサとこの場を立ち去る必要があった。

 子の事さえなければ、散々に恩にきせれる案件ではあったのだけれども。


「女王よ。名乗れ。そして子に名を付けよ。其れは母たる貴様に許された権利である」

 まあ、後あれだ。

 我は何だかんだで、母と言う存在に弱いのだ。


「私、ラーネ。……この子、コノこ、は、リリー」




 彼女、ラーネが崩れ去り、その後に残ったのは大きな種子。

 拾い上げた其れに治癒の魔力を流し込みながら、革袋を広げてラーネの灰を詰める。

 その時、僅かに足元が揺れた気がした。今足場にしているのは、そう、王鱗のグランワームだ。

 彼の目覚めが近いのだ。

 或いはすでに目覚めて居て、助けられた恩とラーネの子への怒りを相殺し、見逃す為に敢えて寝たふりをしているのかも知れないが、どちらにせよ急ぐに越した事は無い。

 すでに植物の魔物達は、根の足を動かして遅いながらも必死に最深部から逃げ出している。


「ガル、死んでおらんな。よし、ではさっさと逃げ、……ではない。さぁ凱旋である!」




名称 アシール

種族 魔王

年齢 0(?)

髪色 黒 瞳 黒


レベル 16 → 20 → 22

生命力 290 → 350+100 → 490

魔力  480 → 600+100 → 780


STR 178 → 210+100 → 334

INT   238 → 278+100 → 408

DEX   203 → 239+100 → 365

VIT  183 → 215+100 → 339

MND  213 → 249+100 → 387


戦闘技能

武器類取扱(中)

魔術技能

魔力操作(高) 強化魔術(高) 幻想魔術(中)→(高) 治癒魔術(中)

他技能

感知(中)

ギフト

『貯金』魔王銀行を何時でも何処でもご利用になれます

現在貯金額(大)G

魔力貯金額(中)P


所持品

黒鉄の重メイス

魔王の服(防御力小、清潔、自動修復付与)



*

20レベルボーナス!

全能力値+100、レベルアップ時の成長率が上昇



名称 ガル

種族 黒狼人

レベル 8 → 10 → 18


生命力 350→ 390+30 → 630

魔力 145→ 155+30 → 249


STR 162→ 178+30 → 304

INT   68 →  76+30 → 154

DEX   224→ 248+30 → 422

VIT  149→ 163+30 → 273

MND  71 →  77+30 → 147


戦闘技能

格闘(中)

魔術技能

咆哮(低)→(中) 加速(中)

他技能

感知(低) 隠密(中) 統率(低)


所持品

無し


*

10レベルボーナス!

全能力値+30、レベルアップ時の成長率が上昇



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