第三話 防具の新調
「一、二、三……十九匹…ヤバいですよこれ…」
腹ごしらえを終え、シルバーマウスをクエスト確認受付に持って行ったら、受付嬢が引きつった笑顔を見せた。
「何がヤバいんですか…?」
「とりあえず、シルバーマウスがこんなに見つかることがないし、見つけても捕まえられないんですよ。それも器用に気絶なんて…少々お待ちください。報酬金の準備を致します」
かなり凄い事をやったらしい。
アイデンは興味がないのか、俺の足元で寝ていた。
「お待たせしました。こちらが報酬金でございます。シルバーマウスの状態の良さから、〆て1780Gになります。ご確認ください」
1780…俺たち家族の三か月ぐらいの金が手に入ってしまった…
「あ、ありがとうございました…」
「ありがとうございました。又のご利用をお待ちしております」
あまりにも大金が入ってしまって実感がわかない。
「とりあえず、今日は帰って寝よう」
宿に向けて歩みを進めた。
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「さてさてどうしたものか…」
次の日、気を良くしたエヴィンは違うクエストを受けようとしていた。
昨日みたいにいい仕事がない。
「しょうがない、薬草でも取りに行くか」
街を出て、草むらに入る。
『ぬし―つまらないなー』
アイデンがごろごろしている。
「そう言ってないで手伝ってくれよ」
鑑定を使いながら雑草と薬草を見分けていく。
ガサガサッ
次の薬草ポイントを探しに歩いていたら、木の上から音が聞こえた。
鳥が飛び去った音だった。
鳥がいた場所に目を向ける。
「お、巣があるじゃん。卵もあったぜ!ラッキー」
『食べれるのな?』
「ちょっとまってなー見てみるから」
エヴィンは巣から卵を取り出し、鑑定を使うことにした。
少し卵が動いた。
名前 -- 年齢0日
種族 ガルダ Lv1
攻撃力 0 防御力 0
魔攻力 0 魔防力 0
俊敏力 0
―スキル―
無し
「ガルダ?うまいのかな?」
『ガルダか。それは神獣として崇められている存在な。ちなみに俺も神獣の一匹だからな』
神獣…はるか昔に存在したという伝説の獣たち。書物にしか記されていないそれらは、伝説に過ぎず、確認されたこともないもの。
「神獣…アイデンそんなすごい生き物だったのか…なんか怖くなってきたな…」
伝説の生物がエヴィンの手に二匹もいるのだ。
『大丈夫だ。危害は加えんのだ!主は飯をくれる良いやつなのな!』
「飯目的か…ハハッ…」
良いのか悪いの…エヴィンは乾いた笑いを見せた。
「とりあえず、神獣と聞いてそのままにする訳にはいかないね。温めながら帰ろうか」
『飯が食いたいな!』
「そういえば二人?とも神獣なわけだから、みんなにバレる訳にはいかないな」
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「お帰りなさいませ、エヴィン様。どういった御用で」
「クエストの納品です。薬草採取から帰ってきました」
「それでは薬草をください。精算いたします」
一本がだいたい5Gで、合計24本持って帰ってきた。
「120Gになります。ご確認ください」
受付嬢から盆にのったお金を受け取った。
「又のご利用をお待ちしております」
エヴィンの懐はかなり温かい。
冒険者を始めて間もないのに、約2000Gを稼いだ。
「そろそろ防具の新調でもしようかな」
そこでエヴィンは総合防具屋に向かった。
総合武器屋、防具屋とは、駆け出し鍛冶師や自分の店をまだ持てない商人が、一か所に武器や防具を売る場所である。
「ふぅー着いた着いた」
古びた扉を開け、中に入った。
中には、棚にたくさんの木箱があり、その中に鍛冶師が作ったもの、商人が手に入れたものが所狭しとあった。
「どれにしようかな…」
片っ端から探し、自分の胴体、小手、脛、足、頭、腰回り、しっかり合うものを探した。
なかなか合うものがなく、最後の棚に来た。
最初の木箱を取ってみた。
埃は被っておらず、かなり最近に入ってきたものと思われる防具を見つけた。
その防具は大きなものではなく、必要な部分だけを守る、動きやすい防具だった。
「結構ぴったりだな」
あった部位は胸、腕、腰回り、膝だけだったが、今着けている革防具よりは相当楽なはずだ。
防具の裏を見たら名前が彫ってあった。
「レガス・ハリー…製作者の名前か。一回話してみたいな」
アイデンがかなり暇そうにしてたので、一応防具を探してみた。
「ま、あるわけないか…」
『残念…』
会計に持って行った。
「胸、腕、腰巻き、膝当て、〆て275Gだ」
無愛想なおっさんに金を渡す。
「毎度あり。又のご利用を」
防具の入っている木箱を抱え、宿に向かった。
宿に着き、早速防具を着用してみた。
「いいねぇーすごく動きやすいね」
その場で足踏みをしたり、ジャンプしたり、刀を素振りしたり。
『よく似合ってるいるぞ、主よ!』
アイデンにも言われ、調子に乗ったエヴィンは…
「よし、散歩に行こうか!」
『良い案だぞ、主よ!』
アイデンもかなり乗り気だった。
ガルダの卵と、必要のないものを宿に置き、街に出た。
投稿期間が開いてしまって申し訳ありません!私生活が忙しかったのでかけなかったです!第四話から毎週金曜日までに出します!まとまった時間が取れた場合は、すぐ投稿いたします!