第一話 初めての従魔(ペット)
バッタン
ドアが閉まり、俺の旅が始まった。
「よし、まずは近くの村のサウザンドリーフに行こう。確かあそこは大きなギルドがあったはずだ」
エヴィンはサウザンドリーフに向けて出発した。
サウザンドリーフまでの道はしっかりと整備されており、時折馬車とすれ違ったりした。
歩いて3時間ほど、
「ふぅー、疲れたー。少しこの辺で休憩しよう」
エヴィンは草むらを少し進み、拓けたところで座り込んだ。
背中のバッグから水の入った革の水筒と弁当箱を取り出した。
『お腹減ったからかーちゃんの弁当を食べよう!中身は何かな…あ、ホットドッグだ!こ
れ好きなんだよねぇ!腸詰なんて高かったろうに…いただきます!』
一口齧り、もう一口齧ろうとしたとき草むらから音が聞こえた。
ザザッ
『何の音だ!』
ホットドッグをお弁当箱にしまい、立ち上がってカタナの柄の部分に手をかけた。
少し待って現れるのを待った。
ザザッ
現れたのはまだ生まれて間もないぐらいの白い毛の子犬が飛び出してき。
ヘッヘッヘッヘ
舌を出しながら、こっちに近寄ってくる。
「なんだ、可愛い子犬か」
柄から手を放し、警戒することはないと思ったのでもう一度座り込んだ。
子犬はこっちに来て、座った。
「・・・可愛い」
子犬は弁当箱のほうに興味があるようだ。
そこでエヴィンは食べかけのホットドッグを子犬にあげた。
必死になって食らいつく子犬の様子から、きっとお腹が減ったんだと思う。
全部食った子犬は、顔を挙げこっちを見て一言、
「ワンッ!」
「そうかーおいしかったか!カーちゃんの飯は格別だからなー!」
ナデナデと子犬の頭を撫でてあげた。
『お腹いっぱいになったら眠くなってきたな』
エヴィンが寝っころがると、子犬がお腹に乗ってきて頭をエヴィンの額にくっつけた。
その瞬間、エヴィンと子犬の周りが白くなんだか暖かい光に包まれた。
『ワンッ!おいしいご飯をありがとな!今日からあんたは俺の主人な!』
どっかから聞き覚えのない声が聞こえた。
「誰だ?まさかお前か?」
子犬を見つめる。
『そうだな!俺が喋ってるんだな!」
口は開いてないが、確かに子犬らしい。
『主は俺のおかげで新しいスキルを覚えたんだな!』
「まじか!?どんなスキルだ?』
スキルとは、この世界に存在する個人の特技みたいなものだ。
新たなスキルと聞いて興奮が抑えられない。
『まぁ、目に力を込めているんだな!』
言われた通りにすると、子犬のステータスが見れた。
名前 -- 年齢3ヶ月
種族 フェンリル Lv1
攻撃力 104 防御力 142
魔攻力 231 魔防力 198
俊敏力 367
―スキル―
・火魔法Lv Ⅰ ・水魔法Lv Ⅰ ・雷魔法Lv Ⅰ ・土魔法Lv Ⅰ
・体力増加Lv Ⅰ ・魔力増加Lv Ⅰ
・念話Lv MAX
「すごいな…四属魔法を持っているんなんて…フェンリル?聞いたことないな」
四属魔法…それは、この世界の魔法の中で基本中の基本だが、四属性を持っているものは
過去に存在した大賢者だけと聞いている。
『そう、俺は強いのな!主も強いのな!』
そう言ってくれるのは嬉しいが、自分の強さがいまいち分からない。
王都に住んでる子供とかは、任意で15を迎えたら教会にて自分のステータスの魔道具なるもので測れるらしい。
だが、エヴィンは王都からは遠く離れたちっぽけな村。
「なぁ、俺のステータスって見れないか?」
もしかしたらって思い、子狼に聞いてみた。
『それは簡単な!』
子犬に教えてもらいながらやってみた。
名前 エヴィン・フォルド 年齢15歳
職業 テイマー Lv 4
攻撃力 327 防御力 294
魔攻力 128 魔防力 95
俊敏力 276
―スキル―
・水魔法Lv Ⅰ ・土魔法Lv Ⅲ
・観察眼Lv Ⅲ ・モンスター異空庫Lv MAX ・念話Lv MAX
・テイミングLvMAX
「おぉ、できた。どれどれ…」
自分のステータスをよく見てみた。
「お、土魔法のレベルがⅢもある!畑仕事のおかげかな?」
スキルのレベルはⅠ~Ⅲあたりが修行等でなれるレベルでⅣは修行をさらに極めた者がなれる、Ⅴを持っている者はほんの一握り程度。
『主自体のレベルから考えて魔法レベルのⅢはすごいな!』
「そか…今までスキルとか魔法とか使ったことなかったな…ん?モンスター異空庫ってなんだ?」
―モンスター異空庫…従魔を無制限で時間を共有しない異空間で保管します。
自然と知りたいと思ったスキルの説明が出た。
「にしても無制限で保管してくるのか…かなり便利だ」
『主よ、そろそろ俺に名前を付けて欲しいのな!』
『名前か……何がいいかな?んー……アイデン!なんかかっこいいから今日からお前はアイデンだ!」
『すごく適当だけどかっこいいからいいな!』
初めての従魔ができ、名前も付けてあげた。
そろそろ出発しよう、エヴィンは片づけを始めた。
「よし、アイデン。そろそろサウザンドリーフに行くぞ!」
アイデンに声をかけ、草むらから出た。
『その場所には何をしに行くのな?』
長い旅路に話し相手ができて良かった、エヴィンはそう思った。
アイデンに旅の目的などを話してあげた。
もうすぐでサウザンドリーフ。
整備された道のおかげで、魔物に遭うことなく街に着いた。