バレンタインに現る奴ら
バレンタインに間に合った
バレンタイン
それは恋人にチョコを渡して想いを届けるという、今では日本の伝統行事である。
恋人だけではない。義理や友だちに渡す者もいるだろう。
だが、こんな伝統行事に恐ろしいことを考えた男がいた
「想いを届けるのがバレンタインでしょ! だったら、愛のこもったチョコを貰った奴は俺達からの愛のこもった鉄槌を下してもいいんだよね! 愛を込めればいいんだから(^_^)」
そんな事を笑顔で言い放つ男がいた。
奴らは貰える可能性を自ら下げている……男だ……と思った。
奴らは「チョコは貰いたい。だけど、貰って有頂天になっている奴には鉄槌を下し、現実に引き戻さなければならないんだ! それが俺達の使命なんだ」
そいつは涙ながらに語っていた。
そいつは何かをこの年で悟ってしまったのだろう。
貰えるか貰えないかの生まれながらにして決まる無慈悲な線がこの世にあることに……
今日はそんなバレンタインになったら確実に現れる生命体を調査してきた。これが報告書だ。
2月14日、通称バレンタイン
この日は社会全体が浮かれる日なのだろうか。コンビニ、デパートを覗いてみても、一番初めに目に映るのはバレンタインという文字だった。私には関係ないことだった。生まれてきて、おばちゃん達にたっぷりと渡される私には関係ないことだった。そう関係ないこと……
私はいつもより早く待機場所に座り、奴らを伺った。
奴らはいつも時間ギリギリにくるのに、今日だけはいつもの一時間半くらい早く席に座っていて、少したつと奴らは下駄箱にまで移動したりトイレに入ったりしていた。
私はなぜかと思い、奴らに尋ねてみた。
「どうしと今朝からそんなに早くいるのですか?」
すると男たちは、自身満々の顔をしながら
「俺に渡したいんだが、皆に見られては困るシャイな女の子の為に待っているのさ。ふっ、人気者も大変だぜ」
吐き気を催しそうでした。どうしたらあんなに人を不愉快にさせ、なおかつ精神的ダメージを与えられるのかが不思議だった。
「なぜ下駄箱に行ったり、トイレに入ったりしているのですか?」
「女の子が恥ずかしいからという理由で下駄箱に入れてくれたのに、俺が見に行かなかったら可哀想じゃないか。トイレにいくのは女の子が俺の席にチョコを入れられるように準備をしているのさ」
お前の頭の方が可哀想だわ、と思いました。
あと、だから昨日のうちに汚い下駄箱を綺麗にして、机の中を綺麗にしていたのか、という事が分かりました。
奴らは基本的に朝はナルシストになるという事が分かりました。
~昼
奴らは昼になったら豹変する。朝の鈍感な奴らとは思えないほどの、効率よく情報を集めスピーディーに標的を倒していく。
まず、奴らは仲間と連絡を取り合い学校全体に広がる。そしてLINEでターゲットを探り観察する。
そして標的がチョコを受け取った瞬間、素早くLINEに「go」と書き、標的を仕留めにいく。まずは奴らは足を押さえにいく。逃げられないようにするためだろう。
そして次にはチョコを傷つけないように標的を縛り上げ、仲間の元へと持っていく。チョコを傷つけない所は女子への好感度を少しでも上げるためだと考えられる(無理だろうが)
アジトへと標的を持って行った後は、標的をひたすら貶す。
例えば
「お前勘違いすんじゃねぇぞ。あの子は義理で仕方な~くお前に渡してあげただけだかんな!」
「それを肝に銘じておけよ!」
「復唱しろ「私は今後一切、あの子に関わり合いをもちません。男友だちと一緒に仲良く青春を過ごします」これを10回!」
とても情けない姿にしか見えません。ですが、奴らは偉いことに決して暴力をふるいません。そこだけは人としての価値を少し保てているのではないでしょうか!(奴らの弁護)
昼は奴らは獣になります。皆さん充分注意を払って下さい!
~放課後
奴らは授業が終わり、皆が帰ったあとでもまだ帰りません。
朝と似たような行動を何回も繰り返します。みてるこちらがわとしては、涙腺が緩くなりそうでした。こんなにもこの1日に賭けている奴らがいたんだと……
奴らは最終下校になるまで粘り粘って、涙ながらに帰っていきました。
奴らの帰る後ろ姿には儚げな哀愁が漂っていました……。
奴らはどこにでもいます。
バレンタインだけではないです。恋人と仲良くしている時には奴らは必ず近くに潜んでいます。
ほら、あなたが恋人と仲良くしている後ろには……
これはフィクションな場面もあれば、ノンフィクションな場面もあります。皆さんお気をつけて(∩´∀`∩)
みんなー、気をつけてねー(∩´∀`∩)