表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

月の満ち欠ける夜に

 

 

「全てを愛する憎む、無上の強度で、ということ」


 人間であって、人間で無くなるとは、つまりはそういう事だ。


「極点を極めれば、何時かは至れる心境だと思うけど」


 神のような人、聖女。

 この学校で持て囃される代名詞を当て嵌めるならそう。


「死ねば、今すぐに、至れると、そう思ったの」


 俺は止めた、彼女は俺だから、俺に死なれては困るのだ。


「下らない死ぬな」


「はあ?」


「お前は俺だから、死ぬな」


「はあ、そう、貴方の言いたい事は、九割九分九厘、分かります」


「そうだろう、お前は俺なんだから、そう、分かって当然だ」


「少なくとも、貴方の中では、きっとそうなんでしょうね、分かりますよ」


「分かってくれるか、ならば良し」


「そして? どうしたいんですか?」


「俺はお前という俺に、興味を持った、愛着を持った、だから付き合う」


「はあ? なるほど、、、そういうことですか、分かりますよ」


「そうだろう、そうだろう」


「つまりは狂信、貴方はわたしを貴方と思う事で、自殺を阻止する事によって公明を得た、違いますか?」


「どういうことだ?」


「例えるなら、狂信の方向性をわたしに向けて、安定を得たというか、最初から破綻している理論を無理やり纏めた、というか」


「いいや違うな、早急に処置すべき俺を、お前という俺に定めたにすぎん、きっと勘違いしているんだな、違う」


「はあ? どういうことですか?

 わたしはただ、自殺を真に阻止した貴方を、運命の相手として、憎み愛そうと、境地を極めたいと思っているだけですが」


「だからどうした、俺の分際で、俺に救われておいて、俺の意図しない会話をするな、理解も実感もおぼつかん」


 俺はため息を吐く、月の満ちては欠ける空、今日は月見日和だったのだが。


「・・・・・・」


 どうやら、わたしの中の天使は、大いに狂信的であるようだ。

 

 天使は概念的に存在する。

 両性具有、男と女を内に共存する。

 

 時代は移り変わり、人間と交配し過ぎた天使は、概念と物理の中間に位置した。

 そしつ終に、男と女で一つの生命体として二つに分かれた。

 結果がこれ。

 狂信的で、月の満ち欠けで記憶の共有・更新が行われる姿。

 

 彼は全人類を代表するかのような聖人、わたしは彼を見守る天に住む唯一人の人間なのだった。


 

設定不詳な推理ゲームようなミステリー要素あり?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ