まさか
ピピピピピ
枕に顔をうずめたまま、手探りで目覚まし時計を探す。
中学生時代は、徒歩30分の場所に学校があった。身支度にそれほどの時間を要しない私は、出発の一時間前に起きれば余裕で間に合った。そのため、今までは十分に睡眠をとれたのだ。
しかし、今は中学生のころと同じというわけにはいかない。高校は電車とバスで約1時間。いくら一時間で身支度が終わるとはいえ、ゆっくり寝ている時間もないのだ。
起きなければ、と、頭では分かっているものの、瞼が重い。やはりまだ体が慣れていない。
***
結局あれから15分後にベットから起きることになった。せっかく用意された朝食もろくに取らず、急いで準備をする。
走れば全然間に合う、そんなことを考えながら勢いよくドアを開けると、
直樹さんが立っていた。
「おはよう」
突然のことに、言葉がすぐに出てこない。
直樹さんは時計をちらっと見て、急ごう、と足踏みした。そこからバス停につくまで、一言も話さなかった。
バスの中で、沈黙を破ったのは直樹さんだった。
「ごめん、急に家に行っちゃって。驚いたよね。」
「え、いや、うん・・驚いたけど、嬉しかったよ。」
何を恥ずかしいこと言ってるんだ私は!!!と心の中で叫んだ。でも、嬉しかったんだ。家だってそこまで近くないのに。
そこから学校まではとりとめのないことを話しながら過ごした。校門を過ぎた所からは、同世代、または高学年の生徒かもしれないが。ニヤニヤ訳知り顔で見てくる。正直、もっとひっそりと告白してほしかったかなーなんて。
ふと見ると、直樹さんの耳が赤かった。
***
「一緒に登校なんてー、もうラブラブなんだから♡」
千春、おはようもなしにいきないそれですか・・・。
「そんなこと言って、私の家教えたの、千春でしょ。」
千春はばれたか、と悪戯っぽく笑った。
今日はクラスの係や委員会、学級委員を決める日だ。千春と同じ委員会になりたいと思ったが、千春は面倒くさがり屋なのできっと係活動にするだろう、と思いその話題は出さないまま5分休みは終わった。
思った以上に面倒くさがり屋はたくさんいた。
ほとんどの人が係活動をしたいと言い張り、係・委員会活動を決めるのには時間がかかった。私は何になってもいいと思っていたので、一番人が嫌がりそうなものにしようと決めた。
そうなるとやはり、学級委員だ。学級委員というのは、大事な役割だが、仕事はほとんど雑用ばかりだ。だれもやりたがらないだろう。女子の私は決まったとして、男子はだれかやってくれるかなあ・・・。
ところが、男子はすぐに決まった。そして、自分が手を挙げたことに後悔した。
「じゃあ、決まりだな。二人ともよろしく!」




