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第二章

第二章





リファインド・オーサラネスは

様々な世界の調律を保つ「特殊任務空間対策班」の

トップの5人の中の一人である。


様々な世界を見守るということは、ある意味その

世界の頂点にいる者達すら、その下に見ることも出来る。

だが、リーはそうしない。

別に上下関係などどうでもよく、リーはあの日以来

「組織」に忠誠を誓っているだけである。


リーは組織一の魔法の使い手で、その実力は

世界規模の異変に対応出来るほどである。


(…そうです、私は「裁断」のリファインドです…)


そう。「組織」つまり「対策班」のトップ――「裁断」。

それは、ある意味、世界をまとめる者達の

頂点に立つ者でもある。


なのに。

そんなすごい大任に就いている者なのに。


ちらとリーは後ろを見た。


「じゃあさ、道具屋はその人に任せるってわけ?」


「え、ええ…。こ、これまでも何回か少しだけ、お店を

 代わりにやってもらったことがあるから…

 だ、大丈夫です…」


「おそらく短期間では終わらないと思われますが

 よろしいのですか?」


「は、はい…。そ、その人には事情は話せませんが

 きっと大丈夫です…」


後ろでは、連絡用のチップを魔力で複製した物を使って

二人の少女と、チップ画面に映っているもう一人の少女が

会話をしている。


その様子を見て、リーは頭を抱えた。




成り行きとはいえ、二人――道具屋の娘のセイファと

少女剣士のミクリィを、「組織」公認の現地支援者

「プロテクトサポーター」にしてしまった。


ということは、今回の任務は彼女らと一緒に、遂行しなければ

ならないのである。


リーは過去二回の任務において、プロテクトサポーターは

いなかった。

というのも、リーが、事務的以外な人間関係を

苦手とするからである。

それに、それを補える実力もあった。

ゆえに、プロテクトサポーターは必要なかったのである。


(…どうなるんでしょう、私…)


今回の任務に対して言いようのない不安がこみあげて

きたころ、ふいにリーの名前が呼ばれた。


「――――リー、おいリーってば!」


「…はい、なんでしょう?」


リーは落ち着いて、とりあえず内面は極力隠して

表面上は穏やかに接する。


「ずっと呼びかけても返事なかったから、どしたの?」


「…いえ、すみません、ちょっと考え事をしてました」


ちょうどあなたたちとそれに関する自分のことで、と

リーは心の中で付け足した。


「ふーん……。まあいいや。それでさ、あたし達って

 今どこに向かってるの?」


「…とりあえず、セイファさんの住んでいる町に向かってます。

 セイファさんの道具屋のことと、あの盗賊団のことを

 そこの自警団に密告するためです」


「あ、なるほど……って密告?」


セイファのことは納得したが、その後が疑問になって

ミクリィは問い返した。


「…あまり表立って行動したくないのと、早めに

 次の手がかりを見つけたいからです。それに、自警団とも

 面倒なことになる可能性もありますから…」


「一人で盗賊団を壊滅したリファインド様のことを

 知れば、それが誰であれ、一般の者ならば

 まず、話にのぼらないことはないでしょう」


リーの説明にイルが補足する。


自警団の事情聴取とかがあるのかは分からないが

なるべくそういったことを避けるべきである。

時間的にも面倒を起こさないためにも。

それに「組織」のことはトップシークレットである。

自警団に大きく関わるわけにはいかなかった。


ミクリィは納得したようにうなずいた。



セイファの町で用事を済ませた一行は

次にどこに行くかを話し合った。


手がかりは盗賊団の首領から聞き出した

「流れの行商人」ということのみだけである。


セイファの住んでいる町やその近郊には

これ以上、治安を大きく乱すものや、手がかりはなさそうなので

一行はミクリィの勧めで、ミクリィが住んでいる村に

向かった。


そして、そのまま夜になり、一行はミクリィの家に上がった。



そして就寝時間。

リーだけは「外で寝ます」と言ったが、セイファに止められ

ミクリィに面白半分で引き留められ、仕方なしに家で

寝ることにすると、イルからなぜか不穏な気配を向けられた。


「…私も行きたいです…」


イルはリーにも誰にも気づかれずに、そっとつぶやいた。




翌日、一行はミクリィの村にもあまり手がかりは

ないと見て、ミクリィの村からさらに進んで

奥にある町へ向かうことにした。


道中、ミクリィの剣を見ることにした。

リーは剣こそ使わないが、杖を居合抜きに見立てた一撃は

剣と同等の威力がある。

剣術も多少は心得がある。


「な、なんでこんなに当たらないんだ!?」


とムキになるミクリィの剣をすべて避けながら

リーは、ミクリィの剣の長所と短所を的確に説明して

さらにミクリィの剣が良くなるようにした。


その間、セイファは家からもってきた道具で

野草・薬草などを前じて、回復薬などを調合して

旅人などに売って資金を稼いだ。


リーは、二人のこういう面を伸ばすのが良いのかと思った。



そうしてしばらくして、次の町に着くや否や、一行は

情報を収集した。

ぱっと見の治安や、看板、噂話などを調べて回った。

そうしたらその情報の中に


「この町には女領主の家があって、よく流れの行商人なども

 その屋敷に入るらしい」


というものがあった。


リーはイルに検索を頼んだ。

イルからの情報で、確かに女領主が存在しており

身元不明の者が多数、屋敷にとどまっていることが判明した。


一行は、次の目標をこの女領主の屋敷にした。

そしてさっそく問題が浮上する。


「…私はいつものこととして、お二人は屋敷に

 忍び込めますか…?」


リーは困ったように言った。

案の定、二人にそのような経験はなく、ならばと

リーは一人で行くと言った。

だが、イルが


「それでは戦力として成長しません」


と言い、更に二人も同行したいと言ったため

リーは頭を抱えた。

絶対無理、までいかずとも、無理な可能性が高い

とリーは思った。


「…不法侵入するんです。捕まって牢に入れられても

 例え命を奪われても、文句は言えませんよ」


と二人に言ったが、


「こ、この世界そのものがなくなってしまうなら…

 け、結果は変わりません…っ!」


とセイファは言い、


「同感。まあ、こそこそやるのは性に合わないけどやるよ」


などとミクリィまでもが言い出すので、結局リーは

二人を連れて、屋敷に忍び込むこととなった。



やむを得ず、リーは自分と二人に気配と姿を消す魔法をかけると

屋敷の中へ滑り込んだ。

二人もそれに続く。


イルの検索のおかげで、屋敷の全体は分かっているが

二人の速度がどうしても、リーよりかは遅くなってしまう。


リーは二人を待つ間に相手に悟られないかと

ちょっと心配になった。

世界規模の異変が起こりそうなときには、いかにリーの

魔法が優れているとはいえ、油断は出来ない。


やがて三人は、その館の女主人がいるという

部屋へたどり着いた。

そこには、見た目14~5歳くらいの少女が椅子に座っていた。


つややかな黒い長髪を腰まで伸ばしていて

赤い瞳をしている。服装は、装飾が少し華美だが

目立ちすぎることはない、水色のワンピースを着ていた。


「そこに座っている方が、ここの女領主です」


イルは言った。

二人は驚いた。あのくらいの年齢で領主をやっているとは

思わなかったのだ。

だが、リーは「対策班」でイルを始めとする「支援」に

出会っている。

リーには、改めて驚くことではなかった。


女領主は、執事と思われる男に向かって色々と指示を

出している。

そしてふと、最後に執事にこう言った。


「そうそう……。後、ちょっとネズミを退治しなくちゃ

 いけないみたいよ?」


瞬間、リーは二人を抱えて跳躍した。

リー達のいた場所に鋭く何かが撃ち込まれ、壁をえぐった。


「…へえ…気づかれるとは思いませんでした」


二人を背にかばい、リーは術を解いた。

いきなり現れたリー達に対して、執事は一瞬まゆを動かしたが

すぐに手を二回鳴らした。


そして扉という扉から数人のボディガードと見られる

黒服の男達が現れ、三人はあっという間に囲まれた。


「な、なんであたし達がいるって分かったんだ!?」


ミクリィがあわてる。


「だって、ここにはない女の香りがあったんですもの」


女領主はさらりと言った。

リーははっとした。


常ににおいまで消している自分に対して

二人に消臭の術まではかけてはいなかったのだ。

常に単独で行動していた男の、リーの完全な

盲点であった。


徐々に包囲網が狭まってくる。

それでもリーは、この窮地を抜けるのは容易いと

思った。


「おとなしく投降しなさい。そうすれば……あら」


リーを改めて見た女領主が、つかつかとリーに

近寄ってきた。

思わずリーは警戒する。


そうしてじーっとリーを見た女領主は


「……いい素材ね…」


と言い、そして


「……そうね、彼が私の配下についてくれるっていうの

 なら、今回の件、なかったことにしてあげるわ」


と言った。


「は、はいぃ!?」


「は、配下……ですか…っ?」


二人が驚く。そして何か言う前に。


「お断りします」


とリーははっきり言った。

リーは、すでにボディガード達や執事は倒していた。


「すみません、手荒な真似はしたくなかったんですが……

 とりあえず気絶しているだけなので」


「……そう」


そうして、二人はお互いに牽制しあった。

リーは、自分には遠く及ばないながらも、この女領主が

ここで一番の使い手であることを見切った。


この女領主を倒すことは容易い。

だが、情報を上手く聞き出せるかが問題だ。

見たところ、そのようなタマではなさそうだ。


魔法を使って心を探るなど、方法はいくらでもあるが

それではリーは納得しない。

もし万一遺恨を残そうものなら、それは治安を乱す

マイナスエネルギーになる可能性があるからだ。


どうしたものかとリーが思案していると

後ろから二人がリーの前に出た。


驚くリーを後ろに二人は、


「勝手なことばっかり言わないでよ。リーは

 あたしの剣の師匠なんだから」


「た、確かに勝手に上がっちゃったのはすみませんが

 そ、それでもリーさんを渡すことはで、出来ません…っ!」


と言った。


「…お二人共、下がってください。その方、この方々の中で

 一番の実力を持ってます」


リーは二人に言った。

だが、二人は首を横に振って


「なら、ちょうどいい。一人だけなら、今度はあたしが

 相手をする!」


「わ、私も……頑張ります…っ!」


「あ、いや……セイファ、あたしにやらせてくんない?

 って言うか、セイファ武器持ってないじゃん」


「あ……」


ぽかんとするセイファの背を押して、リーの後ろに

持っていった後、ミクリィは剣を構えた。


「……仕方ありません。私の見立てではおそらく

 ミクリィさんより、残念ながら向こうの方が上手です。

 勝負している最中にミクリィさんがどれだけ

 成長出来るか、と言ったところでしょう」


とリーはミクリィに言った。

ミクリィはうなずいて


「それで当たり前。最初から勝てるって分かってる相手と

 勝負したって、早く強くなれるとは思ってないから」


とリーに返した。


「……いつまで待たせるの?最初はあなた?」


待ちくたびれた女領主がミクリィに視線を向けると

ミクリィが応じた。


「ああ」


言いながらミクリィは、前の女領主から見えない

圧力なようなものを感じた。

会話の最中に不意打ちを仕掛けようかと

考えたが、この相手には通じない、そんな予感が

ミクリィを突き抜けた。


あえて相手に応えることで、ミクリィは

相手の出方をうかがう気である。


「じゃ……遊んであげようかしら」


言うと女領主は指揮者のように腕を振り上げた。

とっさにミクリィは右へ、セイファを抱えたリーは左へ

避けた。

避けた後に何かが突き抜け、後ろにある扉に穴が開いた。


「ちょっとは面白いみたいね」


女領主が腕を振るうたび、部屋の損傷が増える。

女領主が使っていたのは、手に持っている鞭であった。


ミクリィは地面を4度5度と転がる。

鞭はミクリィに直撃はしていないものの、何回かは

かすっていて、しかも絶え間なく瞬発力を使った

ミクリィの息が上がってきた。


その間も容赦なく鞭の嵐がミクリィ目がけて降り注ぐ。


ならばと、ミクリィは鞭が手元に戻ってくる一瞬の隙を

ついて、素早く女領主の懐に潜り込んだ。


「危ない!」


リーは叫んだ。


女領主はもう片方の手に短剣を隠し持っていた。

女領主の顔がにやりと笑う。


キン!と高い音が鳴った時には

リーが両者の間に入り、女領主の短剣を

てのひらの魔力障壁で阻んでいた。


「…ミクリィさん、交代です」


リーはミクリィに言った。

ミクリィは肩で息をしていたが


「……あーい、確かにあたしはまだまだだね。

 降参降参。今リーがいなかったら確実に

 負けてたわ」


と素直に負けを認めて、剣を握ったまま両手を上げた。


そして、女領主も両手を上げた。


「そうね、私も降参だわ」


びっくりしたセイファが聞いた。


「な、なんでですか……?」


演技という可能性もあってリーは油断していないが

女領主から敵意は雲散霧消していた。


女領主は自分の頬を無言で指差した。

そこは少し切れていて、血がうっすらと滲んでいた。


「女の顔に傷つけられたら、私は女は負けと思ってるの。

 今まで私の顔に傷つけた人なんていないわ」


それにと続けて、


「この傷がもっと深かったら、本当に負けていたのは

 私の方かもしれない」


と女領主は言った。


「いいわ、もう好きにしなさい」


となぜか女領主は服を脱ぎ始めたので

リーと二人はあわててそれを阻止した。


「…勘違いしないでください。私達はそのような目的で

 ここに来たんじゃありません」


「分かってるわよ、ちょっとした冗談よ」


ふふっと女領主は笑う。

ちなみにまだ服は半脱ぎで、ここにいる唯一の男性である

リーを挑発しているようだった。


ちなみにリーには一切その類は効かない。

苦手な、ともすれば嫌いな人間の体を見たって

嫌と思えこそすれ、引き込まれることなどないのだ。


「というか、本当に何しにきたの?」


女領主は改めて三人に聞いた。

一瞬、三人は返答に詰まったが、


「……最近、流れの行商人が持っているという

 謎の薬について調べています」


と、仕方なく正直にリーは言った。

回りくどい言い方だと説明しにくい上に

長くなると「対策班」の事にも、話が関わる可能性が

あるからだ。


ここで表情や顔色、態度が変わるようであれば

追及の手を、少々強引なものに変えてもいいと思った

リーだが、


「薬?」


女領主は何も知らないようで、ぽかんとした。


「ええ、最近になって流れているそうで…。

 ここには行商人も多く出入りするので、何か手がかりが

 ないかと」


「って、まさかたったそれだけの情報のために、わざわざ

 ここまで来たの?」


女領主は呆れたように言った。


「あなたたちは見ない顔だから、知らないと思うけど

 私のこの館って警備厳重で有名なのよ、ここらへんでは。

 ここの領を預かる身としてはね」


てのひらを上にして、両手を肩くらいの位置に上げる

ジェスチャーをしながら、周りを見て、


「……私、もしかしたら見つけなかった方が良かったかも

 しれないわね」


とつぶやいた。




女領主、名前を「ミルファル・ララメイ」と言い

その後は素直にリー達の質問に応じた。


なぜそんなにぺらぺらと喋ってくれるんだと

ミクリィがミルファルに聞くと、


「私にとって大した情報じゃないのと、あなたに

 負けたのと、この男…?を気に入ったからよ」


と言った。

ちなみに男かと疑問符をつけられたのは、もちろん

リーである。


ミルファルからの情報によると、この館でそれらしき品を

扱った記録はなかったが、この町より西へ進んだ城下町に

大商人の屋敷があって、その商人の人達がそれらしき

品を売っているのを見た、という者がミルファルの配下に

いたらしい。


ならとりあえずはその町に行ってみませんかと言いながら

セイファはミクリィのかすり傷と、ミルファルの頬の傷を

手当していた。


どうやらセイファは、ミルファルの方も見かねたらしい。

ミルファルは素直にセイファに礼を言った。


「い、いえ……そ、その、勝手にこっちが

 入っちゃったんですから……」


とセイファは恐縮して礼を受け取ることではないと

言った。

ちなみにリーが倒した男達は、単に気絶させただけなので

全員無傷である。


「……ねえ」


「は、はい?」


ミルファルが三人に普通に声をかけた。そして


「私も一緒についていくわ」


と言った。


三人は驚いた。

なぜいきなりミルファルが同行すると言うのか。

三人には理由が分からなかった。


「言ったじゃない、この男が気に入ったって。

 なら、手に入れるのは無理にしろ、勝手についていくのは

 勝手じゃない?」


リーは頭を抱えた。


二人だけでもただでさえ大変なのに、三人に

増えたらどうなるか。

リーは想像したくなかった。


「あたしは歓迎だな。まだミルファルにはリベンジしてない。

 いつか勝つまでやるつもりの相手が、近くにいるってのは

 いい」


真っ先にミクリィが同意した。


「わ、私も……み、ミルファルさんやミクリィさんのように

 強い人が増えてくれると…う、嬉しいです…」


セイファも肯定派である。


「プロテクトサポーターにしますか?」


イルはリーの判断を聞いた。

リーは頭を抱えた。


断れそうにない。

それに断ってもついて来るだろう、この少女は。





「へぇ……複数の世界の危機ねぇ……」


「し、信じてくれますか……?」


「ちなみにあたしはまだ半信半疑だし、っていうかどっちでも

 いい、リーが剣を教えてくれるんなら。

 つまり目の前のことを片づけていけば、解決するんでしょ?」


「大雑把に言えば、そうです」


「ふふっ、面白そうじゃない。毎日館に閉じこもって

 雑務に書類に退屈してたところよ」


「で、でも、領主のお仕事は大丈夫ですか…?」


「ああ平気よ。全部執事の者が心得てるわ。

 ……安心して、「対策班」のことはちゃんと私だけの

 秘密にしてるから。でないと」


リーに記憶を消されるからね、とミルファルはリーを見た。

リーは黙って先頭を歩いている。



結局、ミルファルも仲間に加わった。

プロテクトサポーターになることも承諾してくれた。


ミクリィ以上の使い手が仲間に加わって、それに

二人の事をミルファルに任せる事も出来るようになったの

だが、リーの顔色は優れない。


ミルファルから感じるリーへの視線は

リーにとって、なにか「ぞくっ」とするものがあった。

敵意など、害意のあるものでない。

それだけに、その視線は余計にたちが悪かった。


もうリーは何かをあきらめた。













暗闇の中、「誰か」が「何か」に手をかざしている。

「誰か」はなにかをつぶやいている。

「何か」は「誰か」の呼吸に合わせて鳴動している。


瞬間「何か」は一瞬だけ激しく辺りを照らし

そして膨張した。

そしてまたもとの動きに戻る。


「誰か」は少々驚いたが、それが一瞬のことだと知って

落ち着きを取り戻した。


そして「誰か」は薄く笑った。














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