婚約破棄をされた言われたことしか出来ない令嬢の末路
「イリヤ、婚約を破棄する」
婚約者ロイゼ様に宣告をされた。私は総領娘のイリヤ、と言う事は・・・
「ロイゼ様は婿に来られないと言うことですね」
「違う。義妹メロディと婚約を結びマイヤー伯爵になる」
「そ、そんな。何故」
「真実の愛に目覚めたからだ」
その発言と共に父と義母、義妹が入って来たわ。
「そうだ。その方が良かろう。イリヤは言われた事しかできない」
「ええ、ロイゼ様は行動力があってメロディは華がありますからその方が家の為ですわ」
「お義姉様ごめんなさい」
「では、私は家政を行えばいいのでしょうか?」
「イリヤが残るとメロディが後ろめたく思うだろう」
「そうよ。いい加減に自立しなさい」
と言われても私は16歳だ。
まだ、学生なのに
「もう、退学届は出しておいた」
私はいくらかのお金を持たされて屋敷を追い出された。
使用人ギルドに行く。
「・・退学か。家庭教師としては無理だな」
「ではメイドでも結構です」
「紹介状もないよね。君は身分も経歴も中途半端だ」
「そんな。住むところもありません・・」
「でも、一つあるよ・・・あまりお薦めはしないけどね。給金が高い分怪しい。条件は16歳以上だ」
「な、何でもやります。紹介して下さい」
「一月・・・銀貨30枚で住み込みだ。商会名は『お友達商会』だ」
「本当ですか?」
と紹介状をもらって王都の下町に行く。
二階建ての建物だ。寂れている。
「初めまして、使用人ギルドから紹介してもらったイリヤと申します」
「どうぞなの~」
幼い女子の声がドア越しに聞こえた・・・・
「座ってなの~」
「はい、イリヤ・マイヤーでございます」
「採用なの~」
幼女だ。お人形のように可愛い。
「あの、お仕事内容は・・・」
「お使いなの~」
「お使い?」
「メアリーは5歳なの~、だから商会長になれないの~、16歳から商会長になれるの~」
「ええと、それはどういう事ですか?」
「メアリーの代わりに商会を立ち上げてくだしゃいなの~」
「ヒィ、それは違法ではないでしょうか?」
「分かったの~、じゃあ、バイバイなの~」
「待って、下さい・・・」
と結局お友達商会の商会長になった。
やることは特にない。
学園の勉強の続きをする。
どうせ高位貴族令嬢のお遊びだろうと高をくくっていた私がいました。
「お使い頼むの~」
「はい」
キャンディーかしら。
「リスタ商会の債権を金貨100枚分買うの~」
「はい、分かりました」
心の中で悲鳴をあげる。
商業ギルドに向かう。
「はあ?お嬢さん。リスタ商会は・・・こういっちゃ何だがパアとしないね。麦の仕入れに時間がかかりすぎる。まあ、いい。言われた物を売るが本当に良いのか?」
「はい・・・」
「ヴォルフ公爵家の振出手形・・・あんた何者だ?!」
驚かれた。
数回同じ事をしていたら、商業ギルドの応接室に通された。
「イリヤ様!どうぞ、今日は何をお買い求めですか?」
「はい、今日は売りに出そうと・・・・ガルド商会の債権ですわ」
すると商業ギルマスはニコニコ笑う。
「ほお、何か・・・ございますな。当ギルドも便乗させて頂いても宜しいですかな」
「ええ、それは私の関知するところではございませんわ」
☆☆☆
「ガルド商会!不祥事発覚!飼料用の麦を一等小麦と偽って売っていた!」
「債権を売りだ!情報が出回る前に売りだ!」
「もう、売れないよ。売り抜けたのは・・・」
「「「お友達商会だ」」」
「商会長は、イリヤ・マイヤー嬢、新進気鋭の女商会長!」
「何者だよ・・・」
・・・・・・・・・・・
何やら周りが騒がしくなってきたわね。
あら、メアリー様だわ。
「イリヤしゃん。ついて来てくだしゃいなの~」
「はい・・・」
平民の服に着替えてメアリー様の後を追う。
「メアリーの保護者枠なの~商会長言うの禁止なの~、メアリーと呼ぶの~」
「はい・・」
彼女は商会を回る。
麦を扱う商会だわ。リスタ商会、最初に金貨100枚を出資した商会だわ。
「お使いで来たの~、麦を見せてくだしゃいなの~」
「はい、どうぞ」
メアリー様はジィと見ている。
「お邪魔したの~」
「品質は落ちてないの~」
自分の目で確認しているのね。
レストランにも行く・・・
「これからレストランに出資を考えているの~」
「メアリー様は分かるのですか?」
「分からないの~、でも、ドアは分かるの~綺麗なドアと窓に投資するの~」
高級レストランに行く。
ドアを見る。
綺麗かで見ているのね。
掃除が行き届いていないレストランは・・・
「ここは下等平民の来るところではない」
「分かったの~、お姉様いくの~」
小さいレストランでも掃除が行き届いていれば・・・
「お嬢様お二人、ご案内できますよ。今日は良い魚が入りました」
「頂くの~」
このレストランは確かに美味しい・・・
「伸びる運気を感じるの~」
「出資なさるのですか?」
「出すの~」
そうか、自分の目で見て確認して投資をするのね。
私はメアリー様が出資した商会の債権の上げ下げをグラフにした。
他の商会の債権の価格も表にしたわ。
「メアリー様、これからは飲食業が上がるのではないでしょうか?王都に人が集まり、自分で作るよりも安価な食事を求める層が出てくるでしょう」
「そうなの~、よく分かったの~、労働者向けの飲食店に投資するの~」
「はい」
しかし、個人商店はあるが、大規模な商会は手を出していないわね。
「メアリー様、個人商店に投資をなさるのですね」
「ううん。大規模な商会でやるの~、マイヤー伯爵家が事業としてやるの~、投資するの~」
え、私の家・・
「でも、メアリー様、父、いえ、伯爵は婿養子で夫人が今まで事業を行っていました。夫人が亡くなってから事業を廃業している状態でして・・不適切な投資だと思います」
「いいの~、能力は地位が補うの~、言われた通りにするの~」
そうね。私はお母様の言われた通りに生きてきた・・・
あんなに威張っていた父が下町に来た。家族でだ。
「イリヤ、でかした。成長したな」
成長していない。
「ええ、イリヤ、私達に任せなさい」
任せられない。
「うん。この事業は僕が学園を卒業したらメロディと一緒にやるよ」
「お義姉様、どんどん投資をしてね」
嫌だ・・・・
でも、私は言われたことしか出来ない女・・・・メアリー様の真意は分からない。
「分かりました・・・金貨1000枚ありますわ。この指示書通りに事業を展開して下さいね」
小切手を渡した・・・・
「グスン、グスン」
父達が帰ったら涙が出た。
「よく渡したの~」
「メアリー様・・・」
「あれは意識高い系だから失敗するの~」
「では何故・・・」
事実、失敗したようだ。
パイやフッシュ&ポテト、スープを売り出したが・・・
父はあれこれ付け足したそうだ。
「フン、イリヤの指示書では単品、安く、速く提供とあるが、もう少し付け足そう。コース料理は平民には無理だが単価の高いビーフシチューを出そう」
「そうですわね」
「伯爵、立地は必ず実地の調査をしろと書いてありますが・・・僕が地図で調べます」
ロイゼは多量出店をしたが・・・
「おい、定食屋の隣にマイヤー食堂が出来たぞ・・・」
「いや、値段が同じだったら立ち食いはしないな」
「おい、遅いぞ、これから仕事だよ」
次々に閉店に追い込まれた。
そして、父の取った行動は・・・
☆☆☆
「おい、おい、何だ。店の前に張り紙があるぞ・・」
「何だと・・・『平民よ。もっと食べに来い。でないと倒産をする・・』何だ。コジキか?」
評判を落としたそうだ。
結局、マイヤー家のタウンハウスは差し押さえ。
その店舗は・・・
「これから貸し出すの~、王都で料理をしたいお友達を募集するの~」
「はい、公告を出しますわ」
地方から職にあぶれている人が応募し始めた。
「いいですか?このマニュアル通りにして下さい。アレンジは禁止です」
「「「はい」」」
「従業員は家族が基本です。余裕が出来たら他人を雇って下さい。もちろん家族にもお給金を払って下さい」
「「「はい」」」
私は指導する立場だ。
何でもフランチャイズ方式だそうだ。
マイヤー家の屋敷はお友達商会の本社になった。
「不動産に所有権をこだわっても意味ないの~」
「はい」
オーナーはお友達商会になっている。
私は無料で住まわせてもらった。母の温もりを感じるわ・・・
家族達は・・・何故か就職が決まった。
父は、王宮の侍従見習い。
あの歳で10代が着るような下働きの制服を着ている。
ロイゼとメロディは王宮の下働きだわ。
それが分かったのは王宮のパーティーにメアリー様と一緒に参加したときだ。
「イリヤ嬢、是非、我が息子と顔合わせをお願いしたい」
「是非、その手腕をご教授願いたい」
私の周りに大勢集まる。
父は口をあけてあんぐりしている。
ロイゼとメロディは、残飯の整理・・・給仕も任さられないと判断をされたらしい。
余計な事ばかりを付け足すとの評判を後に聞いた。
「イリヤしゃん。次の事業は~」
「はい、メアリー様、私は・・・」
私の考えを述べた。これからは金融だわ。
高利貸しで元本が払えない人が大勢いる。
「高利貸しの債権を買い受けて利息を安くします。返せる金額にしますわ」
「それで~、ビジネスなの~」
「はい、安く始められる事業に出資します」
「回収は~」
「数人のグループで保証人になってもらいます・・」
「いいの~、銀行を作るの~」
「ギンコウとは・・・」
「それは・・・」
「ちょっと、メアリー!義姉は私でしょう!」
話途中に令嬢が現れたわ。あれは・・・公爵令嬢、
「エリザベートお義姉様、メアリーはイリヤとお話したいの~!」
「こっちに来なさい!」
襟首を掴まれてそのまま引きずられて去った。
「欲し~の。欲し~の。イリヤとお話の機会が欲し~の」
「メアリー、私と話しなさい。ヌイグルミをかってあげるわ」
「ハニャー、もうお友達20体いるの~、債権を買って欲し~の」
「幼女らしくしなさい」
やっぱり公爵家の養子だったね・・・
私はギンコウをなる物を立ち上げることを決意したわ。今度は一人で出来るかしら。
最後までお読み頂き有難うございました。




