ヒロインですがバッドエンドを目指します
お久しぶりの小説です、リハビリ程度の短編です。なんでも許せる方はお読みください。
「無事に卒業出来て良かった〜」
うーんと背伸びして私は緊張感から解放されて良い気分だ。
平民だった私は通っていた学園から特待生として貴族学院へ留学していた。
特待生に決まった時に私は前世を思い出した。
(これ、あのゲームの世界だっ!)
私は日本人でブラック企業で働き過労で体調を崩し亡くなった。
そんな私がストレス解消の為にやっていたのがとある乙女ゲームだ。
平民のヒロインが貴族学院の特待生になり恋やら友情やらを謳歌する王道的な物語だ。
転生してる事に気付いた時は一瞬だけど嬉しかった、ただすぐに冷静になって頭を抱えた。
だって、攻略対象となっている人達は揃いも揃って性格に難ありなのだ。
王子様は俺様キャラだし、取り巻き連中もプライドだけ高かったり、脳筋だったり、ネガティブすぎたり……。
あくまでゲームだから良いけど、実際にいたら面倒だし正直な話、余り付き合いたくない。
まぁ、ヒロインは深い愛を持って接して相手との距離を縮めていくんだけど私はそんな器量は持ち合わせていない。
(こりゃ、無難に過ごすしかないな……、誰とも付き合わなくても死なないよね)
なので1年間は目立たず騒がずをモットーに私は過ごす事にした。
まぁ、絡まれはしたけど適当に相手をしただけで向こうから積極的に来る事は無かった。
そもそも婚約者がいる訳だし見た感じ仲は悪くないみたいだからわざわざ波風を立てたりはしない。
成績もやる気を出していれば上位に喰い込む事は出来るけど、そうすると絡まなきゃいけなくなるから平均点で抑えた。
色々気を遣いながら私は学院生活を過ごし無事に卒業を迎える事が出来た。
因みに卒業後の進路も役所に内定している、週休二日、有給あり残業なしのホワイト案件である、さらば社畜人生。
卒業式の後は記念パーティーがあるんだけど平民だからお呼びではない。
まぁ何事も無いだろう、と思い寮で寛いでいた。
と、バタバタと足音がして突然ドアが開いた。
「大変よ! 王太子様が婚約破棄を宣言したわっ!」
「えっ、婚約破棄? なんで?」
「それがね……」
ルームメイトである男爵令嬢曰く、そもそも王太子様には幼い頃から好きだった子がいたらしい。
その初恋を心に秘めながら好きでもない公爵令嬢と婚約が決まったらそりゃ反抗もしたくなるそうで。
卒業式前日に王太子様は国王様に告白したそうだ。
普通は一喝するようなもんだけど国王様はそれを認めてしまったらしい。
いや、王としてどうなのか。
「え、それじゃ公爵令嬢の面目丸潰れじゃない」
「そうなのよ、公爵様も怒り心頭だしこの国、どうなるか分からないわ……」
急に先行きが不安になってきた……。
不安は的中し王族と公爵家は敵対するようになった。
貴族も王家派と公爵派に分裂しいつでも内戦待った無し状態に。
流石にそんな状態で働く事は出来ず私は内定を辞退して田舎に帰った。
まさか自分のバッドエンドを目指したら国がバッドエンドを迎えるとは思わなかった。




