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4.突然のはちの旅立ち、猫との出会い

――二〇〇六年八月


主人の通院日だったため朝の遊びをさせられずに帰宅し

早速ケージを開けると、元気よく出てきたのは


『くったん』と『まるお』だけ…?



『はち? はちべえは?』



緑色した三匹の寝床に手を伸ばすと


――触れた瞬間、息が詰まり、


すべてが止まったように感じました。



可哀想な『はち』は、

寝床に敷いたタオルを噛んだ姿で息絶えていました。



『まるお』と『はち』は 二匹ともひどい噛み癖のあるフェレットでして

なぜか二匹とも犬歯の先が削れていました。あまりの噛み癖のため

たぶん何らかの手段で処理したのでは…と察していましたが


元の飼い主とは連絡できず、真相は藪の中です。


※主人の当時のメル友さんが張り紙を見て連絡したことにより

二〇〇四年の夏『まるお』と『はち』が我が家へ来たのです。



世界は音もなく遠ざかり、現実の重さが静かに背中に乗ってきました。



小さく真っ白な『はち』の亡骸を きれいな箱に収めて

ひたすら深く頭を下げることしか出来ませんでした。



――『はち』の あっけない旅立ちと同時期のこと――



本州最北端むつ市でも 夏は当然暑いものです。


日除けの長いカーテンを下ろした玄関引き戸を開けると

吹き込んでくる風が心地好く室内を涼しく冷やしてくれました。



「また"焦げ茶"が来た!」



玄関から居間に続く硝子引き戸に姿を映す侵入者の正体は


"猫"であるのは、磨り硝子越しの その影を見れば誰でも分かるはず。


慌てて引き戸を開くと、風通しを良くする目的で開け放した玄関から

あっという間に逃げ出してしまうのでした。猫が出て行ったあとは


宵空に星がきらめく模様のカーテンが吹く風に揺れるだけ――



猫が何を求めて侵入しているのかは読み取れます。




といっても肝心の――

「そうだ、フェレットのエサなら猫にも合うかもしれない!」




フェレットの飼育書に記されたフェレットにおすすめなエサは

高たんぱく質のキャットフードもありました。ということは


高たんぱく質なフェレットのエサを与えてもいいのでは…?



当時の私は お腹を空かせた野良猫を助けるために 善意のつもりで

フェレットが食べ残したエサを、物置の隅にそっと置くようになりました。



――夕方、外に出て やぶ蚊の出る物置へ近づくと


物置のエサが減ってるのを見て、宿無し猫の飢えたお腹を

満たしてやれた充足感で気持ちは満たされていたのです…。

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