面倒臭いものは面倒臭い ~絵本も図鑑も大好き~
ボクはやろうと思えば、何でもできるんだ。
勉強や運動も、何だってできるけれどしたくないだけ。
お兄ちゃんはスポーツが大好きで、今日も友達に誘われて出て行った。
ボクも誘われたけれど、お兄ちゃんと一緒は絶対に嫌だ。
『どうして?』って、分からないかな。
お兄ちゃんは大人みたいな体だから、ボクでは勝てないもん。
きっとお兄ちゃんだって、ボクが負けるのを分かっていて誘うんだ。
ただ疲れて負けるだけなら、何が面白いのか分からないね。
世の中には[できる人]と[できない人]がいる。
できる人がやれば良いと思うから、ボクはボクの好きな事をしたいのさ。
運動は運動の好きな人が、勉強は勉強の好きな人がやれば良いと思うもん。
自分の好きなものは好きで、自分の嫌いなものは嫌いなのは、皆同じ。
それでも、ボクが好きなものは皆が好きでもないし、ボクが嫌いなものは皆が嫌いでもない。
所謂、『個性ってヤツが上手く働いて世の中は回っているのだ』と、ボクは思うね。
それでも一応、学校に行って勉強も運動もしている。
『しなきゃいけない』って言われるから、仕方なくやっているだけ。
たまに褒められるし、運動だけのお兄ちゃんと同じと思われたくもないしね。
本当のボクは部屋で寝転がりながら、絵本や図鑑に囲まれているのが一番好き。
勉強をして学んだ事なんて『勉強が面白くない』という事ぐらいかなぁ。
たまに『無駄な事なんてない』って聞くけれど、無駄な事は無駄でしょ。
ボクは見た事も無い魔法とかの絵本や、見た事も無い生き物の図鑑が好き。
あと物語には見た事も無い[神様]も出てくるけれど……それは好きじゃない。
日本には数え切れない[八百万の神様]が何処にでも居て見守っているって話だけど。
ボクは夢の中で[神様]を見た事があるからね。
読みたいとも思わない分厚い本や、幾つも並んでいる難しそうな本。
そんな文字ばかりの本達が、ボクよりも大きくなって囲んで睨んで圧し掛かる。
驚いて飛び起きたら怖くなって『本の神様がいじめてきた』って泣いたらさ。
お母さんは『本の[神様]も『片付けなさい』言っているのよ』って大爆笑。
……だって、また、きっと、多分読む本だから、別に片付けなくても良いじゃんね。
あの夢を見てから難しそうな本には、全然何一つ興味が湧かないんだ。
ボクは本が好きだけど[本の神様]という堅苦しいのは好きじゃない。
せめて可愛らしく[おほんたま]という名前が似合うぐらいの存在が良いもん。
今でも分厚い本や揃っている本をみると、睨まれているような気がするから怖いんだ。
あんな文字ばっかりの本なんて『何が面白いのか』さっぱり分からない。
どんな難しい本でも読めるようにしてくれたら、少しは興味を持っても良いけどね。
「ケンジ、買い物に行くから、さっさと片付けて用意なさい」
「……はーい」
今日は学校がお休みだからって、ボクを買い物に連れて行かなくても良いと思う。
ただ、お母さんはボク一人での[お留守番]も何となく心配みたい。
ボクだって子供だけど子供じゃないから[お留守番]ぐらいできるのに。
やる事だって沢山あるんだよ……例えば、日に当たりながら図鑑を見て寛ぐ時間とかね。
好きな本に囲まれて、ページを開きながら[寝落ち]するのは正に至福の時。
まあ、お菓子を買ってくれるかもしれないから『行くか行かないか』なら行くけれど。
読んでいた本の片付けなんて、お母さんが片付けたりするから必要性は感じない。
一応『何もしていない』って言われないように、本は隅っこに退けておいた。
ほらね、ボクだってやろうと思えばできるもん。
笑顔でお母さんと一緒に、いつものスーパーへ車でお出かけ。
色々な人が買い物に来ているけれど、最近は何だか子供みたいな人が多過ぎて困る。
自分の家のように動き回ったり、騒いだり怒鳴り声を上げたり、物を大切に扱わない人も。
皆のいる[公共の場]は『大人としての意識や行動を勉強できる場所』って聞いたけれどさ。
このボクからは『感情が抑えられない子供ばかり』に見えるんだ。
ボクは『見た目は子供』だけど、分別を弁えた大人だもん。
お母さんからも『できていない子の見本になりなさい』って言われている。
周りから見られても恥ずかしくなくて迷惑をかけない[できている人]……それがボク。
お父さんも、お母さんも、お兄ちゃんもできる事だけど[できない人]もいるみたい。
できない皆は、できているボクを見て[公共意識]ってものを学ぶべきと思うんだよね。
「じゃあ、お菓子を選んでいてね」
買い物も中盤に入って、ボクは[お菓子売り場]という聖域に踏み込む。
此処にいたらボクも迷わないし、お母さんも買い物の最後に来てくれるんだ。
ボクは他の人の事も考えて、走らず騒がず穏やかに買い物ができるから問題無い。
ただ、お買い物は奥が深くて『目的の物を買うだけではない』事をご存じだろうか。
その場の誘惑だけで、好きな物を好きなだけ欲しがるのは[買い物初心者]のする事だ。
何も考えず、お菓子を山のように買おうとしたなら、容赦なく商品は戻されるだろう。
それを狂犬のように泣き喚くとか、不貞腐れる幼稚さをみせるのは子供の常套手段……だが。
[ブチ切れ絶対権力]が発動して、何も買って貰えないという可能性は回避したいものではある。
ボクの今迄の経験から[合計百円]程度のお菓子なら、買ってくれる可能性は高い。
遠足の時などと同様に、一定金額の中でも購入のできる選択肢は数多く存在する。
チョコか、ポテチか、ガムか、クッキーか、キャンディーも悪くない……が。
知育系お菓子や、健康系お菓子なら、百円を超えても買って貰える可能性もある。
更には、厳選した好きな物だけを買うべきか、妥協して手頃なのを複数買うべきか。
現在の商品の状況確認と、合計金額の算出と、お母さんの気分を考慮に入れて模索する。
『 買い物の醍醐味は悩む事と見つけたり 』
これこそが買い物ができる大人なボクが導き出した結論だ。