ドロップ率1%の素材なんですが、こんなレアなのにどうして皆拾ってくれないんですかぁ!?
「無し...無し...次も...無し!」
ここは魔物の中。と言っても食べられているとか吸収されているとかというわけではない。自分は「牛骨の結晶」アイテムなのだ。しかも自分のいる魔物が倒された時に出てくるというよくあるドロップアイテムだ。だが自分はなかなか外に出ない。ドロップアイテムなのになぜ出ないのかって?それは出る確率が低いからだ。ゲームとかにもあるだろう?倒すと超低確率でドロップするアイテムを。そう、それだ。
「そりゃあまあ出現率1%だし、簡単に出るわけにはいかないよなあ」
そう1%というだけあって酷いと数百体倒しても出ない事だってある。もちろんその分手に入ればきっと何か有能な使い道があるはずだ。
基本魔物が倒されればアイテムが散らばる。今自分のいる牛の魔物ならツノや肉がそうだ。ツノは素材アイテムでこれで武器を強化したりできる。肉は空腹度を回復させたりする効果がある。
「おし、そろそろ出るか!!」
そういうと倒された魔物から勢いよく飛び出る。外はいい天気で晴れやかだ。ずっと暗い牛の魔物の中でくすぶっていたので気分がいい」
「こいつ色々落とすなあ」
「さあ...さあ!気づけ!」
「こんなもんでいいか」
「え?」
スルーされた。他の肉やら骨やらは回収するのだがこちらには全くと言っていいほど見向きしない。
1%のドロップアイテムだぞ?そんなレアものをスルーするなんてどうかしている。しばらく地面に置かれて牛の魔物が再び復活すると自動的にそのなかへと埋め込まれる。おかしい、なぜだ?自分というレアなアイテムがありながらなぜスルーする???全くわからないので少しは考えるが全くわからなかった。
「なぜだ!なぜなんだ!?!?」
考えているうちに次のやつが来た。今度ももう一度ドロップするか。稀にぐらいなら2連続ぐらいでてもいいだろう。魔物が倒れた拍子にコロンコロンと転がる。今度は目の前に転がることに成功した。今度こそ手に取ってくれる..!そう確信していたのだがやはり手に取ろうとしない。なぜ?なぜ「牛骨の結晶」を手に取ろうとしないんだ??
「また拾われなかったのか?」
「お前もか」
話かけてきたのは心臓。これも素材なのだがあまり回収されない。まあ心臓を素材にするというのもどうかしている。この心臓はどこにでも手に入る上にあまり強いものに使えないために置きっぱなしになるのでレアな自分とは違うはず。まあ自分自身もどんな素材になるのかはわかっていないがレアなのだからきっとすごいものなのだろう。
「きっと何かに使えるんだろうけど受け取ってくれないよなあ」
「え...まあ」
「お互い頑張ろうぜ」
そういうがおそらくこいつは一生懐に入らないのだろうがこっちはレアものだし拾う人がいるだろう。
「お、なんだこれ」
ある日、1人の男が自分を拾い上げる。そして袋に入れる。その瞬間嬉しさが込み上げてくる。初めて拾われた!!!初めて!!一体どこに行くのだろう。どんな素材になるのだろう。ワクワクが止まらなかった。やはり、1%のドロップアイテムなら普通は拾うはずだ。この人のように。という事は今まで今まで拾わなかったやつはおかしかったのだ。
「やあ、君は?」
中にいた大きなツノの素材が喋りかけてくる。あまりの嬉しさになんていいかあたふたする。頭の中で「えーっと、1%のドロップアイテムで...」となんとか説明すると他の素材や色々なアイテムに興味を持たれる
「私なんて回復アイテムなんですけどなかなか使ってくれないんですぅー」
「俺っちなんて斧なのに装備すらしないんだぜ??何のために買ったんだ」
「あははは」
「お、素材屋だ」
その言葉からおそらく素材屋についたのだろう。ここで色々な素材から武器を作ったりできる。もちろん自分もその武器のための素材になるはずだ。外から会話が聞こえてくる。
「牙は使える??」
「ああ」
「じゃあこれは?」
「使えるぞ」
ワクワクしながら自分の番を待った。一体どんな剣や盾になるのだろう。はたまた槍か斧かそれとも....そう考えるだけでワクワクが止まらない。「牛骨の結晶」という言葉が出た瞬間期待は高調になる。
「あーこれは使えないな」
「え?」
「え???」
自分も持ち主も唖然とした。ならばなんのためにあるのだろう??謎だ。
「これは...?」
「ああ...いわゆる飾りみたいなもんだね。時に意味はない」
「ええ...いらない」
その瞬間希望が絶望に変わった瞬間だった。外で売値が100だとかという話をしている。自分は外から取り出されお金と共に引き渡される。その時はもう、何も考えていなかった。