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免疫力を上げて毎日を健康に!  作者: 地球の星
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2. 免疫力とは

 新たな伝染病の発生以降、私達は免疫力|(immunity)という言葉をよく耳にするようになりました。

 これは、私達の体が外敵や異物から身を守るために身に付けている能力のことを言います。

 日常生活では気が付きにくいことですが、私達は自然界に存在する空気や水の中に存在する微生物や微粒子に常にさらされています。

 それらは人体に無害なものが多いのですが、一部で病気の原因になってしまうものもあります。

 今回新たに発生したウィルスも、病気の原因になってしまうものとして、世界中で大きな問題になっています。

 しかし、私達人間はそれらに対してやられっぱなしでいるわけではありません。

 体の表面を覆う皮膚は、病原体の侵入を阻止しています。

 目や鼻、傷口などから体内に侵入した場合でも、体内にいる免疫細胞が退治してくれています。

 口から体内に入り込んでしまった場合でも、強い酸性である胃酸でほとんどの病原体が死んでしまいます。

 もし生きて胃を通過した場合でも、小腸では多くの免疫細胞が待機していいます。

 しかも、免疫細胞には色々な種類があり、大きく分けて、生まれつき持っていて常に働き続けている自然免疫と、それを突破された時に活性化され、病気の自覚症状を感じている時に働く獲得免疫があります。

 この項では、それらについて詳しく説明していきたいと思います。


1. 自然免疫|(innate immunity)

 自然免疫は生まれつき備わっている免疫のことです。

 病原体に出会うと真っ先に戦いを挑み、感染を防ぐ、感染したとしても素早く退治してくれています。

 常に私達の体の中で戦っているわけですから、通常自覚症状はありません。



 1-1 好中球|(neutrophils)

 血液中に含まれる白血球|(white blood cells)の中で、最も多くの割合を占めています。

 資料にもよりますが、白血球の約半分をこれが占めると言ってもいいでしょう。

 体内に入り込んだ細菌、ウィルス、菌類に真っ先に戦いを挑む免疫細胞で、私達が普段健康に生活している間も、常に戦いを続けています。

 この好中球が減少すると、免疫力の低下を招き、感染症などの病気にかかりやすくなります。

(逆にあまりにも増加し過ぎると、白血病の原因になります。)

 


 1-2 マクロファージ|(macrophages)

 好中球と共に、病原体に対して真っ先に戦いを挑む免疫細胞です。

 病原体や異物に出会うと食べて消化、殺菌することで感染を未然に防いでくれています。

 また、その病原体に関する情報をヘルパーT細胞に送り、キラーT細胞やB細胞の活性化にもつなげて、免疫力をさらに高める役割を果たしてくれます。

(異常な増殖をすると、様々な病気の原因になります。)



 1-3 NK細胞|(natural killer cells, NK cells)

 上記の好中球とマクロファージが病原体を攻撃する一方、NK細胞は病原体に感染してしまった細胞や、ガン細胞を殺す(=kill)ことで、増殖を防ぎ、病気を未然に防いでくれます。

 病原体にやられてしまった細胞には申し訳ないですが、病気にならなくて済むためにはこの細胞の働きも欠かせません。

 強いストレスを受けると活性が下がり、前向きな気持ちになると上がります。

 また、食べ物や運動で活性を高めることも出来ます。



2. 獲得免疫|(acquired immunity)

 獲得免疫は、生まれつき備わってはおらず、一度病原体に感染した後で、少しずつ獲得していく免疫のことです。

 ですから身に付けるためには一度病気にかかる、または病原体を構成する物質を体内に入れる必要があります。

 病気の苦しみを体験しなければならず、しかも身に付くまでは少々時間がかかります。

 また、獲得免疫が活性化している間は、発熱したり、体が痛くなったりと自覚症状を伴うことが多いため、私達にとってはあまり心地よいものではありません。

 僕自身も、2回目のワクチン接種の後、熱を出してしまいました。

 ですから、体はできるだけ短時間の間に病原体と戦いを済ませ、勝利した後は素早くブレーキをかけるような機能が備わっています。



 2-1 T細胞|(T cells)

T細胞は骨髄|(bone marrow)でまずその原型が作られます。それが胸腺|(thymus)という、心臓に近い場所に位置する臓器に運ばれ、そこで成熟したものです。

この、Tは胸腺という言葉の頭文字に由来します。

T細胞には、大きく分けてヘルパーT細胞、キラーT細胞、制御性T細胞があります。


・ヘルパーT細胞|(helper T cells)

 獲得免疫を促進する働きをする細胞です。

 マクロファージから病原体に関する情報を受け取り、B細胞やキラーT細胞を活性化させます。


・キラーT細胞|(killer T cells)

 病原体に感染した細胞を殺す働きをする細胞です。

 働き自体はNK細胞と共通点がありますが、NK細胞は他からの指示なしで活動しているのに対し、こちらはヘルパーT細胞の指令を受けて活性化し、初めて効果を発揮します。

 

・制御性T細胞|(regulatory T cells)

 こちらは獲得免疫を抑制する働きをする細胞です。

 B細胞やキラーT細胞が病原体を攻撃するのはいいのですが、過剰に働いてしまうと健康な自分の細胞まで攻撃するなど、ネガティヴな働きもしてしまいます。

 ですから、病原体に打ち勝ったからには、出来るだけ素早くこれらの細胞にはおとなしくなってもらわなければなりません。

 そこで制御性T細胞が戦いの終了を宣言し、免疫の暴走を防いでいます。



 2-2 B細胞|(B cells)

 B細胞は骨髄で作られる免疫細胞で、ヘルパーT細胞の指令を受けて抗体|(antibody)を作り、特定の病原体を攻撃し、活動をストップさせます。

 1種類の抗体は1種類の病原体にしか効果を示さないため、新たな病気にかかる度に体内に存在する抗体の種類が増えていくことになります。

 また、一旦病原体が体内から姿を消しても、その情報は記憶細胞として長く記憶されることになるため、時間が経過してから再度同じ病原体が侵入してきた場合、素早く抗体を作り出すことが出来るようになります。

 これによって次回以降は発病する前の無症状の段階で撃退出来るようになるため、結果的に「1度かかると2度とかからない」という状態になります。



 免疫は私達が生きていく上で、決して欠かすことはできません。

 もしこれがなくなってしまえば、エイズにかかったような状態になり、無菌室でないと生きていくことができなくなってしまいます。

 そうでなくても、免疫力が落ちてしまえば、病気にかかりやすい体になってしまい、今回の伝染病に打ち勝てなくなる可能性が上がります。

(とはいえ、免疫が過剰になったり、本来の働きから逸脱してしまうと、リューマチや花粉症といったことにもなりますが。)

 この免疫力を適切に上げて、病原体に負けない体にする方法はいくつもあります。

 次回からはそれらの方法について述べていきたいと思います。


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