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ウィッチエアクラフト 〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜  作者: 朱坂卿
第一翔 凸凹飛行隊(バンピーエアフォース)始動
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#8 不本意ながらも共闘

「あー、はいはい! イチャコラタイムはいいから、さっさと動きを止めてくださいましマリアナ様!」


 青夢は見かねて、マリアナに言う。

 今も、幻獣機タラスクは飛び回っており。


 青夢が、一人で相手をしているのだ。


「がああ!」

「くっ……hccps://jehannedarc.wac/、サーチ アサルト オブ ウィッチエアクラフト・ジャンヌダルク! セレクト、ウインド ディフェンス。エグゼキュート!」


 空を駆ける幻獣機タラスクに、青夢は決定打を与えられていない。


 ジャンヌダルクの、"ビクトリー イン オルレアン"を使えば行けそうなものだが。


 それでも彼女が、その技を使わなかったのは何故か。

 さておき。


「まあいいわ! ……さあ、雷魔さん使魔原さん!」

「はい、マリアナ様!!」


 マリアナと法使夏、ミリアも動き出す。

 たちまち、三機はカーミラを筆頭に。


 統制の取れた動きで、幻獣機タラスクを取り囲もうとする。


「がああ!」

「! マリアナ様、火の玉が!」

「案じなくともよくってよ、わたくしに続きなさい! …… hccps://camilla.wac/、サーチ コントローリング ウィッチエアクラフト・カーミラ! セレクト、サッキング ブラッド エグゼキュート!」

「! は、はい!! ……セレクト、サッキング ブラッド エグゼキュート!!」


 矛先を変え、マリアナらを狙い始めて火球を放った幻獣機タラスクに対し。


 カーミラ以下法使夏機・ミリア機もさして避けるでもなく、直撃を受ける。


 が、無論。


「うっ……ん? ぶ、無事だわ!」


 法使夏・ミリアが安堵の声を上げる。

 いずれの機体も、無事である。


「さあまだまだよ! …… hccps://camilla.wac/、サーチ コントローリング ウィッチエアクラフト・カーミラ! セレクト、サッキング ブラッド エグゼキュート!」

「は、はい!! マリアナ様!! ……セレクト、サッキング ブラッド エグゼキュート!」


 そうして、幻獣機タラスクを取り囲んだ三機は。

 そのまま幻獣機タラスクより、エネルギーを吸い上げて行く。


「がああ、ああ……」


 たちまち幻獣機タラスクからは、目に見えてエネルギーが減って行く。


「よし! 次は……そ、その怪物の爪を剥がしてくださいましマリアナ様あ!」

「ええ……まあ聞いてやらないこともなくってよ!」


 またも自身に求めて来た青夢に対し、マリアナはますます尊大さに拍車がかかる。


「さあて……雷魔さん、使魔原さん! その怪物を、押さえつけたままにして差し上げて!」

「はっ、マリアナ様あ! ……セレクト、サッキング ブラッド エグゼキュート! ……セレクト、サッキング ブラッド エグゼキュート! セレクト」


 マリアナの命を受けた法使夏機とミリア機は、エネルギー奪取の術式を唱え続ける。


「では……行かせて遊ばせ! …… hccps://camilla.wac/、サーチ アサルト オブ ウィッチエアクラフト・カーミラ! セレクト、ウインドカッター エグゼキュート!」


 マリアナはその間に、カーミラを動かす。

 たちまち、風により生成された刃を纏ったカーミラは。


 法使夏機とミリア機により身動きが取れない幻獣機タラスクへ、殴り込みをかける。


 そして。


「えいっ! ……よし、怪物の爪は取りましてよ!」

「が……がああ!」

「!? くっ、何よこれ!」

「も、申し訳ございませんマリアナ様……きゃあっ!」

「! 雷魔さん、使魔原さん!」


 マリアナは、幻獣機タラスクから右前脚の爪を切り取るが。


 その痛みに悶えてか、突如。

 弱り動けないはずの幻獣機タラスクは激しく動き。


 炎を、撒き散らす。

 法使夏機・ミリア機ともに、すんでのところで何とか直撃は回避した。


「ふう……ひとまずありがとう、ございますう! マリアナ様と御一行様!」

「ふん、お礼には及ばないわ。」

「くう、こらトラッシュ!」

「あんた、その態度は何?」


 青夢のひとまずの、見ようによっては慇懃無礼な礼の言葉に。


 マリアナは気にした様子はないが、法使夏・ミリアは大いに不満そうである。


「ぐるる……!」

「……さて、次こそあいつを倒さないと!」

「ふふふ……この、カーミラさえあれば!」

「ええ、マリアナ様!」

「その通りです、トラッシュは引っこんでなさい!」


 唸りを上げる幻獣機タラスクに。

 マリアナと取り巻き二人は、青夢を差し置いてでもこれに止めを刺さんと前に出る。


 が。


「いや、そうは行かないわ! そいつは……不本意だけど私と魔法塔華院マリアナ、さらにあんたら腰巾着二人が一緒じゃないと倒せないの!」

「……何ですって?」

「キー! 誰が腰巾着よ!」

「マリアナ様、そいつの戯言です!」


 青夢の言葉に、マリアナたちは動揺する。


「……まあ待って二人とも。ここは、理由を聞こうじゃないの魔女木さん。」

「マリアナ様!」

「……はっ、承知しました!」


 しかし、マリアナの鶴の一声で法使夏・ミリアは黙る。


「……そいつは、私のジャンヌダルクの必殺技・ビクトリー イン オルレアンも通用しない硬い装甲を持っているの。」

「なっ! ……いやいや、ならトラッシュ! あんたの機体じゃなくてマリアナ様の機体なら」


 青夢の言葉に、ミリアは食ってかかる。

 しかし、その言葉を遮り。


「待って! ……なるほど。わたくしのカーミラも、あんな硬い怪物を貫く力はないですわ。ならば……やはりあなたのジャンヌダルクを強化するしかないわね?」

「なっ、マリアナ様!」

「このトラッシュを、助けるのですか!」


 他ならぬマリアナが言葉を放ち。

 法使夏、ミリアは難色を示す。


 しかし。


「ええ! どちらにせよわたくしには、このトラッシュに助けられたという借りがあるわ! ……屈辱的な、借りがね。それを返さずしてはこの魔法塔華院コンツェルンの名が廃ると言うものよ。」

「ま、マリアナ様……」


 マリアナは二人の反対を、押し切る。


「がああ!」

「……お二人とも! …… hccps://camilla.wac/、サーチ コントローリング ウィッチエアクラフト・カーミラ! セレクト、サッキング ブラッド エグゼキュート!」

「は、はい!! マリアナ様!! ……セレクト、サッキング ブラッド エグゼキュート!」


 やがて、有無を言わさぬとばかり。

 幻獣機タラスクから放たれた火炎が前に出ているカーミラ以下法使夏機・ミリア機を襲い。


 三人は、それを防ぐ。


「……四の五の言ってられないってわかったでしょ? さあ、早く協力してよ魔法塔華院マリアナと愉・快・な・仲・間・た・ち・様方!」

「くう……このトラッシュ〜!」

「……そうね、さあ! どうすればよろしくて?」


 青夢はこれ幸いとばかり、形ばかりの礼儀も止めて前の三人に迫る。


 三人も、これには止むを得ず青夢の要求を呑む。


「ふふふ……じゃ、行くわよ! ……hccps://jehannedarc.wac/、サーチ クリティカル アサルト オブ ジャンヌダルク! セレクト ビクトリー イン オルレアン!」

「承知いたしましてよ。……hccps://camilla.wac/、サーチ アサルト オブ ウィッチエアクラフト・カーミラ! セレクト、ザ ファング オブ バンパイア エグゼキュート!」

「(! なるほど、これがカーミラの能力……ビリビリっと来たあ!)」


 青夢は、尚も前の三機が攻撃を防ぐ間。

 必殺技の準備と照準に入る。


 他方、マリアナも。

 尚も防戦に徹しつつも、カーミラにより。


 ジャンヌダルクと自機のネットワークを繋げる。

 さらに。


「! お、おおマリアナ様!」

「また私たち、マリアナ様と……!」


 カーミラにより法使夏機とミリア機にも、ネットワークが共有され。


 彼女たちは、恍惚の表情を浮かべる。


「(……じゃあ、作戦はこれよ!)」

「ほほほ……心得て差し上げますわ!」


 そのままネットワークを介し、青夢はマリアナたちに意を伝えた。


 それによりマリアナたちも、動き出す。


「がああ!」

「(よし……炎が途切れた! 今よ!) ……エグゼキュート!」

「ええ…… セレクト ビクトリー イン オルレアン! エグゼキュート!」

「セレクト ビクトリー イン オルレアン、エグゼキュート!」

「セレクト ビクトリー イン オルレアン、エグゼキュート!」


 幻獣機タラスクの攻撃が止んだ、一瞬の隙を突き。

 四機より、同じ必殺技が放たれる。


 しかし、この技は幻獣機タラスクには通用しない筈だが。


 が、青夢には策があったのだ。


「! がああ!」

「よし、やっぱり爪が装甲を貫いた! さあ、うおりゃあ!」

「ふふふ……さあ、逝って遊ばせ!」

「ふんんっ!」

「はああ!」


 四機の熱戦が収束された先には、それによって押し出された幻獣機タラスク自身の爪がある。


 先ほど、マリアナがタラスクから切り取った物だ。

 それが幻獣機タラスクの装甲を貫き、これ幸いとばかりに青夢・マリアナ・法使夏・ミリアは熱戦を、より内部に叩き込んで行く。


 そして、ついに。


「があああ……ぐああ!」


 幻獣機タラスクの断末魔と共に、爆発が爪によって開けられた穴より噴火のように噴き出し。


 幻獣機タラスクは、地に墜ちる。


「や……やりました、マリアナ様!」

「私たちの、大勝利です!」

「ほほほ……これぞ、魔法塔華院コンツェルン跡取りの、貫禄よ!」


 マリアナは法使夏・ミリアの讃えに、胸を張る。


「(そう、だけど……全ては救えなかったよお父さん……)」


 が、青夢は。

 一人だけ、浮かない顔をしていた。


 オラクル オブ ザ バージン――乙女の託宣。

 それはジャンヌダルクに備わっている能力。


 ある程度の、未来を見通す能力である。

 青夢はそれにより、幻獣機タラスクの特性を見抜いていた。


 一つは、先述の通りビクトリー イン オルレアンも通さぬ凄まじい強度の装甲。


 そして、もう一つが――


 ◆◇


「騎士なき幻獣機か……あれが噂に聞く、ライカンスロープフェーズか。」


 学校の監禁用部屋にて。

 窓からこの戦いを見ていた囚われのソードは、察していた。


 幻獣機タラスクの、もう一つの特性を。

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