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ウィッチエアクラフト 〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜  作者: 朱坂卿
第五翔 円卓第十三席争奪聖杯 
78/193

#77 六方面攻防戦①

「おらおらあ、どうした魔女さん方よお! そんなんじゃあたしたちには勝てないよお!」


 メアリーは怒り混じりに叫び。

 座乗艦たるスキュラを前に前に向かわせて行く。


「ウィガール艦隊、引き続き誘導銀弾(シルバーブレット)による弾幕展開! ギリギリまで防衛線は後退はしても突破はされるな!」

「り、了解!」


 東京湾に展開中の自衛隊艦隊も、ここで抵抗を止める訳にはいかず。


 必死の抵抗が続く。


「姐様、すみませんこの体たらくで」

「いや、あんたはカリュブディスの立て直しに専念しな! その間、あたしがこいつらからあんたを守ってやるからさ!」

「はい! 姐様!」


 謝るミリアに。

 尚もスキュラによる攻撃を加えつつ、メアリーは彼女を慰める言葉を紡ぐ。


 生徒会総海選より数日後。

 事の起こりは無論、少し前に魔男の元騎士団長にして再び返り咲いたアルカナによる魔女社会への宣戦布告だった。


 ――聞くがいい、魔女社会の諸君! 我ら魔男の12騎士団は諸君らに対し、全面戦争を布告する!


 それに伴い市街地には、自衛隊の防空態勢が取られ。


 まさに魔女社会は厳戒態勢に入っていた。


 そんな中。

 なんと青夢と法使夏は自ら専用機を駆り。


 魔男側を誘い出していた。

 そうして現れた第十三の騎士団・女男の騎士団。


 その保有艦たる幻獣機母艦(クリプティッドマザー)スキュラ・幻獣機母艦(クリプティッドマザー)カリュブディスを率いて同騎士団所属のメアリーとミリアは、青夢と法使夏に挑んだ。


 そうして一時、彼女らはミリア率いる幻獣機母艦(クリプティッドマザー)カリュブディスに翻弄されながらも。


 加勢して来たマリアナや剣人の力もあり、何とか撃退に成功する。


 しかし、それから数日後のことだった。


 巨男の騎士団が擁する巨人型の幻獣機父艦クリプティッドファザーフードが大挙し、さながら巨人の群れを成していた。


 それを空飛ぶ法機(ウィッチエアクラフト)グライアイ三機とゴルゴン旗艦により龍魔力四姉妹が、迎え撃っていた。


 その激戦の末、最終的には四姉妹の四女・愛三とアロシグの一騎討ちとなり愛三の勝利に終わった後。


 アルカナの提案によりこうして魔男側の攻勢競い合い――争奪聖杯に参加している六騎士団が一斉攻撃を仕掛けることになったのだった。


「何だい何だい? まったく、余裕ぶっこいていてもこの体たらくたあねえ……さあスキュラ! ちょいと歯応えはないけどさっさと」

「hccps://rusalka.wac/ 、セレクト 儚き泡バブリングパニッシュメント エグゼキュート!」

「おうっと! ……何だい、またまたミリアの()お友達かい?」


 メアリーは肩を鳴らしながらボヤくが。

 そこへ海中より、法使夏のルサールカによる泡攻撃が炸裂する。


「今だ、全艦前進! 誘導銀弾(シルバーブレット)を敵艦に命中させろ、勢いで押し切れ!」

「了解!」


 これを好機と見た自衛隊ウィガール艦隊は前進しつつ。


 さらに誘導銀弾(シルバーブレット)群を女男の騎士団に向けてありったけ放っていく。


「ぐうっ! こりゃあ……やってくれるじゃないかい!」


 メアリーはその座乗艦たるスキュラに攻撃を受けつつ。


 未だ余裕を湛え、ウィガール艦隊を睨みつける。


「……雷魔、着艦します!」


 その隙に法使夏は自衛隊が密かに海中に待機させていた潜水法母(シャドーマザー)の法機用ハッチに、ルサールカを着艦させる。


 彼女の機体は、青夢のジャンヌダルクやマリアナのカーミラとは違い幻獣機ではなく通常の法機を使っている。


 よってエネルギーたる電使力の補給もさることながら、その高すぎるスペックに機体が今一つついて行けていない所があり。


「hccps://rusalka.wac/ 、サーチ コントローリング 空飛ぶ法機(ウィッチエアクラフト)ルサールカ。セレクト、ルサールカ リブート エグゼキュート!」


 こうして機体の交換を行わなければ、長期戦は難しいのである。


「……雷魔、再び行きます! hccps://rusalka.wac/、セレクト ゴーイング イン ハイドロウェイ エグゼキュート!」


 法使夏は機体を交換すると、休む暇もなく。

 またも潜水法母(シャドーマザー)の法機用ハッチが開くと共に、水の道を生成した自機を発艦させる。


「……姐様、お待たせしました!」

「おうっ、ミリア! さあ……カリュブディスで暴れな!」

「はい、姐様! …… hccps://baptism.tarantism/、セレクト 海嵐掘削(オーシャントルネード) エグゼキュート!」


 ちょうどその頃、ミリアも座乗するカリュブディスの立て直しを終え。


 そのままカリュブディスを、空中に上げて行く。


「! か、カリュブディスが!」


 海中から空を見上げる法使夏は、その光景に驚く。


 空中に上がったカリュブディスは、自衛隊側の陣営から見て奥に艦体を45度傾け。


 そのままウィガール艦隊に向け、艦体を高速回転させながら突撃して行く。


「て、敵艦全速接近中!」

「くう……全艦隊誘導銀弾(シルバーブレット)群、発射用意のまま待機! ギリギリまで引きつけて発射だ……刺し違えてでも、この防衛線を死守する」

「待ってください! すぐに発射してください、私の儚き泡バブリングパニッシュメントと合わせればきっと!」

「!? ら、雷魔さんか……しかし」


 敵艦が迫る中女性提督は、相討ちも恐れぬ命令を降すが。

 法使夏が通信に割り込み、少し躊躇う。


 が。


「hccps://rusalka.wac/ 、セレクト 儚き泡バブリングパニッシュメント エグゼキュート!」

「ら、雷魔さん! ……止むを得ない、全艦隊誘導銀弾(シルバーブレット)群一斉発射! 目標、接近中の敵艦!」


 法使夏はもはや問答無用とばかり、海中より泡攻撃を発射し。


 それにより提督も止むを得ず、誘導銀弾(シルバーブレット)群の発射を指示する。


「! 法使夏……そんなんで、このミリア・リベラとカリュブディスを止められると思ってんの!」


 ミリアはこの有様に舌打ちしながらも。

 負けじと、敢えて正面からぶつかって行く。


 たちまち泡の絡まった誘導銀弾(シルバーブレット)群が、カリュブディスにぶつかり――


「ぐうう! ミリアあ!」

「法使夏ああ! あんただけは私がこの手で……ぐっ!?」


 法使夏とミリアは、意地もぶつけ合うが。

 その次の瞬間だった。


 何と、まず泡の爆発によりカリュブディス艦体に傷が付き。


 そこに誘導銀弾(シルバーブレット)が突き刺さるように入り込んで爆発し。


 更に泡が入り込んで行き。

 カリュブディスは次々と起こる爆発に、大きく揺るがされる。


「ぐああ!」

「ミリア! くう……やってくれたね!」


 それを見たメアリーは、座乗するスキュラを動かし。

 ならば仇討ちとばかり、カリュブディスの前に立ちはだかり七方へ光線を放つ。


「く!」

「! またあの攻撃が!」


 またも海上のみならず海中にすら届く技を。

 法使夏は苦々しくも回避する。


「……ミリア!」


 メアリーの攻撃を受けつつも。

 法使夏はそのまま、カリュブディス下の海域へと移動を試みる。


 今度こそ、直接対峙しなければ――


 ◆◇


 その頃。


「ひ、ひいいあれは!?」

「お姉さん、しっかり! うわあ、虎さんたちの行進だあ!」


 神奈川方面を預かる愛三・二手乃は。

 目の前の海域上空に迫る虎男の騎士団擁する艦隊に、それぞれ違う反応を示す。


「レーヴェブルク騎士団長!」

「……全艦隊、攻撃開始。」


 部下からの言葉に虎男の騎士団長レーヴェブルクはまたも全艦隊に短く命令する。


 たちまち揃って行進していた複数の虎型幻獣機父艦クリプティッドファザーフードは、文字通り牙を剥き。


 一斉に走り、迫って来る。


「ウィガール艦、誘導銀弾(シルバーブレット)発射用意!」

「め、愛三!」

「ようし、行くよお姉さん! ……01CDG/、セレクト、ブーティング "(ゴルゴニックアイズ)"! ロッキング オン アワ エネミー エグゼキュート!」


 これには自衛隊も二手乃・愛三も即応し。

 そのまま、臨戦体勢に入る。


 たちまち愛三のゴルゴン旗艦による"(ゴルゴニックアイズ)"で虎男の騎士団艦隊は停止させられる。


「レーヴェブルク騎士団長!」

「心配無用。……群集形態フォーメーションプライド。」


 しかしそれで動揺するレーヴェブルクでもなく。

 いつも通りというべきか、各幻獣機父艦クリプティッドファザーフードをパーツ毎に分割し襲い掛からせる。


「よおし、二手乃お姉さん!」

「わ、分かったわ! …… hccps://graiae.wac/deino、セレクト グライアイズアイ、セレクト グライアイズファング エグゼキュート!」


 が、二手乃もまた反応し。

 それにより新たな誘導性を付与した誘導銀弾(シルバーブレット)群を発射する。


「無成長なり。……可視、可視、可視……」

「おお……さすがはレーヴェブルク騎士団長!」


 しかしレーヴェブルクは即応し。

 何と全ての誘導銀弾(シルバーブレット)の動きを目で捉え、パーツ群を操作し回避させて行く。


「な、誘導銀弾(シルバーブレット)が!」

「あっちゃー……でも、楽しそー!」

「め、愛三! 遊びじゃ」


 これには、二手乃と愛三も戸惑うばかりである。


 ◆◇


 その頃、剣人担当の茨城方面では。


「我々には……裏切りの騎士っしょか! 後片付けみたいで不満だけど……やるしかないっしょ!」

「はい、ホスピアー殿……私との戦いでは役不足でしょうがよろしくお願いします!」


 茨城上空より。

 幻獣機父艦クリプティッドファザーフードケートスを旗艦とする、ホスピアー率いる魚男の騎士団艦隊も迫る。


「ふふふ……まあ、このホスピアーの力見せてやるっしょ! 誰が陸に上がった魚っしょ? 見るがいいっしょ! hccps://baptism.tarantism/、セレクト 深淵潜伏(ダイブトゥーディープ) エグゼキュート!」


 ホスピアーは言うが早いか。

 座乗するケートスを魚のように跳ねさせ。


 そのまま水のごとく、大地に潜って行く。


「なっ……くっ、これではどこにいるのか」


 剣人はその様に、戸惑う。


 ◆◇


「騎士団長閣下。女男の騎士団ご苦戦の模様。その他虎男の騎士団、魚男の騎士団共にご奮闘の模様。」

「よし……織込み済とはいえ、少々具合が悪いな。」


 一方。

 これらの戦場を高みの見物するアルカナはウィヨルからの報告に、顔を歪めていた。

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