表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウィッチエアクラフト 〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜  作者: 朱坂卿
第五翔 円卓第十三席争奪聖杯 
72/193

#71 女男の騎士団vs凸凹飛行隊

「そう……なら、もう睦み合うことはなくってよね!」


 マリアナはカーミラを駆りつつ、目の前の巨大な二機の幻獣機を睨む。


「ええ、まあ話し合いましょう……拳でね!」


 ミリアも自身の座乗艦たる、幻獣機母艦(クリプティッドマザー)カリュブディスよりマリアナに向かい叫ぶ。


 生徒会総海選より数日後。

 事の起こりは無論、少し前に魔男の元騎士団長にして再び返り咲いたアルカナによる魔女社会への宣戦布告だった。


 ――聞くがいい、魔女社会の諸君! 我ら魔男の12騎士団は諸君らに対し、全面戦争を布告する!


 それに伴い市街地には、自衛隊の防空態勢が取られ。

 まさに魔女社会は厳戒態勢に入っていた。


 そんな中。

 なんと青夢と法使夏は自ら専用機を駆り。


 魔男側を誘い出していた。

 そうして現れた第十三の騎士団・女男の騎士団。


 その保有艦たる幻獣機母艦(クリプティッドマザー)スキュラ・幻獣機母艦(クリプティッドマザー)カリュブディスを率いて同騎士団所属のメアリーとミリアは、青夢と法使夏に挑んだ。


 そうしてミリアは、青夢と法使夏を。

 着水したカリュブディスによる渦潮の中に閉じ込め、止めを刺そうとした所へ。


「さあ、ミスター方幻術。あなた、あのお二人を救い出せるかしら? また、できないかもしれないけれど。」

「ふん、舐めるな! …… hccps://crowley.wac/、セレクト アトランダムデッキ! 悪魔(ザ デビル)――地獄帰り(リターンフロムヘル) エグゼキュート!」


 マリアナと剣人がそれぞれ自機たるカーミラ、クロウリーを駆って現れ。


 マリアナの挑発に乗る形で剣人は、技を発動する。

 するとたちまち、彼の乗機たるクロウリーよりエネルギーの線が伸び。


 それはたちまちカリュブディスにより起こされている渦潮へと入り込む。


「! ほ、方幻術!」

「くっ! よし雷魔、そのまま渦から出るんだ!」

「なっ……め、命令しないでよ元テロリストが!」


 渦潮の中から法使夏が、剣人の言葉に抗議する。


「な、誰が」

「舐めんな、魔男頸になったやろう風情が!」

「ぬっ! くっ、この勢い、こちらが持っていかれかねない……!」


 が、ミリアも負けじとカリュブディスに命じて渦潮の勢いを増し。


 逆に、剣人の法を引きずり込もうとする。


「ふん、やはりこうなってよね……hccps://camilla.wac/、セレクト サッキング ブラッド」

「おっとお嬢様に元魔男のボクちゃん! あたしを忘れてもらっちゃ困るんだけどねえ!」


 が、剣人らを援護しようとするマリアナが駆るカーミラの前に。


 幻獣機母艦(クリプティッドマザー)スキュラを率いて、メアリーが現れる。


「! そうであってよね……ならあなたにはこれでよろしくて? hccps://camilla.wac/、セレクト ファング オブ バンパイヤ エグゼキュート!」

「! おや、ここにハッキングかい!」


 しかしマリアナも負けじと。

 メアリーのスキュラに、ハッキングを仕掛ける。


「ならあたしはこいつだよ……さあお行き、グレンデルマザー!」

「! こ、この違和感は!」


 が、メアリーもここでは引かず。

 むしろ返り討ちとばかり、反撃する。


 そこでマリアナは、どこかで感じた覚えのある違和感を覚える。


 これは。

 そうだ、ミリアが魔男に寝返った時。


 空賊と対峙した時に感じた、あの違和感である。


「あなたまさか……あの時の空賊さんであって!?」

「おや? 今さら気づいたのかい……そんな鈍くて、よくミリアに減らず口がきけたものだねえ!」


 マリアナの言葉に、メアリーはここぞとばかりに鼻を鳴らして言う。


「……ふん、偽空賊ごときこそ。わたくしによくもまあそんな口がきけたものであってよね! ……セレクト、ファング オブ バンパイヤ エグゼキュート!」

「おっと!? ほう、こりゃあ……グレンデルマザーにも対抗できるってかい?」


 しかしマリアナも負けじとばかり。

 カーミラの能力により、グレンデルマザーのノイズに打ち勝とうとする。


「こりゃああんたには……物理的に攻撃すんのがいいかねえ、お嬢様あ!」


 メアリーもならばと。

 幻獣機母艦(クリプティッドマザー)スキュラを、直接ぶつけるべく動かす。


 たちまちスキュラの腹部にある六つの犬の頭部が、牙を剥き吠え。


 カーミラを噛み砕かんとして、避けられて空を切る。


「ふん! わたくしを噛み砕こうなど、いい度胸であってよね!」

「ああ、そうだねえ……このスキュラは伝説じゃあ船を相手にするもんだから、そんなちっぽけな空飛ぶ法機(ウィッチエアクラフト)一機じゃ役不足だねえ!」

「へえ……相変わらず口の聞き方はなってなくってよ元蛮族さん!」


 しかし、メアリーの煽りに。

 マリアナは売られた喧嘩は買わなければと言わんばかりに、カーミラを駆り再びスキュラに突撃を仕掛ける。


「ふふん、かかったねえ! ……hccps://baptism.tarantism/、セレクト ヘキサグラットニー、ワイルドグラットニー エグゼキュート!」

「!? な……きゃああ!」

「ま、マリアナ様!」

「! もう……このままじゃ!」


 メアリーは待っていましたとばかり。

 座乗艦たるスキュラ、更には自機たるグレンデルの技を同時に検索し発動する。


 たちまち艦と機両方より同時に発せられた攻撃により、マリアナの乗るカーミラは八方塞がりとなる。


「ふっ、ザマあないわねマリアナ! ……さああんたたちもよトラッシュに忌まわしいクランプトン……そして法使夏!」

「み、ミリア……」

「くっ、魔女木、すまない……」


 ミリアはそれを見て鼻で笑い。


 次はこちらの番とばかり、今座乗艦たるカリュブディスの渦潮に囚われている青夢に法使夏、更には彼女たちを引っ張り上げようとして逆に自身も引き摺り込まれそうになっている剣人に最後通告を出す。


「さあ行くわよ……hccps://baptism.tarantism/、セレクト」

「……hccps://jehannedarc.wac/、セレクト ビクトリー イン オルレアン! エグゼキュート!」

「!? な、トラッシュ……ふん、無駄な足掻きを……え!?」


 が、その時だった。

 ミリアが止めの術句を唱えようとしたその時、青夢はジャンヌダルクより光線を放ち、その反動で自機を後ろ向きに飛ばす。


「! ま、魔女木……きゃあっ!」

「ま、魔女木……? ぐああ!」

「おらおらあ、雷魔法使夏に方幻術剣人! ボーっとしてるとぶっ飛ばすわよ!」


 青夢の檄が飛び、同時にその乗機たる空飛ぶ法機(ウィッチエアクラフト)ジャンヌダルクも自分へと飛んでくるのを見た法使夏は。


 更には自機たるクロウリーごと、そのジャンヌダルクの暴走により引っ張られた剣人は、大きく驚いている。


 が、驚いている場合ではないようだ。


「ほら早く避けなさいよ!」

「い、言われなくてもやるわよ! hccps://rusalka.wac/ 、ゴーイング ハイドロウェイ エグゼキュート!」

「お、俺だって! hccps://crowley.wac/、セレクト アトランダムデッキ。 恋人(ザ ラバーズ)――な!? くっ……さ、恋慕の情熱(サーマルパッション) エグゼキュート!」

「うん方幻術……キモい!」

「ほ、放っておけ! これはランダムなんだよ!」


 法使夏は慌てて自機を加速させ、剣人も自機たるクロウリーより熱線を、ルサールカとジャンヌダルクの軌跡を辿る形で放ち続ける。


 たちまちカリュブディスの艦体を取り巻く渦潮は、熱され続けて湯だって行く。


「艦体、温度上昇! このままではオーバーヒートします!」

「ふん、やらかしてくれるわねトラッシュ、クランプトン、法使夏! だけど問題はないわ…… hccps://baptism.tarantism/、セレクト アンアセンブライズ 幻獣機母艦(クリプティッドマザー) エグゼキュート!」


 艦内より操艦係の魔男の騎士の報告が上がるが、ミリアはならばと。


 外殻部を構成する幻獣機スパルトイ群を切り離して行く。


「なっ、これって!」

「やっぱりそう来たわね……hccps://jehannedarc.wac/、セレクト ビクトリー イン オルレアン! エグゼキュート!」

「! ぐっ、カリュブディス!」


 が、青夢はこれを待っていたとばかり。

 外殻部を切り離してカリュブディスが無防備になった一瞬の隙を突き、ジャンヌダルクからの光線によって艦を貫く。


「な……ミリア!」

「! 隙ありであってよ…… hccps://camilla.wac/、セレクト ファング オブ バンパイヤ エグゼキュート!」


 その光景にメアリーが驚いた隙を、マリアナも見逃さず。


 カーミラによりその座乗艦スキュラに、攻撃を加える。


「くう! ならグレンデルマザーで」

「fcp> get gravitonpressure.hcml――グラビトンプレッシャー エグゼキュート!」

「!? きゃあ!」

「! な!」


 メアリーも反撃しようとするが。

 突如として、スキュラとカリュブディスの間を突くようにして。


 巨大な重力の攻撃が、振り下ろされる。


 ――そこまでだ、ブランデンにリベラ!


「な……アルカナの旦那! 邪魔するんじゃないよ、今からいいところだよ!」


 ――おやおや、魔女共に押され気味でその言い草かい?


「っ、いやそれは……」


 ――……撤退だ、いいね?


「……あいよ、ミリア! 悔しいが撤退だとさ?」

「……はい、姐様!」


 若干の押し問答がありつつも。

 ミリアとメアリーは、撤退を決意し。


「……hccps://baptism.tarantism/、セレクト グラントルネード エグゼキュート!」

「! 皆、散開!」

「くっ!」

「み、ミリア!」


 ミリアはカリュブディスに命じ、海水を巻き上げて巨大な竜巻を発生させ。


 それに感づいた青夢は、法使夏や剣人を退避させる。


「法使夏……あんたとの戦いは一旦お預け。それまでは精々、生き延びるのね!」


 ミリアは、そう捨て台詞を残す。




「……ミリア。」

「くっ、消えたか……」

「まったく……腰抜けな方たちね!」


 幻獣機母艦(クリプティッドマザー)カリュブディスとスキュラは、青夢たちが退避しているうちにいなくなっていた。


 ◆◇


「騎士団長閣下。ブランデン殿、リベラ殿、共に撤退した模様です。」

「ああ、そのようだ。あの娘たちは貴重だからな……何としても彼女たちには、この争奪聖杯に勝利してもらわねば……」


 戦場より離れた高空で待機する、幻獣機父艦クリプティッドファザーフードベヒモス艦内にて。


 右翼近衛騎士ウィヨルの報告に、アルカナはほくそ笑む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ