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ウィッチエアクラフト 〜魔女は空飛ぶ法機に乗る〜  作者: 朱坂卿
第三翔 龍魔力財団対空システム
42/193

#41 父艦の真価

「ふん、所詮は紛い物のゴルゴンが! ……ブラックマン、直撃炸(エクスプロージョン)裂魔弾(マジックブレット)であの龍魔力財団の艦から先に焼き尽くしてしまえ!」

「はっ! ……hccps://baptism.tarantism/、セレクト、デパーチャー オブ 直撃炸(エクスプロージョン)裂魔弾(マジックブレット)!」


 尚も雷の罠(ケラウノスネット)を纏いつつ、敵艦からの誘導銀弾群を防ぎ。


 幻獣機父艦バハムートは、ゴルゴン旗艦・四番艦めがけて突撃して行く。


 空賊との戦いが終わり一か月ほど後。

 空戦訓練のため、再び法機母艦(ウィッチーズマザー)に乗艦していた青夢たち凸凹飛行隊だが。


 幻獣機リバイヤサンの出現の報により、出撃を余儀なくされていた。


 が、幻獣機と凸凹飛行隊の交戦中。

 これを離れた場所から見ていた、龍魔力(たちまな)四姉妹の編隊より誘導銀弾が放たれ。


 彼女らとも交戦となる。


 しかし、その最中ミリアとメアリーによる魔男の部隊も攻めて来ており。


 中々に決着のつかぬ膠着状態となっていたのだが。


 突如として龍魔力(たちまな)四姉妹の長姉・夢零(むれい)が発動させた彼女らの専用機・蛇女殺し(ハルペー)に備わる"システム"の真髄。


 彼女ら曰く、"目"。


 それがどれほどのものかは底知れないが。

 果たしてその"目"によって、夢零以外その戦場にいる者は皆動きを封じられ窮地に落ち入る。


 しかし、凸凹飛行隊も魔男も自機の能力により窮地を掻い潜り。


 さらに夢零も勝手な判断により"目"を起動させてしまったことを、実は彼女の"目"付け役だった末妹愛三に咎められ撤退し戦いはひとまず終息した。


 そうして今回、魔法塔華院コンツェルンと龍魔力財団の新システム搭載艦コンペティションに参加した凸凹飛行隊だが。


 そのさなか襲来した超巨大な竜型幻獣機・幻 獣 機 (クリプティッド)父艦(ファザーフード)バハムートを前に一同は、動揺する。


 しかし、逆にこれを自社の新システム搭載艦・ゴルゴン艦のいい咬ませ犬になると睨んだ龍魔力四姉妹は。


 そのまま艦搭載のゴルゴンシステムを使い、幻 獣 機 (クリプティッド)父艦(ファザーフード)バハムートと交戦するが。


 予想外に幻 獣 機 (クリプティッド)父艦(ファザーフード)バハムートの力は強大であり、

 それに対し龍魔力姉妹はついに、"目"――ゴルゴニックアイズを使用。


 幻 獣 機 (クリプティッド)父艦(ファザーフード)バハムートを照準と同時に足止めし、これにより止めを刺せると龍魔力姉妹は確信。


 全艦隊より誘導銀弾を放つが。

 幻 獣 機 (クリプティッド)父艦(ファザーフード)バハムートは、何と不可能なはずの変形を行なって誘導銀弾を全て回避。


 英乃の座乗するゴルゴン二番艦を自滅に近いやり方で葬ったことを皮切りに、二手乃のゴルゴン三番艦をも敗る。


 そのまま事態を重く見た自衛艦隊も出撃するが、これもあっさりと返り討ちにしてしまった。


 が、その直後に青夢ら凸凹飛行隊擁する法機戦艦の主砲からの攻撃を受ける。


 これを脅威と見た幻 獣 機 (クリプティッド)父艦(ファザーフード)は、再び必殺技形態に移行し。


 そのまま青夢らが自機を接続した法機戦艦と、必殺技撃ち合いとなり。


 かろうじて痛み分けに終わったその戦いだったが、そこへ幻獣機を従える能力を持つ法機使い・魔女辺赤音が攻めて来たために幻 獣 機 (クリプティッド)父艦(ファザーフード)は撤退する。


 そうしてそのひと月ほど後。

 再び現れた幻 獣 機 (クリプティッド)父艦(ファザーフード)を迎え撃つべく、改修された法機戦艦(アームドマギ)一隻とゴルゴン旗艦・四番艦による魔法塔華院・龍魔力連合艦隊が出陣したのであった。


 しかし幻 獣 機 (クリプティッド)父艦(ファザーフード)は同乗させている騎士・ブラックマンによる新兵器・直撃炸(エクスプロージョン)裂魔弾(マジックブレット)により、法機戦艦・ゴルゴン艦らによる攻撃を相殺し。


 さらにゴルゴン艦に搭載されているものと同じ"ゴルゴニックアイズ"を起動し。


 魔法塔華院・龍魔力連合艦隊を照準し、動きを止める。


 が、そこへ。

 海中を法使夏の乗機ルサールカの能力により飛び回る凸凹飛行隊のうち、青夢の乗機ジャンヌダルクより放たれた光線により幻獣機父艦は妨害を受ける。


 かくして幻獣機父艦は、目標を海中に定め。

 さらにはアルカナの予知により、青夢は予知を妨害され。


 更に、それにより幻獣機父艦はアルカナの予知の恩恵も受けて凸凹飛行隊を再照準し出す。


 が、青夢の策により法使夏のルサールカに仕込まれていた不確定要素満載の暴走プログラムが起動し。


 それにより暴れ出し、予知された凸凹飛行隊の行動パターン数が膨大になり処理できなくなったアルカナは、逆に無力化されてしまった。


「頼むわ、雷魔法使夏!」

「分かってるって! ……hccps://rusalka.wac/ 、サーチ! クリティカル アサルト オブ 空飛ぶ法機ルサールカ! セレクト 儚き(バブリングパニ)(ッシュメント) エグゼキュート!」


 海中より、ルサールカの必殺技が幻獣機父艦に炸裂した。


 "オペレーション後手後手"。


 青夢がまだ未熟な予知を持って情報量は抑える代わり、ほぼ行き当たりばったりに近い形で法使夏のルサールカを――ひいては、それに操られている水流の中にいる凸凹飛行隊を制御するというもので、もはやそれは作戦とも策とも呼び難いもの。


 しかしそれは、凸凹飛行隊を確実にブラックマンの"ゴルゴニックアイズ"から逃れさせている。


 さらには。


「くっ! さ、左舷被弾!」

「ふん、そんなもの雷の罠(ケラウノスネット)で」

「ぐ、ぐああ!」

「くっ!? な、何が起こった!」


 バーンは当初、ルサールカの儚き(バブリングパニ)(ッシュメント)を甘く見ていたが。


 泡は爆発を連続させることにより、雷の罠(ケラウノスネット)を崩し。


 更に、残っていた泡がその綻びから内部に浸透するような形でまた爆発し、パーツ群に少なからず損害を与えていた。


「おのれ……」

「さあ……海上に出るわ、皆覚悟して!」

「分かったわよ……って! 何の覚悟!?」

「ま、魔女木さん! 心中の覚悟なら間に合っていてよ!」

「なるほど……それも面白そうだな!」


 そうして敵に打撃を与える中、青夢は。

 凸凹飛行隊の面々の三者三様の反応を受けつつも、海上に出ることを強行する。


 そのまま空飛ぶ法機(ウィッチエアクラフト)ルサールカに後続しつつその水流諸共、凸凹飛行隊は海上へと踊り出る。


「そちらから来てくれるとはな……ブラックマン!」

「は、ははあ! ……エグゼキュート!」


 バーンは不規則極まりない動きで迫り来る、空飛ぶ水流を睨み。


 ブラックマンに命を下す。

 たちまちブラックマンの詠唱により、直撃炸(エクスプロージョン)裂魔弾(マジックブレット)が発射され。


 そのまま、凸凹飛行隊の水流へと迫るが。


「きゃあっ!」

「くうう! ……次はこっち……次は……雷魔法使夏、頼むわ!」

「くっ、分かってる……セレクト 儚き(バブリングパニ)(ッシュメント) エグゼキュート!」

「ぐうっ!」

「…… セレクト 儚き(バブリングパニ)(ッシュメント) エグゼキュート! セレクト……」


 凸凹飛行隊の水流は曲がり、その過程で直撃炸(エクスプロージョン)裂魔弾(マジックブレット)をその尾に捕らえて爆発させて回避していき。


 そのまま幻獣機父艦めがけて突撃しつつ、儚き(バブリングパニ)(ッシュメント)を浴びせて行く。


「う、右舷被弾!」

「くっ、第三居住区爆発!」

「おのれ……もはや、雷の罠(ケラウノスネット)は維持できないか……」

「ば、バーン騎士団長!」

「狼狽えるな! まだ勝機はある……」


 幻獣機父艦の被害報告が次々と舞い込む中でも、バーンは冷静に頭を巡らせる。


 そして。


「奴らが、これを()()と思っている内はまだうまくいく可能性はある……よし、全艦各個(フォーメーショ)形態(ンロンリネス)へ移行せよ!」

「り、了解! ……hccps://baptism.tarantism/、セレクト、ビーイング トランスフォームド イントゥ 各個(フォーメーショ)形態(ンロンリネス) エグゼキュート!」


 バーンは配下の騎士に命じる。

 すると――


「!? な、ま、魔女木!」

「! こ、これは……また分離を!?」

「な、何ですのこれは?」

「くっ……バーン騎士団長!」


 凸凹飛行隊は、驚く。

 幻獣機父艦の懐に飛び込もうとした矢先、その父艦が分裂を始めたのである。


 それは、かつてゴルゴン艦隊の艦載機群を葬り去った時の形態――雷雲(フォーメーショ)形態(ンクラウド)を思わせるが。


 今回はその時とは違う。

 何しろ、その雷雲(フォーメーショ)形態(ンクラウド)時にはパーツ群に分かれていたが、何と今回は。


 どこから湧いて出たのか艦載機と思われる量産型幻獣機スパルトイが無数に、蜘蛛の子を散らしたようにこちらに向かって来るのだ。


「なっ……ら、雷魔さん回頭を」

「駄目、間に合わない! 雷魔法使夏、女は度胸! このまま強行突破!」

「な……ま、マリアナ様の命令なんだけど」

「早く行くぞ、迷う暇はない!」

「もう……ソード・クランプトンまで!」


 が、法使夏は結局は青夢の求めるがままに。

 そのまま凸凹飛行隊を取り込んだ水流諸共、幻獣機スパルトイ群とすれ違うようにして強行突破を試みる。


「くっ、敵機が集って来る!」

「……hccps://crowley.wac/……セレクト アトランダムデッキ! 女教皇(ザ ハイプリーステス)……くっ、女帝の慈悲(クイーンズマーシー) エグゼキュート!」


 すれ違い様、集って来た幻獣機スパルトイ群を。

 ソードはすかさず技を発動し、やや面食らいつつも技を作り出す。


 それにより水流の先端には、バリアが生成され。

 それにより、向かって来たいくらかの幻獣機スパルトイ群を弾き飛ばす。


「くっ……間も無く、敵機群通過!」


 そのまま敵機群の中を突破し、凸凹飛行隊の水流は更に突き抜ける。


「よ、よし!」

「……!? ま、マリアナ様……て、敵艦見当たりません!」

「! な……ど、どうなっているの?」

「これは……?」


 が、青夢らは幻獣機父艦の方を振り返り驚く。

 何と、それまであったはずの父艦が影も形もないのだ。


 あるのは、そこから発進したと思しき無数の艦載機群のみ。


「こ、これは……?」

「はははは! ……hccps://baptism.tarantism/、セレクト、ビーイング トランスフォームド イントゥ 雷雲(フォーメーショ)形態(ンクラウド)雷の罠(ケラウノスネット) エグゼキュート!」

「!? な……くうっ!」


 が、驚愕していた隙を突かれ。

 なんと、先ほど突破したはずの幻獣機スパルトイ群が、瞬く間に凸凹飛行隊の水流周辺を覆い。


 雷の罠(ケラウノスネット)により、捕らえる。


「くっ……セレクト、キャンセリング ゴーイング ハイドロウェイ!」

「くっ」

「ぐうう!」

「うっ!」

「はははは! やはりこれを単艦と勘違いしていたか……だが、残念だったな! この幻獣機父艦バハムートは一見すると一つの巨大幻獣機ながら、実は無数の幻獣機の群体だったのだ!」

「なっ……!?」


 せめて電気を通しづらくするために水流を途絶えさせた法使夏だが、そこへバーンの勝ち誇ったような声が響く。


 そう、言わばこれは巨大な鳥の形をした鳥の群れだったのだ。


「だが、もう遅い! ……さあ、これで終わりだ!」

「くっ……」


 バーンは雷電を、更に強め始める。

 青夢は自分を責める。


 これでは、また全てを救うなど――

 が、その時だった。


「……セレクト、ブーティング "(ゴルゴニックアイズ)"! ロッキング オン アワ エネミーズ エグゼキュート!」

「? まったく、ブラックマン! 誰が"(ゴルゴニックアイズ)"を」

「? いえ、私では……ん!?」

「!? き、機体が動かない……?」


 何と、バーンとブラックマンが今度は驚いたことに。

 幻獣機父艦バハムートを構成していた全幻獣機が、動きを止められたのである。


「あ、あれ?」

「か、雷が弱まっていく……?」

「こ、これは?」

「何だ?」


 凸凹飛行隊も、突然のことに困惑している。


「ま、まさか……?」


 バーンは、外に目を向ける。

 他に"(ゴルゴニックアイズ)"を発動する者などおるまい。


 果たして。


「ありがとう……ここからは、私たちの反撃よ!」


 そこには、ゴルゴン旗艦と四番艦の上空を飛ぶ三機のゴルゴン艦載機・ゴルゴニックヘアー。


 その内一気は、夢零が操る機体だ。


 更には。


「また……お前かアラクネ!」


 尚も苦しむアルカナも、驚いたことに。

 アラクネの幻影も、上空に浮かんでいた。

母艦型幻獣機/幻 獣 機 (クリプティッド)父艦(ファザーフード)(クリプティッド)(ファザーフード)バハムート

 核となる幻獣機を中心に、無数の幻獣機が融合して生まれる巨大幻獣機。


 巨大兵器に機動性と速力を持たせるという設計思想で作られている。


 開発にあたっては、幻獣機ゴグマゴグの分離合体機能が多分に参照されている。


 融合している幻獣機を発射することや、輸送型幻獣機バハムーティックスパルトイの連結により居住区を確保することで母艦としての役割を成している。


 また艦載機及び構成機を操る魔男たちも直接搭乗はさせず、ダークウェブを介した遠隔操作としている。


 これにより同艦内には艦長以下少数人員が乗り込み前線での指揮を行えばよいという、省人員化も実現している。


 同時に一機毎の連結部をしならせることや任意に分離・合体を繰り返すことによる機動力や敵の意表を突く攻撃を得意とする。


 特にゴルゴンシステムに対してはレーダー上の認識パターンを一度は一機の巨大な幻獣機に見せかけて照準させ、その後で分離・合体することで攻撃を回避するという天敵そのものとも呼べる特性で翻弄する。

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