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FANG DOLL suite

BLANCA

作者: 華猫

『狼狩り』 https://ncode.syosetu.com/n0434cm/ のコンビの前日譚。

これも20年以上前に書いたものですね。

アルマーというキャラは、FangDoll で作ったんですけども、動かしやすくてお気に入りでした。

この話は、FangDollとは全く関係なく、舞台も現実の20世紀後半のアメリカです。

BLANCA

 遠くで銃声が鳴り、彼女が倒れた。

 鮮血が、彼女の白い胸を染め、同じ色をした真新しい雪の上に広がっていく。

 妻と決めた者の死を目の当たりにして、モキはその場を逃げ出した。肩に弾丸が追いすがるように喰い込む。

 都市は慢性的な不眠症にかかっている。

 歓楽街ともなれば、昼にもましてなお、夜は灯火の目を輝かしている。

 裏通りに、『PapillonRouge』と書かれた看板が出ていた。賑やかな表通りの店と違って、けして派手ではなく、地味なくらいの店構えだ。重厚な扉を飾る派手な照明の代わりに小さな門灯がお義理に通りを照らしているだけだ。女たちの嬌声も、店の前までは届いてこない。入り口に、一見暇そうに、その実油断なく通りに目を光らせている黒服の男がいなければ、そこが営業中の店だとは思えない。

 今しも通りをやって来た男が、店の前を通り過ぎてから、気付いたように引き返してきて足をとめた。

 見事な体格の男だ。旅行者らしい、薄汚れた服装をしているが、隆とした筋肉がくたびれた布地を膨らませている。一見、温和そうな顔に、鋭い黄色い瞳がはまっていた。

 男が店の扉に近付こうとすると、黒服がその前に立ちはだかった。黒服も人並み以上に鍛えた体躯をしていたが、その男にはかなわなかった。

「ここはあんたのような野郎の来る店じゃねぇ」

 黒服は男を一瞥して、居丈高にいった。

「金はある」男が低い声でいった。

「はん。いっとくがな、そこいらのチンケな店たぁ桁が違ぇぜ」

 男が背負っていたザックから小さな皮の袋を取り出すのを、黒服は用心深く見守っていた。

 やがてその眼がわずかに大きく見開かれる。驚きを必死で隠そうとしていた。

 男が取り出したのは大型の金貨だ──それも、帝国のごく一部でしかお目にかかれないような。

「十枚ある」

「──中へ聞いて参ります。その前に、お名前を伺いましょう」

 黒服の言葉が一変した。

「モキ」

 旅人は短く答えた。奇妙な──この辺では聞きなれないような音の名だ。

「少々お待ち下さい」

 黒服は軽く頭を下げると、いったん店の中へ引っ込んだ。

 それからすぐ戻って来て、モキを店の中に案内した。

 長めの廊下を経てロビーに通されると、そこは、店の表からは想像もつかないくらいの部屋だった。

 豪奢なシャンデリアの光が目を射る。狭くもない室内には強い香が立ち籠めている。モキは敏感にその香の中に媚薬の匂いを嗅いだ。

 まるで貴族の城のサロンのようだ。調度も雰囲気も。あいにく、モキにはこれまでまるでなじみのない世界だったが。

 壁には大きな絵がかかっている。端正な男の生首に、愛おしそうに頬を寄せる半裸の美女の絵だ。凄惨な場面のはずなのに、画面は美しく、官能的だった。

 片隅にはピアノが置かれ、若い男が弾いている。店の外からもかすかに聞こえていた音色だ。

 モキが手近なソファに腰を下ろすと、すぐに中年の男が、大きめのカードの束を手に現れた。

「え、モキ様、今宵はどのような御注文を?各種、お好みに応じて取りそろえておりますとも」

 そういって男はモキの目の前にカードを並べてみせた。どれも美女の肖像だ。歳・容貌・髪・目、様々だったが、とにかく美人、ということでは共通していた。

 モキは一瞬、そのカードに目をやってにやりとしたが、すぐに男に視線を戻した。

「実はな、今日はその用件で来たんじゃねぇんだ。店長に会わせてくれ」

「お高くなりますわよ」

 店の奥から女が現れた。素晴らしい美女だ。メニューに挙げられた女たちよりも数段上だ。若すぎもせず、年増でもない。『むしゃぶりつきたくなるくらいのイイ女』という言葉がぴったりくる。挑戦的な笑みがまた一段と色っぽい。

「あんたが?──いや違うな。にしても、おかしな臭いがしやがる……」

「店長になんの御用?まずは私を通して下さいな」

「直接会って話す」

「それじゃあ、お取り次ぎできませんわねぇ」

「そうかい。じゃ、勝手に探させてもらうぜ」

 モキは今し方女の出てきた、『STAFF ONLY』と記された扉へ向かおうとした。

 ごつい男の手が、ぐいと肩を掴んで引き止めた。

 振り替えると同時に拳が出ている。筋肉を無理矢理スーツに押し込んだ男が一撃で倒れた。

 いつのまにか、モキは男たちに囲まれていた。揃ってダークスーツの肩に険悪な表情を乗せている。

 ──決着はあっという間だった。

 モキが一息吐いて周囲を見回すと、さっきの女はピアノのところに避難していた。今し方の活劇の間、ずっとピアノは鳴り続けていた。

「おい、あんた、店長はどこだ?」

 モキは彼女を追った。

「困った方ですわねぇ。もう少し、紳士的に振る舞って下さいな」

「山育ちなもんでね。女に暴力を振るいたくはねぇんだが──」

 そのとき、急にピアノが鳴り止んで、弾いていた若い男が立ち上がった。おそろしくハンサムだが、同時に見る者をゾッとさせる。その瞳はルビーのように赤かった。

 彼はまず女に向かって、「ベレッタ、もう引っ込んでいい」

 それからモキに向き直った。

「何の用だ?」

「あんた?」

「この店を任されている──アルマーだ」

 モキは目を丸くして、小さく口笛を吹いた。

「こりゃ驚いたね。かの有名な『P・R』の店長が、こんな色男だとは」

 それから眉をひそめて、

「だけどよ──どうもこの店入って以来、妙な臭いがすると思ったら、あんたたちがその元みてぇだな」

「ふん、あんたも充分臭うぜ」アルマーは薄く笑った。「ま、話は事務所で聞こう。とりあえずは、ようこそ」

 そういってアルマーは右手を差し出した。モキもその手を取ろうとした瞬間、相手の手が拳に変わって鳩尾に叩き込まれた。

 その優男の容姿からは思いもよらないような、強烈な一撃だった。

「一応、ケジメはつけんとな」

 崩れ落ちるモキの頭上から、アルマーの声が降ってきた。

 気がつくと、別の部屋のソファの上に寝かされていた。ロビーよりはシックで落ち着いた雰囲気の部屋だ。

 もそりと身動きして、自分の身体の下に敷かれているのが、大きな獣の毛皮だと知った。うなじの気がぞわりと逆立つ。

「気がついたか」

 ローテーブルを挟んで正面に、アルマーが腰を下ろしてこちらを見ていた。

「で?」

 モキはなんとか起き上がった。まだ打たれた箇所が痛む。吐き気に襲われたが、幸いにも胃は空っぽだった。

「……ウィンチェスターはどこにいる?」

「ち、本当のお目当てはオーナーか。やつに何のようだ?」

「ちと、返してぇもんがあってな」一瞬、モキの顔に獰猛な表情が浮かんだが、すぐにそれは掻き消された。

「やつは旅行だサファリだってんでしょっちゅう都を留守にしてるが、十日に一度くらいはこの店に顔を出すぜ」

「ふうん」それから突然、モキはガバと平身低頭した。「やつが今度来るまで、ここに置いてくれ。頼む」

 アルマーはモキをじろじろと見回した。

「あんたがのしてくれたおかげで、他のバンサーを探さなきゃならん。ロハでなら置いてやるぜ。……接客の方は勤まりそうにねぇからな」

「店長ぉ、いいんですかぁ?あんな得体の知れないオトコ」

 ベレッタ、と呼ばれた女が、アルマーの首根っこにまとわりつきながらいった。

「得体はともかく、正体は匂いでわかる。興味が沸いてね。腕は確かさ」

「あっちの方もね。女のコたちが騒いでますわ。油断してると、みんな食べられちゃいますわよ」

「『赤頭巾ちゃん、気をつけて』、かい?」

 アルマーはそういって女の首筋に唇を這わせた。

「……下手したら、店長、貴方自身も狙われかねませんわよぉ」

「オレの趣味じゃないな」

「えぇえぇ、店長は面食いですものね。女だろうと、男だろうと。美人には見境ありませんものね」

「人聞きの悪い……美しいものを自分のものにしたくなるのは誰でもおなじだろ?」

 それきり、言葉は途絶えた。

 『P・R』のオーナーで、この都の経済界でもちょっとした顔の男、ウィンチェスター氏は、モキが店に居付いてから五日後に姿を現した。

 中年から初老に差し掛かるくらいの、恰幅のいい男だ。しかし、上品に装うとすればするほど、品位が下がってみえるタイプだ。身に着けているのはどれも一流品で、なおさら中身が強調されている。

「アルマー、どうだね、店の方は」

「万事、順調です。なにも問題はありません」アルマーは機嫌よく振る舞ってみせた。

「流れ者を新しく雇ったそうだな」

「うちのバンサーたちがまとめてそいつにのされちまいましてね。しかたなく、代わりに」

「ほう……そいつはいまどこにいるんだ?」

「あとでお部屋に挨拶に伺わせますよ」

 やれやれ、とアルマーは頭を掻いた。

 オーナー専用の個室から騒動が持ち上がったので。

「イヤな予感してたんだがな……」

 一人呟いて、いつもより重い足取りでその部屋に向かった。

「店長……」

 ベレッタが下着姿で飛び出してきた。そしてウィンチェスターの罵声も。アルマーの嗅覚は敏感に血の匂いを嗅ぎつけた。

 部屋は目いっぱい派手に飾りたてられている。いかにも成り金趣味だ。金はかかっているがセンスがまるでない。壁には扇情的な裸体画がかかっている。全てこの部屋の主の趣味だ。

 金糸で刺繍されたクッションに埋もれて、ほとんど裸に近いウィンチェスターが起き上がろうともがいている。

 部屋の反対側にはモキが、首から血を流して倒れていた。かすかに呻いている。

 アルマーは、女が拳銃を手にしているのに気付いた。もちろん、この都では銃も刀剣も所持・携帯が禁止されているが。あくまで法律では。

「いきなり、あの人が、オーナーに襲いかかって──それでつい咄嗟に」

 ベレッタが困った顔でいった。

 アルマーも、困り顔だった。

「店長!」

 アルマーが控え室に入ってくるなり、二〇人ほどいた女たちが一斉に取り囲んだ。みな心配そうな表情をしている。

「どうでした?オーナーはなんとおっしゃいまして?」

 ベレッタが詰め寄るようにして尋ねた。

「もう店長じゃない。たった今、馘になったところだ。ヤツの死体と一緒に放り出されたってわけさ」

「残念ですわ……だからいいましたでしょ、得体が知れないと」

「まあな」アルマーは苦笑した。「ベレッタ、後はお前に任せるそうだ」

 しかし彼女の顔は浮かない。

「精一杯、がんばれよ」

「努力しますわ、店長……じゃない、アルマー、あなたに負けないくらい」

「じゃあな、お嬢さんがた。いいか、太陽にだけは気をつけるんだぞ──あ、ひとつ……ベレッタ、お前だけちょっと来てくれ」

 二人だけで部屋を出る。アルマーは彼女を廊下の隅にひっぱっていった。

「ひとつ確かめたいんだが」

「なんですの?」

「あのとき、ヤツを撃ったのは、ホントは誰だ?」

「私ですわ」

「お前なら拳銃なんかいらんさ。充分素手でヤツと渡り合える」

 ベレッタは答えない。

「ま、事情はなんとなくわかるさ。せいぜいそのことでウィンチェスターを脅してやれ。たっぷり絞りとれるぞ」

「まるで吸血鬼みたいですわね」ベレッタが婉然と笑んだ。

「違うかい?」

 二人はクスクスと笑って、そして別れた。

 暗く薄ら寒い空間。広さだけはたっぷりある。

 冷たく固い床の上でモキは目を覚ました。

 鋭い嗅覚が周囲の様子を把握する。すぐ近くに、「彼」のにおいがした。生命のにおいではない。だというのにそいつは生きているように、動いて、喋るのだ。

「復活、おめでとう」彼の声がした。

「アルマーか?……ここは……どこだ。いまは……オレは──」

 モキはゆっくりと起き上がった。打たれた首筋は、既にほとんど傷も塞がっている。

「運河の傍の倉庫さ。みんな、完全にあんたが死んだと思ったようだな。運河に放り込まれるところだったのを、似たような別の死体とすり替えたんだ」

「ありがとよ……しかしよくそんな都合のいい死体があったな」

「なければ作りゃいい」

「なるほど。……あいつはあんたの正体を知ってて雇ってたのか?」

「まさか。あいつはなにも気付いてないさ。おかげでオレにとっちゃやりやすかったがね。喰うにも困らんし。だけどそれも、あんたのおかげで散々だ。仕事は失うし、女たちは失うし、信用も失った。もうしばらくこの都にいるつもりだったんだがなあ」

 すると急にモキは声のトーンを落とした。

「……オレはヤツのせいで妻を失った──いや、やつの手で殺されたんだ、キアは!」

 二人は倉庫の屋根に上って、都市の夜景を見下ろした。暗黒に沈む手前の方から、徐々に繁華街の方へと光が繁茂していく。

 空はボウと青暗く輝いていた。

 モキは屋根のスレートを力の限り殴りつけた。容易く砕け散る。今し方、死んでいた男とは思えない。

「──完全に死んでいたわけじゃない。オレはれっきとした生き物だ。あんたと違ってな」

 モキはそういってアルマーを見遣った。彼は笑っていた。

「回復は早いが、死んだら終わりさ。寿命だって普通の人間と大差ない。おい、あんたが人間として生まれてから、何年経ってるんだ?」

「さあね。二十いくつで人間を辞めたのは憶えてるが」

「……五年前──オレは山にいた。まだまだ若僧だった。キアと一緒だった。あのときは全てがオレたちのものだった。山や谷や林や──なにも持っちゃいなかったが、なんでも持っていたのさ。それにホントは、キアさえいれば他のなにもいらなかった──だがキアは殺されちまったんだ、ヤツの銃でな!オレもヤツに撃たれて、逃げることしかできなかった。彼女を助けることも、ヤツを殺すことも……」

「そのキア、ってのは、イイ女だったか?」

「まあな、オレにとっちゃ。あんたの趣味じゃないだろうけどな。しかもオレみたいな中途半端な怪物じゃねぇ。生っ粋なんだ」

「なるほどね──そろそろ行こうか」

 アルマーが立ち上がった。

「んん?どこへいくんだ?」

「ウィンチェスターの屋敷さ。ヤツに返したいもんがあるんだろ」

「なんだってんだ、こんな夜中に……」

 アルマーを前に、ウィンチェスターが不機嫌にぼやいた。

「明日の朝は早いんだ。また連中とハンティングに誘われてるんでな」そういってサロンのソファに納まって、装飾過多な銃を磨いていた。

「まだなにかいうことがあるのか?……ま、確かにお前は有能だ。ことによっちゃあ、また使ってやってもいいぞ」

「いやね、友人が、あんたに借りがあるっていうもんで」

「──?」

 アルマーは窓に歩み寄って扉を開けた。体躯のいい男が、大きさに似合わず敏捷な動作で入ってくる。

 その姿を見て、ウィンチェスターは驚愕した。

「なんだそいつは!まだ生きてるのか!なんでつれてきた……」

「あんたに返したいモンがあってね。あんたは憶えちゃな……」

 モキの言葉が不意に途切れた。彼の視線が壁の一点に釘付けになっていた。サロンの壁は、ウィンチェスターの狩猟の戦利品、あるいは虐殺の記念品で埋め尽くされている。そのなかに狼の首があった。雪のように白い毛をした狼だった。

「キア……!」

 彼を包む空気の質が目に見えて変化していく。同時に彼のシルエットも。服が弾けとんだ。逞しい筋肉が、灰褐色の毛に覆われて──

 ウィンチェスターが銃を構える。咄嗟にアルマーはその銃口の前に立った。

 銃声。

 アルマーの胸に無数の鉄の弾が突き刺さる。その勢いで大きく後ろにのけぞる。しかし彼は踏みこたえて、ゆっくりと正面に向き直ると、にやりと笑った。

 ウィンチェスターは逃げ出していた。その背後から、人とも狼ともつかない獣が、飛び掛かった。

 長く突き出た鼻の先で扉が閉まる。向こうでガチャガチャと音がした。

 モキは数歩下がって、扉に体当たりした。重厚な扉が軽く吹っ飛んだ。

 まっすぐな廊下の向こう、ウィンチェスターが慌てふためいて逃げていく。モキは後を追って四つ脚で走り出した。

 アルマーは、モキが変身する際、床に落ちた物を拾い上げた。既に一度発射されたことのある弾丸だった。

 アルマーの手から力の限り放たれた弾は、モキの大きな耳をかすめ、玄関の扉を開けようとしているウィンチェスターの腿を貫通した。

 ウィンチェスターは体重で扉を押し開きながら倒れた。

 恐怖に凍り付いた顔ではっと背後を振り返る。その喉を、巨大な犬歯が切り裂いた。

 かなりの時間が経ってから、モキはひどく疲れた様子でサロンに戻って来た。既に人間の姿に戻っている。なにも身に着けていない。その顔も胸も手も、返り血に染まっていた。

 サロンではアルマーが、部屋の隅に立って、上半身をはだけ、顔をしかめながら胸に刺さった無数の粒弾を一つ一つ抜き取っていた。彼もまた胸を血に染めていたが、全て自分の血だった。

「済んだよ」モキが静かにいった。

「そうか。……しまった、あいつにいったことがパアになった──つっ」アルマーはモキの顔も見ずにいった。

 モキの全身を、白い霧のようなカタルシスが包んでいた。見るまいと努めても、目が、自然と壁にかけられた白狼のトロフィに向けられてしまう──彼にとっては最愛の妻だったのだ。しかし、彼女の真紅の瞳は、今は黄色いガラス玉に変えられていたが。

 モキは首をふって向き直った。

「これでもう、オレは──」

 寂しく呟くようにいった。そして、床に転がっていた銃を拾い上げた。

 途端、アルマーが声を荒げて怒鳴った。

「おい。今、ここで死ぬつもりか!? 勝手なヤツだな!オレはあんたを助けてやったんだ。今度はあんたがオレを助ける番だ」

「助ける?なにをだ」

「オレ一人じゃこの屋敷から出られねぇ。もう夜が明けちまったからな」

 モキが辺りを見回すと、確かに、サロンの大きな窓から、朝の陽光が室内に侵入してきていた。

 それをみて、モキは、なぜかはわからないが、つい、げらげらと大声で笑いだしてしまった。

fin.

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