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記憶障害少女の感情は   作者: 坂城 誠
7/8

ミライ視点編 決意の形は

見やすいですかね?

見にくかったら、ごめんなちゃい。

まず、息を整える。

そんなに、距離を走ったほどでもないのに息が上がっていた。

ちゃんと言うことを考えていなかった。

私の頭の中は、混乱中だ。


ただ、私の目の前にいたのは、ノアはノアでも違う気がした。

顔は無表情で、あってからの顔と同じなのに自然と雰囲気がほほ笑んでいるような感じがした。

口角が上がってもいないのにおかしなことだとも思った。


その気づきから考えがまとまった。


()()がノアを支えてくれたのかは解らない。

決意のような形があった気がする。

それは、私の(かん)といってもいいほど。

決意が感じられたなら、言うことなんて。


「戻ろう?」


それくらいの言葉だけだ。

私は、右手を差し出した。

手を取るかなんて、深く考えなかった。ノアを見つめているだけで、ぼぅっとしてしまう。


風がなびいてノアを照らし、私をも照らす。

ワンテンポ遅れながらも、ノアは私の手を握ってくれた。


ほっとしたのを感じる。

だって、ノアの手は安心感と優しさがあって落ち着くから。


ノアのゆったりした歩幅に合わせて私も歩く。

気持ちが和らいだのは、素直に言ってよかったし安心した。

それと同時に、なんでノアが最初のようになったのだろうと不思議に思った。


最初のようになったというのは、雰囲気のこと。

険しい顔ではなくなり、無表情でもやんわりしたような感じのこと。

どこかで、そばにいたのが私ではないことにがっかりしていた。


ノアのゆったりした足取りは、自分の気持ちを落ち着かせるためだろうか。

考えをまとめるためだろうか。


当たり前のことだけど、私はノアではない。

だから、ノアの考えていることなんてよくわからない。


自分の心も感情もわからないのに他人の事をわかろうなんて無理な話だ。

これは、心配しているのかな。


体中の血がドクドクとなっている。怒っているのではなく。悲しんでいるわけでもない。

不安…なのかもしれない。妙な()(あせ)がそれを物語っている。

それほど、私はノアを心配しているのだろう。


『いつか、頼ってほしい』と願った思いは叶うのだろうか。

私は、矛盾(むじゅん)しかしていない。

感情も言葉も一致しないのは、神様の悪戯(いたずら)なのだろうか。


私は、神様の存在を信じているし、願いが届いてほしいと思っている。

神様の言葉がいつか届くこと信じている、()()の子供。


その時は、自分が何者かもわからないまま思ったこと。

神は、すごく恐ろしいということに気づかないで無関係だと思ってしまったこと。


私は、いつしかこのことを悔いることになる。


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