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記憶障害少女の感情は   作者: 坂城 誠
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第2章 言葉と仕草は①

多少直しました!すみません!

目が覚めた時には、すでに朝だった。白いカーテンの隙間から光がさしていた。


一瞬ここは?と思ったが、昨日の起きたことを思いだした。


昨日、私の一番話したかった相手が声をかけてくれて、私はただ茫然としていた。


心が、締め付けられるような感覚だからだ。


だけど、そのあとから記憶がなくなっていた。

ただただ、あたたかなぬくもりだけが暗闇の中で印象として残っている。


大きく背伸びをして、目をこする。

カーテンの隙間から眩しく光がさしていたが、あまり慣れなかった。


寝ていた間も懐かしい夢だったような感覚だった。

ただ、そこには、不思議な点もあった。


普通だったら、悲しかったり、寂しかったり…いろんな感情があるはずなのに私は、何も感じない。


昨日までは、言葉もおかしかったのに難しいこともだんだんわかってきたようだった。

私には、ただ単にみんなが口にする言葉とは別に薄い思いしかないと思う。

実際に私もよくわからなかった。


何が大事で、何が()()()のかが。

記憶がなくて、感情もない。そんな私がなぜこう思うのかもわからない。


すると、コンコンとドアから聞こえた。

「目が覚めたか。あー。なんだ。ご飯にするから…。昨日の言ったところに行くぞ。」

『ノア』が入ってきて声をかけられた。


胸の奥がムズムズする感じでまだ、慣れない。

コクンとうなずき、彼の後についていく。


今まで考えていたことも忘れてしまうくらい、『ノア』の近くは静かでドキドキしたけど、何も言わないまま食堂へ向かった。


*****************************************


食堂に入った途端に昨日の危険人物…フィーネが最初に話しかけてきた。


「大丈夫だった?というか、よく寝れた?いや、やっぱり大丈夫!?」


なんといえばいいのかな。せわしないって言えばいいのかな。

「なにもされなかった!?」


この言葉を聞いて不思議に思った。

あの時、倒れたことはわかっていた。

なのに、『なにもされなかった』というのはおかしかった。


「ノアちゃんが昨日倒れたあなたを連れていったの!なにもしなかった?って聞いても無視するし」


え!?っと私は固まる。

ずっと話してみたい、触れてみたいと思っていた人が私の近くにいたのだから。

混乱が悪化してきて、魂が出そうになる。


「だっから!なにもしてないっての!」

顔を少し赤くした『ノア』が否定していた。


「あら~?怪しいわね。」

「いい加減にしろよ?」


『ノア』はフィーネを追いかけまわしていた。

『なにもしていない』という言葉を聞いた時の感情。

私の感情で、すごく変だった。


なんだか、もやもやしてるようで、それでもって、心がふわふわしてるようで…不思議な感じだった。

(なんだろうな。こんな不思議な感触は。)


『ノア』は今どんな思いをしているのだろうと思った。

感情のことを私は知らない。だから、知りたいって思ってる。


「さ、君は座って食べてよう。」

声をかけてきたのは、昨日見かけなかった人だった。


席に座ると謎な男が正面に座った。

笑顔を向けられていたが、逆に怖いという印象が大きくなる。


木に支えられておいてあったものが、『ご飯』というのかな。


ほとんどの言葉などは、少しだけ思い出したはずだったのに、『ご飯』の実物を見るのは初めてのような…そんな感覚だった。


「食べないのかい?」

食べ方がわからないというのもあるが、この人に見られているのも変に思えた。


顔見知りなわけでもなければ、話したこともない。

さっきの言葉しか聞いたことがなかった。


「…食べ方…わから…ない。」

驚いた顔をしていて、笑顔が崩れたようだった。

その沈黙を破ったのがまたもや危険人物『フィー』だった。


「食べ方がわからないの~?じゃーあ、お姉さんがぁ、食べさせてあげるー!」

フィーは私に飛びつこうとしたが、『ノア』という人が抑えてくれた。


やっぱり『フィーネ』は、絶対危険人物だということが新たに知ることができた。


あまり、近づかないように気を付けようと思った。

それと、この食べ物はなにか教えてほしいと思った。


「戸惑ってるでしょ。でも大丈夫。フィーは、蹴っとけば黙るだろうし。」

最初は、真顔で言っていた言葉が最後のほうの言葉になると笑顔になっていた。


その言葉を聞いた途端フィーは、青ざめて言う。


「『リーファ』ちゃん、怖いこと言わないで!」

泣いたような言い方で、反論した。


「事実。この子、困っているでしょう?なにか文句でも…?」

脅すような手口だった。

次の瞬間、ぱんっとたたいた音がし、謎の男が声を出した。


「はいはい。静かにしろ!彼女が困っているだろう?」


「…のわりには、あんまり混乱してないように見えるな。」

ツグルが気づくと昨日の三兄弟が息ぴったりに首を傾げた。


言われるまで気づかなかったけれど、自分は何も反応しなかったみたいだった。

まず、どんな反応すればいいのかわからなかったというのもある。


「まあ、いいや。実は君に聞きたいことがあったんだ。」


謎の男が話してくるけども。名前を呼びようにない。


「わかった。えっと…。謎男さん。」


すると、少数人の人たちが笑った。

私の目の前にいた通称:謎男さんはがっくりと肩をおとした。


その様子を見ていて少しばかり面白いと思った。

意味とか分からないけどこのことを確か、『楽しむ』という言葉だった気がする。


「これは、ショックだったのか?」

ノアが言うには謎男の名前が相当嫌だったらしい。


「まあ、仕方ないよね(泣)…コホンッ。えー、初めまして。僕の名前は、ケインズ・ウォー。以後、お見知りおきよ。」

胸に手を当て、右手を差し出すケインズ。


右手を差し出されたことに困惑したけど、多少何をするのかわかっている。


「・・・。僕は、それが欲しいわけじゃないんだな?」


その右手に渡したのは、フォークだった。

何がいけないのだろうと思った。

ケインズが右手を出したのは、テーブルにあったフォークが欲しかったからではないのか?


思わず首をかしげたが過ぎにその間違いに気づいた。

握手で、あいさつのことで右手を出したのかと思い至った。


私も気を取り直して右手を出し握手をした。

「これから、よろしく?」


なぜか疑問形になってしまったが気にはしない。



「全員は、自己紹介してないか」

最初に『リーファ』と言われていた人が言う。

「私は、リーファだ。」

順番に自己紹介をしていった。


「カナタ・ライ」

お辞儀をして、礼儀が正しいと思った。


「ラヴィスだよー。」

笑顔で手を振られた。


「スラー。よろしく~」

世に言う『投げキッス』をされた。


「トアです!こう見えて男なので!」

顔が女の子並みにかわいいので、見間違うと思ったらしい。

よく考えたら、男か女かはわかる気がする。


「俺は、ノアだ。」

最後に自己紹介をしたのはずっと知りたかった人の名前だった。

話すだけで、いるだけで、ドキドキした。


「まあ、この場にいない人は後で自己紹介してもらうとして…。」

次の瞬間、鋭い目つきに変わった。


「———————君は、誰かな?」






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