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記憶障害少女の感情は   作者: 坂城 誠
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第1章 記憶のない少女は

多少直しました!すみません!

目が覚めて、最初に目に入ったものが、知らない天井だった。


…ここは、どこだろう?


近くにいた二人の女性と男性がいた。

女性のほうが声をかけてきて「目が覚めたのね!」といってきた。

女性さらに近づいてきて、私に話かけているような口調だった。


「・・・・・・・・・・・・・・・」

いきなりのことで、びっくりしていた。


人と話す…なんてことなんてなかったような、変な感じがした。

しかも、自分が誰だったのか思い出せなかった。


なぜか、もう一人の男性は、大急ぎで部屋を出て行った。

「あなた、倒れていたらしいのよ?大丈夫?」


私は、どう答えようか迷った。


私は、痛いのかわからないし、自分が何者なのかもわからなかったからだ。だけど、今は頭が割れそうに痛かった。

…うまくかける言葉が見つからない。


すると、ドアが勢いよく開いた。息が荒く走ってきたようだった。


「生きてるかぁーーーーー!」


怒鳴り声なのかよくわからないくらい、声を張っていた。なぜ、心配されているのかわからなかった。

でも、そんなことよりも大切なことがあったみたいだった。


…記憶のない私は、探し物があるみたいだった。一部分だけ、覚えていた。


そう、私はある『男性』を探している。


…でも、違う。この女性も、この、声が大きい男性も…。

あの時に、聞こえた言葉と違う。あの時の『大丈夫か?』という声とは。

私は、目を伏せた。そう、まるで枯れた草のように。


空きっぱなしのドアから、慌てて入ってきた男性に続いて、二人の男性が次々に入っていった。


そして、最後に入ってきた人に目が離せなかった。

なぜか、あの時の男性と同じ人物かも、いや、絶対そうだと思うくらい優しい雰囲気がした。


私は、驚きのあまりまじまじと見てしまっていた。

「何だよ…?」


不信感を持ちながら、訊ねられた。

…なぜだかわからないけど、今の私からしてみれば、その人がまぶしく見えた。


この人だ…!やっと…やっと…!

「やっと、会えた…!」


震える声でやっと放った言葉だった。頬にどんな感情かもわからない涙が伝っていた。私には、やはり感情がないのかもしれない。でも、欲しかった気がした。


「…!?お…おい!どうしたんだよ⁈」

「あ~あ!ノアが泣かせた!」


「もう!ノアちゃん!泣かせないの!」


私が変だから…困らせたのかな?


「うるせー!俺は、泣かせてねー!というか、ノア『ちゃん』じゃねえー!」


声もこの心地よさも、全て…。私が、求めていたものかもしれない。


私は、いてもたってもいられず、座っていたところから下りよたよた歩きながら、『ノア』と呼ばれていた男性に飛び込んだ。

「な…!な…何…やって…!」


焦っているようだった。でも、どうでもよかった。

なんだか、自分の存在…生きていることが、この温かさで伝わっているようだった。…温かい…とても…。その時、また涙がこぼれた。


わからない。記憶がないのに、懐かしい心地だった。


「えっと…。だ…大丈夫か?」


頭の上で焦った声が聞こえる。男性は体を離し、私の顔のところまで少しだけしゃがんだ。

すると、後ろにいた女性が私を抱きしめてた。


「ノアちゃん!怖がってしまうじゃないの!」


必死すぎてなんだかあったかかった。

その時、抱きしめられていた人からグゥ~と音が聞こえた。


少しの沈黙のあとに焦ったような明るい声が聞こえた。


「サッ!ご飯にしましょう!みんな行きましょう~!」

彼女は、私の手を引き、スタスタと歩いて行った。


「おなかの音をなかったことにしてる…。」

「知られたくないんじゃないか…?」

「まあ、フィーは一応女だからな。」


歩いていた『フィー』という人はピタッと止まり言霊のように発した。


「は・や・く・い・き・ま・しょ・う?」


笑顔で言っていたが、まったくもって目が笑ってない気がした。

恐怖したのか、その場が氷ついた。


「「「……はい……」」」


後ろにいた人達はそれを見ていたが、「クク…も…ダメ…」と肩震えながら笑っていたり笑いをこらえていたりした。

中には、幸せそうな顔(?)をしている人がいた。

…どうなって…?と私は不思議でしょうがなかった。


そんなことよりも…この手を放してほしい。だけど、力が入らずつれていかれた。


歩いていくうちに、何かのにおいがした。…何のにおいだろう?

すると、たくさんのものが並んでいる大きな部屋についた。


「ここはね…食堂というところよ!」

…しょ…くどう…?私は首をかしげた。


「まさか…知らないの?」

私はそのまま首をかしげた。


「ここはね、みんなで食事を…ご飯を食べるところよ。」

『フィー』という人は食堂の意味を教えてくれたらしい。


後ろのほうでは、「なんで食堂を知らないんだ?」など言っていた。

そんなに珍しいことなのかな?と思いながらも説明を聞いていた。


『イス』と教えられたものに座ってみた。

近くでも「イスのことも知らないなんて」と聞こえてきた。


「おい!お前らうるさいぞ。」

『ノア』と呼ばれていた人が言葉を発しながら歩いてきた。


「ごめんな?こいつらは優しい奴らだから許してほしい。」

私の心臓は破裂する


「自己紹介しましょう!この子も途惑っているだろうし。」

元気に通る声だった。


「私はフィーネ!よろしくね!」


私はこくりとうなずいた。よろしくの意味を込めて。


騒がしいほどの元気さ。

この人は、エメラルドグリーンのような髪と目が特徴だった。


次に斜め前にいた人が話した。

「僕は、ナヤル。よろしく。」

「俺は、ライエルだ。」

「俺は、ツグル。俺たちは、三兄弟なんだ!」


この人たちは、さっきまで部屋で固まっていた人たちだった。

ナヤルという人は、紫色の髪をしていた。目も同じ色のようだ。


シディという人も、黄色の髪もしていて、目も同じだった。


ツグルという人で、髪の毛の色はオレンジ色だった。

けれど、不思議なことに目の色が両方違っていた。

右には黄色、左には紫色だった。

思わずじっくり見ていた。不思議と魅了されていた。


その視線に気づいたツグルが話してくれてた。

「びっくりしたー?俺の目は、兄ちゃんたちの目の色が入ってるって感じ。この目のせいで、いろいろと迷惑をかけたよ。」


ザァ――――――――――――――――。

何かの音とともに脳裏にツグルに似た色とは違うけども両方とも色が違った目をした人物が笑っていた。


私は、目を見開いて、彼のことを凝視していた。


あの人は、誰だか忘れてしまったけど…すごくもやもやした。


懐かしいとは裏原に心が沈下していく感覚だ。


「どうしたの?顔色がよくないようだけど。」

私の顔を覗き込み、首をかしげながらフィーは尋ねてくる。


『何にもない。ごめんなさい。』


声を出したつもりが、自分にも聞こえなかった。もう一度、おなかに力を入れて声を出した。


「な…にもない。ごめ…んなさ…い」


今度は、声が震えてしまったようだったけど、ちゃんと言うことができた。


「・・・・・・・・・・・」

その場がしーんとしたが、歓喜の声が響いた。


「「「しゃべった~~~~~~~~!」」」


部屋中に「声かわいい」や「やばい…惚れそう」などの声が飛び交う。


「何もないならいいのよ~~~!」

うれしそうな声で抱きしめてくる。だけど、当たっている部分がとても苦しい。この人は、怖いし…危ないな。


その時、私が最も話したかった相手『ノア』が焦った声で言った。

「ちょ…フィーネ!!彼女を殺す気か!?」

「・・・はっ!だ…大丈夫!?」


『ノア』は、呆れた顔でこっちに歩いてきた。


「ごめんな?こいつバカだからさ。本当はいいやつだから。」


そう言って離れて行ってしまった。

「何がバカよー!」とフィーネは言っていたらしいが、私にはその声は聞こえなかった。


『ノア』が話す一言一言に優しさがあって、くらくらしそうで強く頭を打たれたような感覚だった。

その後、私はただただ立っていることしかできなかった。











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