発売記念SS・勇者達と露天風呂
本日!
物理ヒロがついに発売されました!
ということで、発売記念SSです。
昨日の夜に、大腿前部を火傷してしまったので投稿が大幅に遅れてしまいました……、
めっちゃヒリヒリする……(泣
第八一階層にある温泉街――そこは最上層の貴族も立ち寄ると言われる魅惑の土地。
そこへオルト達一行は、日頃の疲れを癒す為にやってきていた。
「いやあ、どでかい露天風呂が貸切とはなあー。俺達、運がいいな」
「はっはっはっ! いや、全くだな!」
誰もいない広い露天風呂――オルトとラッセルは一糸纏わぬ姿で湯船に浸かり、日頃の疲れを癒すように寛いでいる。
頭にタオルを乗せて、風呂の浮力に身を任せているオルトは、湯船からやや離れたところで体を洗うラッセルに目をやった。
「……お前、また筋肉が付いたんじゃねえか?」
「ぬ? はっはっはっ! まあ、鍛錬は怠っていないからな! 貴様はどうなのだ?」
ラッセルは挑発のつもりか、自身の広背筋を隆起させて尋ねる。
ラッセルのむきむきな広背筋が唸りを上げ、露天風呂の水気で照り輝く。
「おいおい、てめえは誰に喧嘩売ってんだあ?」
オルトはその場から立ち上がり、よく発達した僧帽筋から前腕の筋肉を見せびらかすようにポージングを取る。
上半身の筋肉はもちろんだが、下半身の筋肉もまた彫刻めいた美しい造形をしていた。
とくに見事なのは、盛り上がった大腿四頭筋だ。
ラッセルは僅かにたじろぎつつも、負けじとポージングを取る。
「はっはっはっ! これは……どちらの筋肉がすごいか勝負するしかなさそうだな!」
「おお、臨むところだ」
こうして暑苦しい筋肉バカ二人の戦いが勝手に始まったわけだが……その頃一方、お隣の女子風呂ではレシアが淵に腰を下ろし、脚を組んで夜風に当たっていた。
足だけは湯船に浸かっている状態で、所謂、足湯を楽しんでいた。
「ふう……気持ち良いですわね〜」
レシアの向かい側で、首まで湯船に浸かっているエレシュリーゼが呟く。
隣にはモニカが座っており、浮力のせいか大きな胸がぷかぷかと浮いていた。
それに気付いたレシアとエレシュリーゼが思わず、「なっ……」と同時に戦慄した。
二人とも決して小さくはないし、全体的なバランスを見れば程良い。というか、完璧な大きさだと言える。
しかしながら、モニカのダイナマイトボディを、間近に見てしまうと――なんとなく自身がなくなってしまう。
「あれ……? な、なにか……?」
そんな二人の視線に、モニカが居心地が悪そうに胸元を隠す。
二人はつーっと視線を逸らし、誤魔化す為か咳払いした。
「はあ……やっぱり、オルトって大きな方が好きなのかな……」
レシアはポツリと呟やきながら、男湯の方に目を向ける。と、なにやら男湯の方が騒がしくなり、レシアは首を傾げた。
「何をやっているのでしょうか? あの二人……」
「さあ……? オルトさんとラッセルさんのことですし、筋肉自慢をしているのでは?」
「うわあ……想像できるなあ……」
レシアの問いにエレシュリーゼが答え、モニカが苦笑を浮かべた。
実際、オルトとラッセルはお互いの筋肉を見せつけあっては、どちらが上かを競い合っていた。
レシアはそんな下らないことをしている男湯の方を眺めながら、ふと……想像する。
「筋肉……」
脳裏に浮かんだのはオルトの体だった。
オルトくらい強いと、きっと腹筋はバキバキに割れていて、上腕の力こぶもさぞかしすごいのだろう。
「筋肉? が、どうかしましたの?」
レシアの呟き声が聞こえていたのか、エレシュリーゼが尋ねる。
「え……あ、いえ……大したことじゃないです……けど。オルトくらい強いと、筋肉がすごいのかなと……お、思いまして……」
「レシアさんって、ひょっとして筋肉フェチですの?」
「ち、ちが……っ!?」
慌てて否定の言葉を口にしようとするレシアだったが、モニカがその前に口を挟んだ。
「いいと思うなあ……私は。力強い男の人って、憧れちゃうなあ……」
「まあ……ヒョロっとしているよりかは、その方がわたくしも好ましいですけれど隆起。そうなると……なんだかオルトさんがどれくらい筋肉があるのか気になってきましたわね……」
エレシュリーゼは顎に手を当てると、男湯の方に視線を向ける。モニカも吊られ目を向け、ハッとなる。
「ま、まさか……の、覗くのは良くないと……!」
「そ、そんなことしませんわよ!? モニカさんはわたくしをなんだと思っていますの!?」
「覗く……」
レシアは、その発想はなかったとばかりに手を打つが――いや何を考えているんだと頭を振った。
と――男湯の方から怒鳴り声が響き渡る。
『うるせえなあ! 俺の方がマッチョだろうが!』
『なにを言う! 貴様のヒョロっちい体のどこがマッチョだ! どう見ても俺の方がマッチョだ!』
『なんだとこの野郎!!』
『ぬ!? やる気か!?』
『上等だボケエ!!』
と、その直後。
ズガンッという大きな音とともに、男湯と女湯を隔てていた柵が吹き飛んだ。
「あ」
「え」
レシアとオルトの目が合った。
お互いに一糸纏わぬ姿を晒し、見つめ合うこと数秒――。
「こ、この……変態! スケベ! オルトのバカー!!」
「いった!? ちょ……お、お前! 俺に特攻効果あるの忘れてるだろ!? 本気で殴るな!」
「うるさい! このバカ!」
「いって!?」
オルトは折角、日頃の疲れを癒しに訪れたというのに、青痣を作ることとなってしまった。




