表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/72

十話 正義の遺体



 俺はただジッと、レシアが帰ってくるのをリビングで待っていた。

 エレシュリーゼとモニカも一緒に、重苦しい空気の中で、ただ待っていた。

 レシアが帰ってきたら、真っ先に謝ろう。

 確かに、よく喧嘩もするし、レシアが悪い時もある。しかし、今回は全面的に俺が悪い。だから、素直に謝ろう。

 そう決めて、どうやって謝ろうか、頭の中でぐるぐると考え続けた。

 レシアが帰ってくることを信じて。

 しかし、レシアは帰ってはこなかった。





「遅いですわね……」

「探しに行った方が……」

「…………そうだな」


 二人も帰ってこないレシアが心配なのだろう。俺が立ち上がると、二人とも喜色の笑みを浮かべた。


「そういいえば、帰ってこないと言えば、ラッセルさんも遅いですわね?」

「あ……そういえば。いつもはこのくらいの時間には帰ってきてたような……」

「まあ、あいつのことだから、どっかでお節介でも焼いてんだろうけどな」


 俺達がラッセルを見つけたのは、そのすぐ後のことだった。

 レシアを探して歩いていると、街灯の明かりの下で倒れているラッセルを見つけたのだ。


「なっ……」

「ら、ラッセルさん……!」

「ど、どうしたの……!? 大丈夫!?」


 モニカがいち早くラッセルのもとに駆け付け、容態を確認する。遅れて、俺とエレシュリーゼが駆け付けると――モニカが目を見開いた。


「し、死んで……る……! ラッセルさんが……! し、死んで……!?」

「そ、そんな!? ほ、本当ですの!?」

「ま、間違い……ないです……! みゃ、脈が……」


 モニカはラッセルの首筋に指を当て、脈拍がないことを確認したようだ。うつ伏せで倒れているラッセルの横顔には生気がなく、瞳孔が完全に開いていた。


「そ、んな……な、なぜラッセルさんがっ……」

「が、外傷がない……どうやって、ラッセルさんを……!」


 涙を流す二人を他所に、俺はラッセルに近寄る。

 よくその体を観察してみると、首筋のある一箇所だけが紫色になっていた。

 推測できるのは、即効性の毒か……。

 俺はモニカに、


「悪いけど毒消しの魔法を頼む」

「え……? で、でも、そんなことしても……」

「いいから」

「あ、う、うん……。えっと、『キュア・ポイズン』」


 モニカのかけた魔法がラッセルの体を包み込む。すると、首筋にあった変色跡がなくなった。それと同時に、ラッセルが動き出す。


「はっはっはっ! 俺! 復活!」

「ええっ!?」

「ふええ!?」


 エレシュリーゼとモニカが、同時に奇声を発して驚く。まあ、さっきまで死んでいたと思われていた人間が、突然復活したのだから無理もない。


「ったく、返事くらいしろよな? 俺も少しだけ心配になっちまったよ……ったく」

「はっはっはっ! すまなかったな! ちょっと余裕がなかったのだ! はっはっはっ!」


 全く呆れた奴だ。

 雪崩でも、溶岩でも、高所から落ちても死なない男が、毒で死ぬわけがない。限りなく死にかけてはいたようだが……。


「てめえが死にかけるったあ、穏やかじゃあねえな」

「ああ、実はだなあ――」

「って、なに普通に会話してますの!?」

「そ、そそそそうだよ!? わ、私さっき確かに――」


 二人の驚きようにラッセルが首を傾げる。そんなラッセルに、脈がなかったことをモニカが言うと、


「ああ、それはそうであろうな。なにせ心臓を止めていたのだから。脈があるわけがない。はっはっはっ!」

「し、心臓を……!?」

「止めてた……!?」


 これは俺の予想通りだった。

 恐らく、心臓を止めることで血液の流れを止めていたのだから。毒が全身に回らないようにするための緊急措置だ。半分は死んでいたも同然である。


「まあ、俺のことはいい。それよりも、オルト。大変だ」

「おおう、なんだ?」

「レシア殿が攫われた……俺が不甲斐ないばかりに……」

「え?」


 え?


 その後、ラッセルから詳細を聞いた俺は……激しく自分の顔面を殴りたくなった。

面白かったから、是非ブックマーク、ポイント評価の方、よろしくお願いします。

やる気……出ます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ