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異世界を生きる  作者: まさやん
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始まりの場所

作者の海外を旅している時に起きた、聞いた実体験、サバイバル知識をひとつまみ織り交ぜて、この異世界で生き残るブチファンタジーとなっております。


達筆自体初めてなので、色々と拙いと思いますが温かい目で見守っていただけたら幸いです。

 目が覚めたとき、見知らぬ風景が目に飛び込んできたら貴方はどうするだろうか?


 きっと二度寝だろう。 だってこれは夢なんだから。


 そうに違いがない。


 もう一度布団の柔らかさに身を委ねようと、倒れ込む。 しかし僕の左半身から感じられるのは柔らかい地面と枝などのゴツゴツとした痛い感触だった。 その痛みは僕を徐々に覚醒させていく。


 僕はもう一度回りの景色を見回す、青々と木々が生い茂り木漏れ日を煌めかす、凡そ人の手が入ったとは思えない地形には苔がむしている。 むせ返るほどの濃い緑の臭いが僕を包んでいた。 いったいここはどこなんだ。


 寝る前と同じ格好だし、ここは僕の寝室ではない、布団もない。


 なんで僕はこんなところに?。 ここはどこなの?。


 やはり、まだ夢なんだろう。 そう思い陳腐だが頬を叩いて目を覚まそうとするが、頬が痛いばかりで何も変わらない。


 いよいよ本当に夢ではない、いったい何が起きたんだ。 理解の及ばない事柄が不安と焦燥を湧き立てる。


 不安に目がくらみ、焦燥に呼吸を乱される。


 うごかなくては。 僕はどうにか自分でこの状況を打破しようと決意した。


 云うことを聞かない足を無理やり動かしよたよたと歩き出す。


 人工物はもちろん無く、見渡す限りに広がる自然。 人のテリトリーでは間違いなくない。


 風と木々の揺れる音のみが充ち満ちている。 野生動物は間違いなくいるだろう。


 僕は取り敢えず、立ち上がりその辺の折れた木の枝を拾う。乾燥していて頑丈なものを手に取り、その辺の木を叩きながら歩く。


「困ったな、なんでこんなとこにいるか検討もつかないし、迷子だな」


 もう一度周りを見わたす。


「いや遭難だぞこれ」


 幸い腕時計をしたまま寝ていたため方角はある程度分かる。 しかしこんなことわかっても、行き先が分かっていなければ何のの意味もない。


「靴が無いのは怖いな、でも仕方ないか上に行くしかない」


 現在位置を知るために僕はこの森だか山だかを登ることにした。 遭難したら川を探して下れなんて言うこともあるが、あれは宜しくない。 天候が悪くなれば氾濫するし。 素直に降れる地形とも限らない。 こう言うときは見通しの良いところに行き先きを決めて動く。


 僕は足元に注意しながら、高いところ目指す。 木に登っても良いが、一人でいる以上落ちて怪我をした時致命的なので歩いて上を目指した方がいいだろう。


 時おり持っている木の枝で樹木を叩き歩き続ける。 僕はここにいると動物たちに伝え歩き進む。


 時計の時刻は10時を報せている。 静寂の中僕の木を叩く音だけが響き渡る。 時おりなにか動物がおとに驚き何処かに走り去っていくが、この森は本当に文明の痕跡がない。 もしかして、富士の樹海なのか? 行ったことないからどんな所か知らないけど、そもそも、生えてる木が日本の物に見えない。


 樹木の間からちらりと見えた大きな山は富士山なのだろうな、かなりの標高がありそうだ。


 危険な野性動物がいるかも知れない事と把握できない自分の状況に、精神をすり減らす。


 それに加えて喉の乾きと空腹、最悪の状況と状態に堕ちていく。


 無理矢理によじ登った場所もあるが、どうにか開けた場所に出た。 来た道を戻るのは難しそうだ目の前には日本の富士山ではない立派な山々がそびえ立っていた。 樹海じゃなかったようだ。 しかしどこの山なんだこの山? 日本にこんな山あったのか?


 剣山のように突き出た岩たちが稜線を多い尽くしている、ひどく脆そうに見えるそれを僕は見上げ。


 生い茂っていた苔はいつの間にかいなくなり砂利道が続く、森林限界に入ったようだ。


 足の痛みに歩みが遅くなる。 まだ怪我をしてないだけましだ。


 時刻は昼を過ぎた辺り、僕は幸運にも登山道のような道を見つけた。 そしてその道の先に町のようなもの見つけた。 日暮れまでに踏破できそうな距離だ、むしろしなきゃまずい。


 振り返った僕の来た道の向こうには大きな森が広がっていた。 絶対に野性動物はいる、間違いなくいる、熊とか。


 僕はその道の歩き始める。


 気合を入れて歩き出してすぐの事、足に違和感を感じ立ち止まって足を観てみる。


 最悪だ。


 なにか虫に足を噛まれたようだ、右足の土踏まずの辺りが晴れだしている。 その真ん中には赤い点がひとつ。


 それでも、まだ止まるわけにはいかない。 止まるにしても、もう少し人里に近づかないと。


 なんで僕はこんな辛い思いをしているのだろうか、こんな理不尽な出来事に涙を流しそうだ。


 時計は三時を指している、また森のなかに入り道も分かりずらくなるし、足の腫れは治まらず。 対して距離も稼げなかった。


 このまま歩き続けるのは無理だ、火を起こさなくちゃいけない。


 こんなにも苔のむす土地で乾いた木を火を維持するだけの量を探すのは手間がかかった。 地面を少し掘り、回りに石を並べ、乾いた木の皮を裂いて細かくし燃えやすくしておく。 原始的なやり方だけど木を擦り付け合い火を起こす、火口にポケットに入ってた糸屑たちを使う。 糸屑が終わりそうになる直前どうにか火が起きる。 安堵のため息が出る。


「あー、ついた。 しんどい、足痛い。 なんだよここ、帰りたいよー」


 火に木をくべながら愚痴と涙がこぼれる、寝間着のまま見知らぬ土地の森の中で夜を迎えてしまった、あまり進展しない状況の悪さに不安は大きくなり、やがて恐怖となっていた。 誰にも見られはしないというのに膝を抱きかかえ咽び泣く。 誰にも見られない、自分一人しかいない、そのことに気が付き更に悲しくなった。


 火が大きくなるにつれて、僕の心も落ち着きを取り戻していった。


 涙に濡れた場所も焚火の熱で乾く、空も少しずつ暗くなっていく。 ここが何処かわからないけれど、6月にしては肌寒い、身を丸め焚火に近づく。 日は沈みすっかり暗くなって、燃える火を見ながらここが何処なのか考えていたとき、木から飛び立つ鳥の羽音に驚き上を見た。


 僕はここが何処かは解らなかったが、ここが地球じゃない事は解った。


 頭上に輝く2つ月。


「なるほど、まだ夢の中か」


 もう考えるのも何もかも嫌になった、僕はそのまま地面に倒れ込み空に浮かぶ二つの月を見ながら眠りに落ちた。



 小鳥の優雅なさえずりで目が覚め、目に入る景色がいまだ森なことに肝が冷える。


 やはり現実なのか、昨日の夜見た2つの月を思い出す。 信じたくはないが思いつく事は1つ、ここは違う惑星なのか。


 そんなわけ無いと、自分の考えを振り払う。


 先ずは生き残らなくては、そして自分の置かれた状況を突き止めなくては。


 腫れた右足は昨日より悪化していた。


 生き残らなきゃ、あいつのためにも。


 昨日集めた焚き火用の枝を杖に歩き出す、目指すは昨日見つけた人里へ。


 程なくして僕は力尽きた。


今回の元ネタ。

オーストラリアのタスマニアはローセストンで裸足で走り回って遊んでいたときにアリに足を刺されエライことになった。

 ヒアリではないかと言われていたが、すぐに腫れが引いたり少し熱が出るくらいだったので何だったかは分からずじまい。

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