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4人の婚約者候補と2人の王子(3)

間があきました。ブックマークや評価ありがとうございます。

お茶会の次の日にはホソカワ公爵家からお詫びの手紙が届いていたが、それから数日も経たずに王子を呼ばない婚約者候補達だけの非公式のお茶会のお誘いがナツの名前で送られて来たのだった。


ヒヨシ男爵令嬢の件もあって返事をためらっていたアナスタシアだったが、同じ様に躊躇っていたモエの方にも別の方面からお茶会にアナスタシア共々参加してもらえないかと打診があったようで、心進まない中だがお茶会に参加する事になったのである。


お茶会当日、ホソカワ公爵家へ伺うと何故か離れのような所へ案内された。そこは周りが庭園になっており一見花々が咲き乱れて華やかに見える場所であったが、まるで隔離されたような空間でもあった。


「このたびは、おいでいただきありがとうございます。」


ナツは相変わらず小さい声で怯えたようにアナスタシア達にお礼の言葉を述べる。その傍らには例のヒヨシ男爵の娘ではなく、眼鏡をかけた彼女に妾の娘と呼ばれていた侍女が寄り添っていた。


「ナツ様ご招待ありがとうございます。」


アナスタシアは少しでもナツの緊張が和らぐよう優しく微笑んで挨拶を返すと、恥ずかしそうに頬を染めてナツが微笑み返す姿に抱きしめてあげたくなるような可愛らしさを感じるのであった。


お茶会の席には、あの場にいたもう一人の婚約者候補であるエリザベスも招待されていた。


「わらわは回りくどい話が嫌いでな。単刀直入にわらわ達を呼んだ訳を聞かせてもらおうと思うのだが、両名はいかがかな?」


エリザベスは自身の炎のように赤いみごとな髪が与える印象の様に、活発で強引な女性であるようだった。彼女の言葉にアナスタシアとモエは了承の頷きを返した。


「ナツ様に代わりまして、私が説明を致します。ご了承いただけますでしょうか?」


そう言って、そばにいた眼鏡の侍女が話はじめた。


「先日は、私の姉が御迷惑をお掛けしましたことを、改めてお詫び申し上げます。私はヒヨシ男爵が外で作った娘でチエと申します。ホソカワ家とヒヨシ家は縁続きと言うこともあり、ナツ様付き侍女としてお側に置いて頂いております。」


チエが言うには、ナツはホソカワ公爵の娘ではなく、前公爵の娘、現公爵の妹であること。そしてチエと同じように前公爵が囲っていた愛人との間の子供で、現公爵は厄介払いをするために今回の婚約者候補に立てて箔をつけさせ、持参金が少なくお嫁に行かせるつもりとの事だった。


ヒヨシ男爵の娘がなぜ侍女に付いていたのかは、どうやらアナスタシアがアケボシに距離を置かれていた場面を見て機会さえあれば自分にもユージンの隣に立つ機会があると信じ込んでしまったが故の暴走だったそうである。


「半分のみの繋がりの妹ですが、あそこまで愚かだと思っておりませんでした・・・」


そう言ってチエは呆れたような、やや冷たさを感じる声で姉を評したのだった。


「やはりここは隔離されていたのですね。ナツ様の年よりも幼い感じを見ると、もしかして今より待遇が悪かったのかしら?」


「左様でございます。ろくに教師も与えられないままでございました。食事もとりあえず死なない程度に与えられていた様でございます。この話があったことで待遇も良くなりましたが、妹の一件で婚約者候補から外れますと再びお嬢様はひどい扱いを受ける事が分かっております。私はそれを避けたいと思って厚顔ながら皆様方のお力添えをいただきたいと思ってこの場を設けさせていただきました。」


どうやらこのお茶会はこの侍女の手によって手配されたものだったようだ。それにしても愛人の子とは言え、血の繋がった妹に対する扱いでは無いと会ったこともないホソカワ公爵にたいしてアナスタシアは怒りを覚えたのだった。


「冷遇の原因はその髪の色ではないのかな?」


そうエリザベスが切り出した、ナツの髪はとても綺麗なストロベリーブロンドでジハネでは見かけない色ではあった。


「その色はわらわの国か隣の国の王族の血筋にしか出ない色だ。王族以外の血が混ざっても3世代まではその色が残ることを考えると、ナツ様の母上は確実に王家の血を引いたこの国以外の方だったのだろう。」


エリザベスの言葉にチエは驚いた顔をして、そして申し訳ない表情で答える。


「実はナツ様に母親については詳しい事は分からないのでございます。ナツ様をお産みになってすぐ鬼籍に入られております。後ろ盾もない為ナツ様はこのように冷遇されているのでございます。」


「なるほど・・・わらわと縁するかもしれぬ娘だ。これからはわらわを頼るがよい。」


「私も力になりますわ。このような小さい子を厄介者扱いなどと・・・」


「同じ公爵家として、知らずに歯痒いですわ。私の父に伝えておきますので、ここから出た方が良いですわ。」


「そうじゃな・・・早い方が良かろう。明日にでもわらわの血縁かもしれぬので、屋敷に来るよう手紙をホソカワ公爵にしたためよう。とりあえず、婚約者選定の間はわらわの屋敷で友好を深める為と置きとどめることにすればよかろう。」


ナツを救う為にトントン拍子に計画が進んでいった。ナツは何事が起こっているのか理解出来ていない様だったが、チエは涙を浮かべしきりに感謝の言葉を伝えていたのだった。


そうしてお茶会から数日後にはエリザベスの計画通りに事が進んで行くのである。


ユージン達は後からこの話を知らされて戸惑っていたが、別の方向から手を差し伸べてくれた。ナツが受けていた扱いを調べてくれ、ホソカワ公爵に対してそれとなく釘を刺してくれたのだった。


ナツはエリザベスの邸宅に移ってからは、今までの小動物のようなおどおどしさが少しずつ抜けてきているようだった。ただし公爵の手前、婚約者候補からは外れず引き続き選定の場に出る事になっているのだった。


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