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キラめけ!トランスファイター  作者: 美作美琴
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第1話 僕の親友がこんなに可愛い訳が無い

「よっ!久し振り!」


玄関のドアを開けた僕、泉アキラの前には美少女が立っていた。

ミニスカートのセーラー服を着たその少女は

さらさらのロングヘアーに真っ赤なカチューシャをしていて

くりっとした大きめの瞳と、ぷりっとした形のいい唇に見とれてしまった。

ただ、久し振りと言われても高校二年になるまで女の子に縁の無い

チビで童顔の僕には心当たりが全く無かったんだ。


「何だよアキラ~暫く会わなかっただけで親友のオレの事を忘れるか?普通ー!」

「へ?」

「あ、ワリ~ワリ~こんな格好してたらワカンネ~よな!俺だよイツキだよ!イ・ツ・キ(はぁと)」

「え~???ちょっと待ってよ!あの空手少年だったイツキが何をどうすればそんな美少女になっちゃうんだよ!」


言われてみれば何とな~く面影と言うか雰囲気と言うかイツキのそれを感じなくもない。

妹ですとか従妹ですと言われれば信じてしまいそうではある。




僕の親友、天原あまはらイツキとは幼稚園からの腐れ縁だ。

勉強はあまりと言うかかなり苦手だけどスポーツ、特に格闘技の才能は抜群だ。

対照的に僕は勉強はそこそこの運動音痴、家に籠ってゲームばかりやっている。

だけど僕らは不思議と馬が合ってよく一緒に遊んでたっけ。

よく僕がいじめっ子にいじめられた時はいつもイツキが助けてくれた。

しかし約ひと月前冬休みの初日、僕の部屋で二人で新作の格闘ゲームを遊んでいた時の事。


「うお~!何だこれスゲーな!気を掌に集中して弾みたいに飛ばすなんてよ!」


イツキは体育会系に多い、アニメやゲームにあまり馴染みのない人間で格闘ゲームなんて初めて見たそうだ。

目にも止まらぬ連続キックや、相手を掴んだまま空高く飛び上がり回転しながら地面に叩き付ける必殺技が画面上に展開される度に歓声を上げ続けていた。

今時珍しいヤツと微笑ましく思ったりもしたけどちょっとうるさい…


「オレもこのゲームの登場人物みたいな超人じみた技を習得したい!」


は?何を言ってるんだコイツは。


「そうと決まればこうしちゃ居られねえ!オレは修行の旅に出るぜ!あばよ!」


そう言い終わるか終わらないかのうちにそのまま部屋を飛び出していってしまった。

そうしてイツキは僕の前から居なくなったのだ。




「まっ…まさかその格好が…修行の…成果なのかい?」


まだ目の前のセーラー服美少女をイツキと認めた訳ではないけど動揺しながら問いかける。


「おっ!流石アキラ、察しがイイな」

「やっぱり本人かよ!」

「いや~一ヶ月間色々試行錯誤したんだけどよ~スピードと手数で攻めるのがオレの性にあってるらしく

てな?気が付いたら女キャラに成っていたわけよ」

「いやいや!それはおかしいだろおおおおおお?」


何その「格ゲーのキャラを一通り使ってみて女キャラが使いやすいからマイキャラにしました」みたいにサラッと言って…強烈な目まいがしてきた…駄目だコイツ早く何とかしないと。


「イツキ~まだ話はつかないのかニャ?早くするニャ」


セーラーイツキの足元から気の抜ける様な甘ったるい声がした。

声がするまで全く気が付かなった!一瞬にして変な汗が出る。

そこにはイツキのミニスカートから伸びた太ももにしがみ付いたゴスロリネコミミ幼女が居た。


「驚かせてすまんニャ気配を消してたからニャ~」


まるで猫が顔を洗う様な仕草をしながら言う。


「スンマセン師匠!これから話しますんで」

「師匠!?」


思わず声が上擦った、何言ってんのコイツ?


「紹介するぜアキラ、このお方がオレに一ヶ月間修行を付けてくれた師匠のカグラ様だ!」


何故か誇らしげなイツキ…紹介されたネコミミ幼女も腰に手を当てエッヘンと胸を張る。


「もっと尊敬の眼差しを向けてくれても良いのニャよ?」


ゴメン…多分その時僕の目は白目向いてたと思う。


「こんな幼女に格闘技を習ったの?」


ネコミミ幼女を指さしつつイツキを問いただす、とてもにわかには信じられない。


「ああ、女装の方もな」


サムズアップして微笑むイツキ、そんな答えは期待してないのだが。


「それにカグラ様は幼女じゃなくて50過ぎのおっさ…」


そう言い終わる前にイツキが僕の視界から一瞬にして消え地面にめり込む。


「そう言う情報は要らないのニャ!」


どうやらイツキはこの女装ゴスロリネコミミ50オヤジに目にも止まらぬ速さで殴り付けられた様だ。

見た目は完全に可愛らしい10歳前後の少女にしか見えないのだが、イツキの外見が女子高生になってしまっている事実を考えると有り得なくはないのか?

段々と頭の回転が追い付かなくなって来た。

何?何なの?この異常な状況!


「酷いなカグラ様、あ~そうそう話を戻すわ!」


イツキは何事も無かったかの様に立ち上がり改まって話し出す。


「実はさっきこの格好のままオレん家帰ったら…親父から勘当を言い渡されちゃって…」


シュンとするイツキ…目には薄っすらと涙が浮かんでいる。

カッ…カワイイ…はっ!待てコイツは男だぞ!いくら顔が可愛かろうが太ももが眩しかろうがあのイツキだぞ!あの親友の!


「お願いだから暫くアキラん家に泊めてくんないかな?」


イツキが何か言っていた様けど、僕は一遍に起こった色々と異常な出来事とイツキの女装姿にときめいてしまった自分にパニックを起こしてしまいそのまま意識が飛んだ…


「おい!アキラ!どうしちゃったんだよ?起きろ!おい!」

「女の涙は武器と言うニャがチェリー君には刺激が強かったかニャ?」


目薬を片手にニャ~っと微笑むネコミミ幼女。


チクショー!憶えてろよ…ガク。


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