キリノナカ
「…そのリスクってやつ、少し予想がついてます。」
先程までの自分の暴走。コントロールを失って勝手に体が動いた事が頭に浮かんだ。
「…さっきのナツキの動き、自分で思い通りに体が動かなかっただろ?」
思った通りの菅野の返答に俺は目線を少し落とす。出来れば違ってほしかったが…。それは淡い期待というものだ。
「インストールが済んでいない状態で能力を使おうとするとそうなるらしいんだ。」
俺の脳に絡み付いていた疑問の糸がほどけたような感覚。俺は無意識のうちに花澤の力を使おうとした結果ああなってしまったのだ。そう思った瞬間、次は不安の糸が脳に絡み付く。
「…でも自分ではダウンロードとかインストールってものの意識がないんですが…?これじゃあまたいつ暴走するのかわかんないっす…。どうすればいいっすか?」
自分が怖くなる。俺は右手の拳を握っては開いてを繰り返す。不安な時こうするのは俺の癖だ。
「…すまないがそれ以上は俺にはわからない。無責任だと思うかも知れないが俺は“鳥海”ではないからな。流石に頭の中の事まではわからないんだよ。」
言われてみればその通りだ。むしろここまで教えてくれた事に感謝すべき筈なのだが、素直に納得することが出来ない。まるで導火線に火が着いた爆弾を手渡されたような気分だ。
「…自分で確かめるしかないってことですね。」
言葉に出したが、正直確かめようがない。
まるで深い霧の中に取り残されたような感覚。




