ダウンロード
「その能力の名はダウンロード。ハルカはそう呼んでいた。」
菅野は灰を灰皿に落とす。
一つの真実に辿り着いた。俺は姉さんと同じ力を持っているらしい。意識をしたことは無かったがここ最近違和感は感じていた。
「一度見た相手の特性を自分のものにすることが出来るんだ。但し、ダウンロードが終わってもすぐにその能力を使うことは出来ない。」
「風間さん以外の能力が上手く使えないのはそういう理由があったんすね。」
「そうだ。ダウンロードした能力を自分のものとして使うには“インストール”が必用になるんだ。」
「インストール?」
「とは言ってもインストールは自分で意識して進められる訳では無い。あくまで自分の深層心理、見たものを自分で理解して使えるように落とし込む期間なんだ。」
「なるほど…。」
「そして俺がナツキにこの能力の内容を教えるのを危惧してたのにこれが関係している。」
ここで菅野のタバコの火が根元まで達する。菅野は灰皿にタバコを押し込むと、パチっと蓋を閉めてポケットにしまう。
俺は菅野の話を黙って待つ。むしろそのタバコの一連の動きが、俺にはまるで話を勿体ぶっているような気がして少し嫌だった。
それを知ってか知らぬか。菅野はゆっくりと話始める。
「意識をするとインストールが遅くなるらしいんだ。まぁ、これはハルカの場合だからナツキに当てはまるかはわからないけど。だから周りの誰もその能力を教えなかったんだろう。」
なるほど。それなら姉さんの事を皆が隠していた事も合点がいく。俺は顎を押さえて納得する。
すると菅野は俺の肩に手を乗せて真っ直ぐこちらを見つめる。そして話を続ける。
「但し、その能力にはリスクも存在する。」




