イダイナルセンジン
菅野は槍を構えると、そのまま静止した。
さて、俺はここからどう崩すのか…。まるで他人事のように考えてた。
俺はゆっくりと走り始めると、段々とスピードを上げていく。
そして菅野の5メートル程手前で側宙をしてから脚のバネを思い切り使って跳び上がった。
高い。
こんなに高く跳んだことは無い。まるで体操選手のようだ。グルグルと回る視界に少し気分が悪くなったが仕方がない。今はどうすることも出来ないのだから。
そしてそのまま空中から菅野に向かって竹刀を降り下ろした。回転も相まって威力は相当なものになっているに違いない。
だが菅野はそれを冷静に迎撃した。空中の俺に向かって槍を突き出したのだ。
常人ならばここで終わるのだろうが、今の俺はこれでは止まらない。
自分でも大体察しはついているんだ。
この動きは明らかに花澤のものだということに…。
俺は空中で菅野の槍を下に弾くと、そのまま槍に右足を乗せた。俺の体重が槍に乗り、勢い良く畳に向かって落ちていく。
このままいけば槍は折れる。それが狙いだろう。
だが菅野はここで予想外の行動を取る。自らの姿勢を低くして槍の撓りを最小限に抑えたのだ。すると槍は折れることなく見事に耐えてみせた。
「甘い甘い!!」
菅野はそう言ってから力を込めて槍を引き抜くと、頭の上でグルグルと音を立てて槍を回し始めた。
そして俺の顔を目掛けて攻撃を始める。
速い。目にも止まらぬ速さとはこの事か。
菅野の突きは止まることを知らない。次々と突きを繰り出しながらどんどん前へと進んでくる。
なんとか距離を取ってギリギリでそれをかわし続ける俺だったが、いよいよ背後に壁が迫ってきた。このままでは逃げ場が無くなる。
さて、ここからどうなるか。
俺は右に軽くフェイントを入れてから左に跳んだ。菅野は一瞬反応が遅れたせいで追撃が間に合っていない。
これが槍の弱点だ。突きに関しては最大の威力を発揮するが、横の動きには他の武器に比べるとワンテンポ遅れる。これを踏まえていれば近付けない事はない。
俺はその隙を突いて菅野との距離を一気に詰めた。
すると俺と目が合った菅野はニヤッと笑う。




