ヒャクブ
ギリギリで俺の攻撃を受け流す本田だったが、それも長くは続かなかった。少しずつ本田の体に俺の折れた竹刀は届き始めている。
所々赤く変色した本田の白い肌。いつも容姿を気にしている本田はさぞ嫌がるだろう。俺はその姿を無表情で眺める。
光彩を通り、視神経を経由して放送されるこの映画は酷く退屈なB級映画のように感じた。自分の事なのに他人事。これは俺の意志じゃないのだから…。
その時、本田は足を滑らせ転倒する。汗で濡れていた畳に足を滑らせたのだ。
「くっ!!」
本田は素早く体制を立て直すが時既に遅し。
俺の攻撃は本田の顔を目掛けて進んでいた。
だがそれは本田の目の前で受け止められる。菅野が槍で俺の攻撃を止めたのだ。いや、良く見れば受け止めきれてない。俺の攻撃に押されて本田の鼻に菅野の槍が勢い良く当たった。
「ぶっっ!?ぐぇっ…」
本田は奇声を発しながらその場に倒れた。その鼻からは鮮血がタラリと滴っている。
「…やべっ。…………尊い犠牲だ。」
菅野は槍を構えながら呟いた。
槍か。なるほど。リーチが長い武器ならば俺の攻撃が当たらないと、そういう算段か。…だが今の俺はそう簡単にはいかないと思うのだが…?
「さて。俺が敵から何て呼ばれてるのか教えてやる。百武の菅野。相手に合わせて武器を変えるのが俺のスタイルだ。」
俺はスクリーン越しに鳥肌が立った。
この人は…強い。




