モノガタリ
「…姉さんは何で死んだんですか?俺はそれを知るためにここに来たんです。」
「…やっぱりそうか。ナツキ君はどこまで知ってるんだ?君も少しは調べたんだろ?」
高橋は俺の目をじっと見つめたまま言った。
「ロシアとの戦いで起きたと言うこと、それに竜胆の親父さんが何らかの形で関わっていること。そこまでしかわかってません。姉の死因についての記載も無かったので…。」
改めて自分で言うと憤りを感じる。知らない事の方が多過ぎる…。
「資料室で見たんだね。よし、わかった。」
高橋はそう言うと、足元に置いてあったスポーツドリンクをグビッと一口飲んだ。
「実は俺もそこで何があったのかは良く知らないんだ。」
…嘘だろ?思わせ振りな態度をしておいて知らないは無いだろ。俺は思わず目線を落としてため息を吐いた。
「まあ、待て。だけど、その場に誰が居たかは知ってるよ。」
俺は顔を上げた。その場?その場ってことは姉が死んだときにそこに一緒に居た人物がまだこのチームに居るのか?
「…それって教えて貰えるんすか?」
「君が望むなら。」
「…お願いします。」
少し間を入れて気持ちを整理する。落ち着いて聞きたい。この情報はかなり重要だ。すると高橋は遠くを見つめるように話始めた。
「ハルカはチーム発足当時から第二小隊に所属しててね、彼女が居た頃の日本チームは世界最強と言われてたんだ。特に第二小隊は隊長に“先読みの風間”、専攻に“蜂鳥花澤”、全てにおいて秀でていた“死神月島”そして鳥海ハルカという豪華なメンバーだったんだ。まぁその中でも戦闘の毎にハルカと月島は成果を上げててね。それは凄かったんだ。」
まさかSSランクの月島と並ぶ程の実力を姉さんは持っていたと言うのか?確かに姉さんはいい意味で“普通”では無かったとは思ってたが…。そこまでとは思わなかった。高橋は話を続ける。
「そんな一番勢いがあった時、領土問題の兼ね合いでロシアと戦いが起こったんだ。確かあの時は初めてのロシア戦でね、戦闘は決着が着かずに遅くまで続いたな。その時俺は日向と共に第五小隊に所属しててな、そこで副団長の役職を与えられてたんだ。」
「えっ!?高橋さんが副団長だったんすか?」
「まぁそれはいいだろ?話を続けるぞ。」
「あ、すみません!お願いします。」
まるで時間が水飴のように引き伸ばされているような感覚だ。高橋の一言一言が俺の耳から頭に入って浸透していくのがわかる。




